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孤独なアスファルト (講談社文庫 ふ 5-1) 文庫 – 1976/6/1
藤村 正太
(著)
第9回(1963年) 江戸川乱歩賞受賞
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1976/6/1
- ISBN-104061360426
- ISBN-13978-4061360426
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1976/6/1)
- 発売日 : 1976/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 301ページ
- ISBN-10 : 4061360426
- ISBN-13 : 978-4061360426
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,059,806位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世の中が分かっている方が書いた本物の推理本である。おそらく、これ程の傑作はそうそう無いでしょう。時代が変わっても、少しも色褪せません。とにかく読んでください。
2014年12月28日に日本でレビュー済み
1963年第9回江戸川乱歩賞受賞作品。
田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・
田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。
作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。
全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれないな。
田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・
田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。
作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。
全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれないな。