古代から受け継がれた土着の民の原始共産国家が存在しているという設定の、伝奇×ハードボイルドで江戸川乱歩賞受賞作という触れ込みに釣られたものの、肝心のえぞ共和国についての掘り下げが弱くて期待外れだった。高橋克彦ばりの感じかと思ってたから。
ただ、シリーズらしいので他のえぞ共和国シリーズでは細かく集落について書かれたものもあるのかな。
とにかく本作は江戸川乱歩賞受賞作なだけあって、田舎の刑事モノとしての側面が強い。海の描写と自然現象を使ったトリックなど、雰囲気は抜群。ラストも意外性がある。
ただ本格ミステリとしては、ぶっちゃけ想像通りに話が進むので、その点でも弱かった。
『地図にない谷』は落人部落×ミステリらしく、あらすじや評判読む限り、こっちの方が面白そう。
イ族の設定も……うーん、目の付け所はいいかもしれないけど証拠が少ないよなぁ。やっぱりこのへんのネタは高橋克彦あたりに再考してもらわないと。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
時をきざむ潮 (講談社文庫 ふ 10-1) 文庫 – 1980/9/1
藤本 泉
(著)
- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1980/9/1
- ISBN-104061361767
- ISBN-13978-4061361768
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1980/9/1)
- 発売日 : 1980/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 349ページ
- ISBN-10 : 4061361767
- ISBN-13 : 978-4061361768
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,219,375位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ラストにいくにつれて段々、雑な情景になっているような気がしました。ラストが自分は嫌いです。
2017年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミステリーはどうあるべきとか、純文学はどうあるべきとか、そういったこだわりは一切ないので、面白い本は面白いとしか言いようがありません。
「地図にない谷」も一気に読みましたが、これも一気に読みました。
この方の本には、一種独特の香りがあります。
沼田まほかるの粘つくような香り、篠田節子のドライな香り…
女流作家の魅力って、まさに香りだと思います。
香りのない女流作家はいっぱいいるけど、その時はいいと思っても、すぐにどうでもよくなってしまいます。
このラストですが、私は素晴らしいと思いました。
「地図にない谷」も一気に読みましたが、これも一気に読みました。
この方の本には、一種独特の香りがあります。
沼田まほかるの粘つくような香り、篠田節子のドライな香り…
女流作家の魅力って、まさに香りだと思います。
香りのない女流作家はいっぱいいるけど、その時はいいと思っても、すぐにどうでもよくなってしまいます。
このラストですが、私は素晴らしいと思いました。
2006年8月10日に日本でレビュー済み
舞台設定だとかに関しては非常に面白い。東北の僻地にある閉鎖された土地。共同体意識が非常に強く、排他的。そして、村の掟、古代伝承の世界…。過去にも、やってきた駐在巡査が相次いで不慮の死を遂げる…なんていう設定は非常に魅力的。(これが書かれたのが30年近く前だけど)当時から、「こんな世界あるだろうか?」と言われている設定ではあるものの、その世界が実際にあるように感じさせるというのも筆力のなせる業だろう。
常に外部の存在が自分たちを脅かしてきた歴史。警察と言えども、やはりそれは同じ。そんな村と、東京に住むエリートの若者たちの失踪。そして、変死体。合理的な考え方を持つ高館だったが、村ではそれが通用しない。しかも、上司にも睨まれ、孤軍奮闘の状況に…。二つの組織に挟まれながらの捜査を行う高館の行動なんかも、なかなか面白かった。
ただ、肝心のミステリとしての部分が弱いかな? と。大がかりなトリックなどが無い、というのは作品の性質上構わないが、事件を起こす上での最大の障壁が「海の人間だから何とかなる」の一言で済まされてしまうのはどうかと。また、閉鎖的、排他的な共同体、というのはともかく、共同体が犯人にそこまで協力するものだろうか? 少なくとも共同体単位での集団犯罪ではないだけに、不可解さを感じる(こういう共同体と言うのは、その規律のためにも秩序を乱しかねない内部分子をそのまま放ってはおかないはずだ)。ちょっとその辺りが気になった。
舞台設定の面白さがあるだけに、ミステリ的な要素の弱さが残念。
常に外部の存在が自分たちを脅かしてきた歴史。警察と言えども、やはりそれは同じ。そんな村と、東京に住むエリートの若者たちの失踪。そして、変死体。合理的な考え方を持つ高館だったが、村ではそれが通用しない。しかも、上司にも睨まれ、孤軍奮闘の状況に…。二つの組織に挟まれながらの捜査を行う高館の行動なんかも、なかなか面白かった。
ただ、肝心のミステリとしての部分が弱いかな? と。大がかりなトリックなどが無い、というのは作品の性質上構わないが、事件を起こす上での最大の障壁が「海の人間だから何とかなる」の一言で済まされてしまうのはどうかと。また、閉鎖的、排他的な共同体、というのはともかく、共同体が犯人にそこまで協力するものだろうか? 少なくとも共同体単位での集団犯罪ではないだけに、不可解さを感じる(こういう共同体と言うのは、その規律のためにも秩序を乱しかねない内部分子をそのまま放ってはおかないはずだ)。ちょっとその辺りが気になった。
舞台設定の面白さがあるだけに、ミステリ的な要素の弱さが残念。