整理がよくてわかりやすいだけでなく、内容はとても深いです。いままでイスラム教に関する図書を相当数読みましたが、最初に読むべき図書でした。小杉先生の「イスラームを読む・・・クルアーンと生きるムスリンたち」をあわせて(姉妹書)として読むと理解が深まると思います。
なお、イスラム教理解のためには、やはりクルアーン(コーラン)を読むことですが、アラビア語が理解できないわれわれには、水谷先生が監訳されている「クルアーン・・・やさしい和訳」(国書刊行会)をお薦めします。第6版(2023年6月)には、私の好きな島薗進先生(東大名誉教授)の推薦の言葉も加わっており、安心して読むことができる良書となっていると思います。
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イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化 (講談社現代新書) 新書 – 1994/7/20
小杉 泰
(著)
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クルアーンが語る、神と使徒と共同体の根本原理と、その実践。イスラーム理解が拓く、世界への新たなる視点。
学者の対決――時は移って9世紀、所は帝都バグダード。……アッバース朝は栄華の絶頂にあった。……都のモスクの1つで今、学者たちが集っていた。居並んでいるのは、この都を代表する大家たち、……いつものモスクの情景さとして変わらない。……違っているのは、座を支配している異様な緊張感だった。今日は、重鎮たちに相対して、1人の見慣れぬ学者が座っている。この人の名をブハーリーと言う。ブハラ出身者、を意味する名前である。……長ずるに及んで、諸国を遍歴してハディースを学び、類稀な逸材として、名が高まった。その人が帝都にやって来るという。都のハディース学者たちは、彼がどれほどの学者か試してやろうと、待ち構えていた。今日は、その対面の日なのである。いや、対決の日、と言うべきか。10人の学者が100のハディースについて、ブハーリーの知識を試す。ハディース百番勝負、とでも言うべきか。――本書より
学者の対決――時は移って9世紀、所は帝都バグダード。……アッバース朝は栄華の絶頂にあった。……都のモスクの1つで今、学者たちが集っていた。居並んでいるのは、この都を代表する大家たち、……いつものモスクの情景さとして変わらない。……違っているのは、座を支配している異様な緊張感だった。今日は、重鎮たちに相対して、1人の見慣れぬ学者が座っている。この人の名をブハーリーと言う。ブハラ出身者、を意味する名前である。……長ずるに及んで、諸国を遍歴してハディースを学び、類稀な逸材として、名が高まった。その人が帝都にやって来るという。都のハディース学者たちは、彼がどれほどの学者か試してやろうと、待ち構えていた。今日は、その対面の日なのである。いや、対決の日、と言うべきか。10人の学者が100のハディースについて、ブハーリーの知識を試す。ハディース百番勝負、とでも言うべきか。――本書より
- ISBN-104061492101
- ISBN-13978-4061492103
- 出版社講談社
- 発売日1994/7/20
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1.4 x 17.4 cm
- 本の長さ302ページ
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商品の説明
著者について
1953年、北海道に生まれる。1983年、エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。現在、国際大学大学院国際関係学研究科助教授。専攻は、イスラーム学、中東地域研究。主著に、『現代中東とイスラーム政治』―昭和堂、『イスラーム政治思想におけるスルターン制』(共編)――ダール・アル=ハムラー社(ベイルート)――など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1994/7/20)
- 発売日 : 1994/7/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 302ページ
- ISBN-10 : 4061492101
- ISBN-13 : 978-4061492103
- 寸法 : 10.6 x 1.4 x 17.4 cm
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- - 732位宗教入門 (本)
- - 1,291位講談社現代新書
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2023年9月7日に日本でレビュー済み
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2014年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イスラム教については、入門書として丁度良いと思いました。イスラム教自体は、至極真っ当な宗教とわかりました。異端な派閥が過激なので、大多数のイスラム自体を誤解しないことが必要なのでしょうか。
2024年1月4日に日本でレビュー済み
自分は仏教の家系ですが、近頃の中東情勢を見て
あまりにもイスラム関連の知識がないことを歯痒く思い、購入。
ムハンマド生誕の頃から、半世紀前のイラン革命あたりまでの、
イスラムのなりたちや歴史を取り扱っています。
己の知識不足で、頭の中でモヤモヤしていた箇所が
次々に鮮明になっていくようでした。
とてもわかりやすく、無知識の方でも理解しやすいかと思います。
純粋に読み物としても面白かったです。
普段は物語ばかり読んでいますが、充実した読書体験は
こういう何気なく手にとった異ジャンルの本から
思いがけず生まれるものなんだな、と再確認させられました。
あまりにもイスラム関連の知識がないことを歯痒く思い、購入。
ムハンマド生誕の頃から、半世紀前のイラン革命あたりまでの、
イスラムのなりたちや歴史を取り扱っています。
己の知識不足で、頭の中でモヤモヤしていた箇所が
次々に鮮明になっていくようでした。
とてもわかりやすく、無知識の方でも理解しやすいかと思います。
純粋に読み物としても面白かったです。
普段は物語ばかり読んでいますが、充実した読書体験は
こういう何気なく手にとった異ジャンルの本から
思いがけず生まれるものなんだな、と再確認させられました。
2021年6月3日に日本でレビュー済み
つい先日東京・高円寺にあるペルシャ料理店に食事に行きました。
ペルシャ料理はまったく初めてでしたが、ケバブ・クビデというメニューを薦められ、
ザクロジュースと併せて注文。クビデは牛肉と羊肉(ラム)の合挽きケバブであり、
皿の中央に敷いたインディカ米を囲むように2本のケバブを配置してありました。
前菜はミネストローネ風の野菜スープで、レモンジュースがついてきました。
味は見かけ通りでけっこうおいしかったです。
さて、本書はイスラーム世界について宗教・社会・文化という視点から説明を施した良書です。
カトリック神学・西洋哲学史をかじったことのある当方の関心事は果たしてイスラームとは何なのか、
そのことについて根本的に理解し、感得し、日常生活に取り入れたいということです。
イスラームについての類書は多数あるようですが、当方はその特質についてこう理解します。
即ち、コーランが説く独自の共同体原理の中でこれまた独自の社会・文化が育まれ、
砂漠やステップという割と厳しい自然条件にクラスターとして適応してきたのでしょう。
近代西欧文明の成立に多大な影響を及ぼしたイスラーム世界の本質とはいったいなんでしょうか。
それはおそらく文学もさることながら数学、化学、医学などの諸学問ではないでしょうか。
その証拠に数学はアラビア数字、化学は錬金術(アルケミー)、
医学はイブン・シーナーの『医学典範』に象徴されるように、
近代西欧文明の枢要な部分についてすでにイスラーム世界が先取しています。
そこで、東西文明交流史は現代世界の成立過程の根本的理解に欠かせないと思います。
(とくに技術文明の交流史はたいへんに興味深いものがありますが)
そんなわけでまずは本書を手にしました。今年後半期からはアラビア語の勉強も開始し、
現在はイタリア語を勉強している当方のライフワークである東西技術文明交流史を完結させたく思います。
過日ペルシャ料理を食べに行ったのもその一環です。
因みに、当方は東大教養学科卒で文化人類学を主専攻、自然人類学(人類生物学)を副専攻とし、
選択として「アラブ地域特殊研究」(東京外語大アジア言語文化研究所の大塚和夫教授による)
の単位も取っています。イスラームに少しでも興味のある方、本書をおすすめしておきます。
ペルシャ料理はまったく初めてでしたが、ケバブ・クビデというメニューを薦められ、
ザクロジュースと併せて注文。クビデは牛肉と羊肉(ラム)の合挽きケバブであり、
皿の中央に敷いたインディカ米を囲むように2本のケバブを配置してありました。
前菜はミネストローネ風の野菜スープで、レモンジュースがついてきました。
味は見かけ通りでけっこうおいしかったです。
さて、本書はイスラーム世界について宗教・社会・文化という視点から説明を施した良書です。
カトリック神学・西洋哲学史をかじったことのある当方の関心事は果たしてイスラームとは何なのか、
そのことについて根本的に理解し、感得し、日常生活に取り入れたいということです。
イスラームについての類書は多数あるようですが、当方はその特質についてこう理解します。
即ち、コーランが説く独自の共同体原理の中でこれまた独自の社会・文化が育まれ、
砂漠やステップという割と厳しい自然条件にクラスターとして適応してきたのでしょう。
近代西欧文明の成立に多大な影響を及ぼしたイスラーム世界の本質とはいったいなんでしょうか。
それはおそらく文学もさることながら数学、化学、医学などの諸学問ではないでしょうか。
その証拠に数学はアラビア数字、化学は錬金術(アルケミー)、
医学はイブン・シーナーの『医学典範』に象徴されるように、
近代西欧文明の枢要な部分についてすでにイスラーム世界が先取しています。
そこで、東西文明交流史は現代世界の成立過程の根本的理解に欠かせないと思います。
(とくに技術文明の交流史はたいへんに興味深いものがありますが)
そんなわけでまずは本書を手にしました。今年後半期からはアラビア語の勉強も開始し、
現在はイタリア語を勉強している当方のライフワークである東西技術文明交流史を完結させたく思います。
過日ペルシャ料理を食べに行ったのもその一環です。
因みに、当方は東大教養学科卒で文化人類学を主専攻、自然人類学(人類生物学)を副専攻とし、
選択として「アラブ地域特殊研究」(東京外語大アジア言語文化研究所の大塚和夫教授による)
の単位も取っています。イスラームに少しでも興味のある方、本書をおすすめしておきます。
2022年2月9日に日本でレビュー済み
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大変すばらしい本だと思いました。著者の学術的な知識の深さに圧倒されましたし、それを簡潔に分かりやすく要点をまとめ上げる力量にも感心しました。イスラム教を知るには基本になる本ではないでしょうか。コーランも読みましたが、それではほとんどわからないと思います。この本によってコーランが書かれた時代背景やその後のイスラム教の発展を理解して初めてイスラム教が理解できると思います。
ただこの本が書の初版発行が1994年7月ですから、ニューヨークのテロが2001年9月なので、だいぶ前ですよね。2015年ぐらいからヨーロッパのシリア難民の受け入れがあって、パリなどでイスラムテロが発生したのもそのころです。なので、イスラム教徒の移民の問題やイスラムテロの問題などは扱われていません。私がイスラムを知りたいと思ったのもそういった事件が元ですから、その意味では十分とは言えません。そういった問題については飯山陽さんの著作などを参考にする必要があるでしょう。でも、イスラムの基本を学ぶにはとても素晴らしい本だと思います。
ただこの本が書の初版発行が1994年7月ですから、ニューヨークのテロが2001年9月なので、だいぶ前ですよね。2015年ぐらいからヨーロッパのシリア難民の受け入れがあって、パリなどでイスラムテロが発生したのもそのころです。なので、イスラム教徒の移民の問題やイスラムテロの問題などは扱われていません。私がイスラムを知りたいと思ったのもそういった事件が元ですから、その意味では十分とは言えません。そういった問題については飯山陽さんの著作などを参考にする必要があるでしょう。でも、イスラムの基本を学ぶにはとても素晴らしい本だと思います。
2019年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトル通りで、内容も読みやすく分かりやすいです。
私は日本神道ですが、見識を深めるためにイスラームの思想に触れております。
私は日本神道ですが、見識を深めるためにイスラームの思想に触れております。
2016年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
娘の購入しました。評価を聞いていまいのでレビューを書くことができません。
2018年10月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イスラームの事を全く分からない私が読んでも、読み終わった時には、イスラームの友達を作ってもっと色々話を聞いてみたいなと思えた良本。
なかなか覚えづらい人名や用語も、繰り返し本の中で触れられ、前述のページが記載されているのも初心者には大変ありがたい。
この本を読んで、イスラームを正しく理解するスタートラインに立てたと感じる。
なかなか覚えづらい人名や用語も、繰り返し本の中で触れられ、前述のページが記載されているのも初心者には大変ありがたい。
この本を読んで、イスラームを正しく理解するスタートラインに立てたと感じる。