著者は、北海道大学卒、大妻女子大学社会情報学部教授の森義信。
（1995/2/20 第1刷発行）
内容は、メルヘンを“社会学”の観点から歴史的に読み解くもの。
全部でメルヘンを10話解説するが、大言壮語なくどれも傑作。
メルヘンを心理学の観点から考察して、これは男性器が、女性器が、処女性がどうのこうのという本は何冊か読んだことはあったけれど、社会学の観点からの考察はとても画期的で読み応えが非常にありました。
同じメルヘンでも、ペロー版とグリム版を読み比べ、その年代の背景と照らし合わせながら読み進めると、考えてみれば道理がわからなかったこともクリアに見えて、そこから得られる教訓も全く変わってくる。
さらに、“本当は怖いグリム童話”のような題を見たことがある人もいると思うが、特にペロー版メルヘンは非常に残酷な描写が多い。
これは、実際に残酷な処刑が行われていたことが正しく背景にある。
（「シンデレラ」では、義理の姉たちはガラスの靴を履くために親指を切り落とし、踵の肉を過ぎ落とし、「白雪姫」の継母は、魔女裁判にかけられ炭火で真っ赤に熱せられた靴を履いて、のたうちながら踊り死ぬ）
本書を読むにあたって、メルヘンには本当に一言一句全てに歴史的背景や、訓示が織り交ぜられており、非常に好奇心を惹きたてられた。
本書は、哲学としても、読み物としてもかなりお勧めの一冊です。
───白雪姫は美しいものやおいしそうなものの誘惑に簡単に負けてしまう、利発とはいえない子です。…私はむしろ、いささか虚言癖があって被害妄想の女の子が、母親の真意を曲解して母親を魔女裁判に追いやった物語として、このメルヘンを解釈したいと思います。（p.68）
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