(ナチス)ドイツはなぜユダヤ人に対して組織的な大量虐殺が可能だったのか。著者・大澤武男は前著『ユダヤ人とドイツ』でナチスの蛮行を許したドイツの民族的・精神的土壌について述べている。
本作は「その蛮行を牽引したヒトラーが抱いた、狂信的な反ユダヤ主義の動機はなんだったのか」を、ヒトラーの生い立ちや発言、政策行動から分析した一冊である。
著者は、まずヒトラーにとって『反ユダヤ主義』がいつ、彼の思想的ドグマとなったのか、ヒトラーが政治家として世に出る1920年以前のヒトラーの言動や生活環境を追跡して分析する。そしてそれが『我が闘争』でヒトラーが述懐するように、第一次世界大戦以前からヒトラーが熱烈な反ユダヤ主義者であったとする巷間の通説を否定している。
そして、ヒトラーにとっての反ユダヤ主義は、当初は『権力獲得のための手段』であったものが、政権獲得後は『手段が目的化』した経緯を丁寧に分析している。
本作は、「反ユダヤ主義者ヒトラー」の思想的変遷を追うと共に、具体的な反ユダヤ政策が強制移住から虐殺へとエスカレートした経緯とヒトラーがその政策にどう責任を負っていたかを分析している。よく知られているように、ヒトラーは「ユダヤ人を抹殺しろ」という文書命令を一切発していない(あるいはその文書は現存していない)。
ユダヤ人迫害がエスカレートした「水晶の夜事件」はゲッベルスが発案・指導したものであり、ユダヤ人の「最終解決」を定めた1942年のヴァンゼー会議は、ユダヤ人問題解決の全権を委ねられたゲーリングが、親衛隊保安部長官ハイドリヒに権限を委ねて、ハイドリヒが主催したものである。ヒトラーがユダヤ人の抹殺を直接指示した証拠は無い。しかし、著者は命令文書が無くともヒトラーの主体的意思がなければユダヤ人の大量虐殺は不可能だったと断じる。
なぜなら、指導者原理で動くナチスドイツにおいて、あらゆる政策は指導者(ヒトラー)の許可や指示が無ければ動かないからだ。
自決の直前まで反ユダヤ主義の遂行を命じ続けたヒトラー。
そのこだわりがどこから生まれたのか、著者はそれを「歴史家の限界を越えた問い」であり、何者にも明確な回答はできないだろうと最後に結論づけている。
しかし、ヒトラーを一人の戦争指導者として考えると、回答の一例にはなるだろう。ヒトラーの政治は戦争と一体化していた(『ナチスの戦争 1918~1949』参照)。その戦争目的は「ロシアの植民地化」と「欧州からのユダヤ人掃討」の二つである。しかし、ソ連はドイツの進攻によく耐え、第一の戦争目的は達成が困難となった。「ロシアを植民地化して、さらにその外側に欧州ユダヤ人を追放する」というヒトラーの所期戦後構想は崩壊したのである。
ソ連と戦いつつ、第二の戦争目的を達成する手段は何か。それはユダヤ人の地理的な追放ではなく、物理的な追放=殺害であった。戦争目的の完遂を目指すという意味で、最後まで反ユダヤ主義の遂行を命じたヒトラーは、戦争指導者としてあるべき姿を示していたのだ。
(参考商品)
『ユダヤ人とドイツ』 http://www.amazon.co.jp/dp/406149080X/
『ナチスの戦争 1918~1949年』 http://www.amazon.co.jp/dp/4121023293
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ヒトラーとユダヤ人 (講談社現代新書 1249) 新書 – 1995/5/17
大澤 武男
(著)
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追放、大量虐殺、絶滅……ヒトラーの異常な反ユダヤ主義はいかに生まれ、実行されたのか。ウィーン、ミュンヘンでの青春期に芽ばえ、世界大戦への過程で極限に行きついた狂気の原因、推移を検証する。
《ユダヤ人絶滅》の予告へ――「水晶の夜」事件から絶滅の予告をするまでの3ヶ月間弱の間に、ヒトラーはその前触れとなるようないくつかの発言をしている。「もしドイツ帝国がいつか予期せぬ時に、外交上の紛争に直面するなら、われらもドイツにおいて、まず第1にユダヤ人に対し大がかりな責任追及をし、その精算をしなければならないことは当然である」「ユダヤ人問題は近いうちに解決するであろう」「私はユダヤ人をあるどこかの遠く離れた地に居住させることに賛成である」「われわれのところのユダヤ人は絶滅させられる」――本書より
《ユダヤ人絶滅》の予告へ――「水晶の夜」事件から絶滅の予告をするまでの3ヶ月間弱の間に、ヒトラーはその前触れとなるようないくつかの発言をしている。「もしドイツ帝国がいつか予期せぬ時に、外交上の紛争に直面するなら、われらもドイツにおいて、まず第1にユダヤ人に対し大がかりな責任追及をし、その精算をしなければならないことは当然である」「ユダヤ人問題は近いうちに解決するであろう」「私はユダヤ人をあるどこかの遠く離れた地に居住させることに賛成である」「われわれのところのユダヤ人は絶滅させられる」――本書より
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1995/5/17
- 寸法10.6 x 1.2 x 17.4 cm
- ISBN-104061492497
- ISBN-13978-4061492493
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商品の説明
著者について
1942年、埼玉県本庄市に生まれる。1965年、上智大学文学部史学科卒業。1980年、ヴュルツブルク大学博士号取得。専攻はドイツユダヤ人史、古代教会史。現在、フンラクフルト日本人国際学校事務局長。著書に、『都市フランクフルトの歴史』(共著)―中公新書、本新書に『ユダヤ人とドイツ』など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1995/5/17)
- 発売日 : 1995/5/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4061492497
- ISBN-13 : 978-4061492493
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 17.4 cm
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- - 100位ドイツ・オーストリア史
- - 844位ヨーロッパ史一般の本
- - 1,681位講談社現代新書
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年3月29日に日本でレビュー済み
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2023年10月10日に日本でレビュー済み
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アドルフ・ヒトラーの人生を「反ユダヤ主義がいつ芽生え、強固な信念となったのか?」にスポットを当てて論じた著書。
その思想の萌芽はウィーンの画家の試験に落ちて失意の末に半ば「浮浪者」となって彷徨っていた時代に身に付けたもののようだ。当時のウィーンはユダヤ人の割合が高く、東方からの流入した浮浪者のようなユダヤ人に反感を抱いていた人が多かった。
つまり、都市自体が「反ユダヤ主義の温床」だったのである。その後に第一次世界大戦の勃発で戦場に出て活躍したヒトラーだが、ユダヤ人の匕首でドイツが敗れて敗戦したという根拠ない噂を信じた。
戦後に政治家に転身したヒトラーは強固な反ユダヤ主義者となり、それを演説で大衆に舌鋒鋭く論じて話題の的となり、一躍政党の中心人物となっていく。
よく議論されているのは「ユダヤ人絶滅を命じたヒトラーの文章は発見されていない」それを以って、絶滅政策はヒトラーの名を借りた側近たちの暴走ではないか?という論理である。
しかし、ヒトラー自身は既に政治家に転身した頃から明確に「ユダヤ人と対決し殲滅しなければならない」ことを訴えており、それはナチスが政権を取り戦争を開始するまで幾多の困難に見舞われて、時に妥協してユダヤ人を激しく弾圧しようとする部下たちをヒトラーが抑えたことさえあったのだが、根底にはより強固な意志となって燻り続けていたのだ。
ナチス政権奪取から本格的にドイツ国内のユダヤ人に対する締め付けを強化していたが、当初はドイツ人の生存圏からユダヤ人を遠く離れた土地に追放する、若しくは締め付けに嫌気が差したユダヤ人たちに自ら国外へ退去してもらうように仕向けるといった後の虐殺に比べれば可愛いものだった。
しかし、第二次世界大戦が始まるとドイツの勢力圏は急拡大して欧州全体を植民地に置くことで、そこに住んでいた膨大な人数のユダヤ人の処理をしなければならなくなる。西に英国と、更には東のソ連とも開戦してしまった以上は数百万人のユダヤ人を遠隔地に大量輸送することは不可能であり、ここに「追放によるユダヤ人問題解決」は頓挫してしまう。
そうなると最終的なユダヤ人の運命が「大量殺害による処理」に行き着くには時間の問題であった。
ソビエトとの戦争がこう着状態に陥り、短期での勝利は最早叶わないことが露になった時、ヒトラーはもうひとつの政治的な目的であったユダヤ人種抹殺を最優先事項として部下たちに命じた。
それが欧州各地に建設された強制収容所であり、ガス室を備えた大量殺戮を可能とする絶滅収容所であったのだ。実に600万人ものユダヤ人がナチスによって殺害されたという。
ヒトラーは戦況の悪化で追い詰められ自殺する直前の遺言でも「ユダヤ人を抹殺したことを自らの業績」として大真面目に論じているほどに強固な反ユダヤ主義者であった。
しかし、何故ヒトラーがこれ程まで強烈な意思を持つに至ったのかについては今日まで答えは出ていない。思うに、ヒトラーは幼少期は成績が良かったのに成長すると「自分の興味のあることや必要と思われることしか真剣に学ばなくなった」ようだ。だから、真剣に学んだ事についての成績は良かったのに、興味の無いことや不要と思う事については馬鹿にして一切勉強せずに当然にそういった分野の成績は悪かった。
ということは、当然に「学んだ知識や考え方に大きな偏りが出る」ことは想像に難くなく、それは「対ユダヤ人」に対しても同様で「偏った知識ばかりを習得して熟成し、急進的で極端な政策を取るようになった」ということだろう。
一方向側から情報を与えられたとき、人は「必ずもう反対側の情報にも耳を傾けねばならない」のだ。
その思想の萌芽はウィーンの画家の試験に落ちて失意の末に半ば「浮浪者」となって彷徨っていた時代に身に付けたもののようだ。当時のウィーンはユダヤ人の割合が高く、東方からの流入した浮浪者のようなユダヤ人に反感を抱いていた人が多かった。
つまり、都市自体が「反ユダヤ主義の温床」だったのである。その後に第一次世界大戦の勃発で戦場に出て活躍したヒトラーだが、ユダヤ人の匕首でドイツが敗れて敗戦したという根拠ない噂を信じた。
戦後に政治家に転身したヒトラーは強固な反ユダヤ主義者となり、それを演説で大衆に舌鋒鋭く論じて話題の的となり、一躍政党の中心人物となっていく。
よく議論されているのは「ユダヤ人絶滅を命じたヒトラーの文章は発見されていない」それを以って、絶滅政策はヒトラーの名を借りた側近たちの暴走ではないか?という論理である。
しかし、ヒトラー自身は既に政治家に転身した頃から明確に「ユダヤ人と対決し殲滅しなければならない」ことを訴えており、それはナチスが政権を取り戦争を開始するまで幾多の困難に見舞われて、時に妥協してユダヤ人を激しく弾圧しようとする部下たちをヒトラーが抑えたことさえあったのだが、根底にはより強固な意志となって燻り続けていたのだ。
ナチス政権奪取から本格的にドイツ国内のユダヤ人に対する締め付けを強化していたが、当初はドイツ人の生存圏からユダヤ人を遠く離れた土地に追放する、若しくは締め付けに嫌気が差したユダヤ人たちに自ら国外へ退去してもらうように仕向けるといった後の虐殺に比べれば可愛いものだった。
しかし、第二次世界大戦が始まるとドイツの勢力圏は急拡大して欧州全体を植民地に置くことで、そこに住んでいた膨大な人数のユダヤ人の処理をしなければならなくなる。西に英国と、更には東のソ連とも開戦してしまった以上は数百万人のユダヤ人を遠隔地に大量輸送することは不可能であり、ここに「追放によるユダヤ人問題解決」は頓挫してしまう。
そうなると最終的なユダヤ人の運命が「大量殺害による処理」に行き着くには時間の問題であった。
ソビエトとの戦争がこう着状態に陥り、短期での勝利は最早叶わないことが露になった時、ヒトラーはもうひとつの政治的な目的であったユダヤ人種抹殺を最優先事項として部下たちに命じた。
それが欧州各地に建設された強制収容所であり、ガス室を備えた大量殺戮を可能とする絶滅収容所であったのだ。実に600万人ものユダヤ人がナチスによって殺害されたという。
ヒトラーは戦況の悪化で追い詰められ自殺する直前の遺言でも「ユダヤ人を抹殺したことを自らの業績」として大真面目に論じているほどに強固な反ユダヤ主義者であった。
しかし、何故ヒトラーがこれ程まで強烈な意思を持つに至ったのかについては今日まで答えは出ていない。思うに、ヒトラーは幼少期は成績が良かったのに成長すると「自分の興味のあることや必要と思われることしか真剣に学ばなくなった」ようだ。だから、真剣に学んだ事についての成績は良かったのに、興味の無いことや不要と思う事については馬鹿にして一切勉強せずに当然にそういった分野の成績は悪かった。
ということは、当然に「学んだ知識や考え方に大きな偏りが出る」ことは想像に難くなく、それは「対ユダヤ人」に対しても同様で「偏った知識ばかりを習得して熟成し、急進的で極端な政策を取るようになった」ということだろう。
一方向側から情報を与えられたとき、人は「必ずもう反対側の情報にも耳を傾けねばならない」のだ。
2013年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ヒトラーの狂気性がよく理解できる本です。
聖書ヨハネ伝8章43節を根拠にホロコーストが実行されたとは驚愕のことです。
今後もこの研究を続けて発表していただきたいと思います。
「バチカン近現代史」(中公新書)松本佐保著、この本ローマ教皇のピオ12世が
ヒトラーのホロコースト政策を黙認し、なぜ虐殺を許したのかが分かる本です。
是非ものです。
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ヒトラーのホロコースト政策を黙認し、なぜ虐殺を許したのかが分かる本です。
是非ものです。
2022年5月29日に日本でレビュー済み
読みやすい文体で、分かりやすい内容です。
時系列で書いてあるので経緯を追いやすく、探究心を持って読むとユダヤ人政策に対するヒトラーの思いや行動の理由がたくさん分かりました。
時系列で書いてあるので経緯を追いやすく、探究心を持って読むとユダヤ人政策に対するヒトラーの思いや行動の理由がたくさん分かりました。
2002年7月24日に日本でレビュー済み
学校で必要だったので購入したのですが、とてもわかりやすくまとめてあって、途中で飽きるということがまったくありませんでした。ヒトラーや、ナチズムについて知りたいけど長いのはちょっと、、、という方はぜひおすすめです。
2011年11月4日に日本でレビュー済み
ヒトラーとユダヤ人についてと題されているが、ほとんどがヒトラーの考えと当時の状況を教科書的に書いているだけという本。
とりあえず読んだが得ることもなかった。
とりあえず読んだが得ることもなかった。
2010年4月4日に日本でレビュー済み
本書において、筆者は青少年時代からの滅亡に至るまでのヒトラー個人に焦点を当て、何故彼が強固な反ユダヤ主義を主張し実践したかを考察していく。帯には「『狂気の理由』を検証する」とあり、確かに様々な状況証拠が提示されるが、「何故」という疑問は結局とけない。筆者はエピローグで「歴史家の限界を越えた問いなのである」と結んでいる。
その一方で、本書はユダヤ人問題の解決が、ヒトラーにとって大戦の勝利と同等の目的であったことをえがきだす。筆者は、ヒトラーこそがユダヤ人絶滅政策の主体であったと主張する。彼は自殺の直前まで、自身の反ユダヤ主義の主張と絶滅政策の実行に全く疑いを持っていなかったという。そればかりか、達成感すら抱いて死んでいったと。
当然のことながら、読んでいて楽しい本ではないし、知的好奇心を満たされることもない。しかし、民主主義はかつてこういう人物を民衆自らの手で権力の高みに押し上げたのだ。現代も民主主義政体である以上、それは目を背けることのできない事実である。
その一方で、本書はユダヤ人問題の解決が、ヒトラーにとって大戦の勝利と同等の目的であったことをえがきだす。筆者は、ヒトラーこそがユダヤ人絶滅政策の主体であったと主張する。彼は自殺の直前まで、自身の反ユダヤ主義の主張と絶滅政策の実行に全く疑いを持っていなかったという。そればかりか、達成感すら抱いて死んでいったと。
当然のことながら、読んでいて楽しい本ではないし、知的好奇心を満たされることもない。しかし、民主主義はかつてこういう人物を民衆自らの手で権力の高みに押し上げたのだ。現代も民主主義政体である以上、それは目を背けることのできない事実である。
2004年12月26日に日本でレビュー済み
ヒトラー率いるナチがユダヤ人に対して「何を」したのか、それを著した本は多くあるが、「何故」ヒトラーがそのような狂気に走ったのか、「どのように」ユダヤ人憎悪が始まったのかを著した本はあまりない。
本書はそこに焦点を当てている。
しかし、その論考には「推測」が多く、客観的な情報が極めて少ない。
その点で、本書はその目的を達成できていないと言える。
本書を通してナチズムがどのように台頭していったかを概略できるし、それは客観的な事実であるが、読者は著者の「意見」と「事実」を分けて考える必要がある。
本書はそこに焦点を当てている。
しかし、その論考には「推測」が多く、客観的な情報が極めて少ない。
その点で、本書はその目的を達成できていないと言える。
本書を通してナチズムがどのように台頭していったかを概略できるし、それは客観的な事実であるが、読者は著者の「意見」と「事実」を分けて考える必要がある。