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黒い聖母と悪魔の謎: キリスト教異形の図像学 (講談社現代新書 1411) 新書 – 1998/7/1
馬杉 宗夫
(著)
「光の国」大聖堂のうちに隠された異教・異貌の神々
目隠しされた女性像、黒い聖母、悪魔、葉人間――大聖堂の奇怪な図像はなぜ生まれたのか。もう一つのキリスト教美術を鮮やかに解読する。
ロカマドールの謎の聖母像――聖母マリアには不吉な黒色は似つかわしくない、と思いながらも、その異教的な謎にみちた姿は、われわれをとらえてはなさない。逆に黒色だからこそ神秘的な力を持って迫ってくるのかもしれない。遠くからしか見えない意外に小さな聖母像(0.76メートル)に迫力を与えているのは、確かに全身を被う黒色である。黒は不思議な力を持っているのである。(中略)ロカマドールの《黒い聖母像》については、かつて銀箔で被われていたためにその酸化作用によって黒くなったのだ、と言う人もいる。しかし、実際は、それは黒く塗られたロマネスク時代の代表的木造彫刻の1つであり、黒い聖母として崇拝されてきたことを忘れてはならない。では、なぜ黒く塗られたのであろうか。この《黒い聖母》の謎を解くためには、それが崇拝された場所について調べる必要を感じるのである。なぜなら、それらの地はケルトの伝統を残す選ばれた地だったからである。――本文より
目隠しされた女性像、黒い聖母、悪魔、葉人間――大聖堂の奇怪な図像はなぜ生まれたのか。もう一つのキリスト教美術を鮮やかに解読する。
ロカマドールの謎の聖母像――聖母マリアには不吉な黒色は似つかわしくない、と思いながらも、その異教的な謎にみちた姿は、われわれをとらえてはなさない。逆に黒色だからこそ神秘的な力を持って迫ってくるのかもしれない。遠くからしか見えない意外に小さな聖母像(0.76メートル)に迫力を与えているのは、確かに全身を被う黒色である。黒は不思議な力を持っているのである。(中略)ロカマドールの《黒い聖母像》については、かつて銀箔で被われていたためにその酸化作用によって黒くなったのだ、と言う人もいる。しかし、実際は、それは黒く塗られたロマネスク時代の代表的木造彫刻の1つであり、黒い聖母として崇拝されてきたことを忘れてはならない。では、なぜ黒く塗られたのであろうか。この《黒い聖母》の謎を解くためには、それが崇拝された場所について調べる必要を感じるのである。なぜなら、それらの地はケルトの伝統を残す選ばれた地だったからである。――本文より
- 本の長さ213ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1998/7/1
- ISBN-104061494112
- ISBN-13978-4061494114
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商品の説明
著者について
1942年、広島県生まれ。1967年、東京芸術大学芸術学科修士課程修了。1974年、パリ大学付属考古学研究所博士課程修了。現在、武蔵野美術大学教授。主な著書に『スペインの光と影』――日本経済新聞社、『世界の聖域15 シャルトル大聖堂』(共著)『大聖堂のコスモロジー』――講談社――など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1998/7/1)
- 発売日 : 1998/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 213ページ
- ISBN-10 : 4061494112
- ISBN-13 : 978-4061494114
- Amazon 売れ筋ランキング: - 756,975位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黒い聖母像の分布や出土した謂れを知るとコレが「マリア様と幼い耶蘇」じゃない、と解ります。耶蘇教の聖母は「無性生殖」故に無原罪つまり「白」で表現されます。黒い聖母像には「土中から出土した」「わざわざ最初から黒」という特徴の他にも乳房が一対どころか100近く有るのも稀ではありません。手っ取り早く言えばコレは西暦以前に信じられていた異教の地母神像です。出土地も南欧や地中海沿岸部に多い傾向が歴然と認められます。耶蘇教は本来「偶像崇拝」をしてはいけない事になっています。しかも「三位一体」という「主(耶蘇)父(神様)精霊(は?)」を一体と見倣すというドグマが有ります、が聖母マリアに関してはあくまで無原罪で耶蘇を妊娠しただけの存在。これが日本人的宗教観で考えれば三位一体という部分が「神様が三柱」神様を産んだなら神様でしょ?と「四柱」と考えます。古典的カソリックならば聖書原理主義な筈ですから聖書位読んでると思いますが「旧約聖書」では神様が名乗る名前が3つ有りますね。でアダムとイブですがイブは後妻さんです。一人目は「リリト」という子守唄のララバイの元になった地母神様です。離婚の原因は「正常位で女が下になるのが許せない」と出ていきます。聖書に明確に書いて有ります。地母神崇拝は世界中で行われ日本にも「縄文のビーナス像」が有ります。決してマリア様が初代ではないし伝統を受け継いだ異教の神様です。有り難がって教会の正面に設置するのも変だな?と。もう少し突っ込んで書かれても良かったと思うので★4つです。
2007年1月10日に日本でレビュー済み
キリスト教美術には、異教的なイメージがけっこう多い。黒い聖母やガーゴイル、葉人間などである。それらを美術史的・社会史的に解き明かしてくれるのが本書だ。
本書の面白いのは、そうしたイメージを単純に異教・未開の残滓とはとらえないところだ。むしろ、キリスト教の文脈にのっとり、宗教的にも意味があり、合理的なものだと説明してくれるのである。そのほかにも美術における様式の流行だとか、歴史的背景だとか、思わぬ切り口から分析が行われる。
ただ、多くのテーマを扱いすぎて失敗しているような印象もある。どの章も大雑把な説明で終わってしまっていて、物足りない。内容への疑問も残る。
本書の面白いのは、そうしたイメージを単純に異教・未開の残滓とはとらえないところだ。むしろ、キリスト教の文脈にのっとり、宗教的にも意味があり、合理的なものだと説明してくれるのである。そのほかにも美術における様式の流行だとか、歴史的背景だとか、思わぬ切り口から分析が行われる。
ただ、多くのテーマを扱いすぎて失敗しているような印象もある。どの章も大雑把な説明で終わってしまっていて、物足りない。内容への疑問も残る。
2005年5月21日に日本でレビュー済み
ロマネスク美術が本の中心です
フランスには何度か行って巡礼地や教会の聖像や建築物に不可解に感じることがあってずっと気になっていたのですが、本書を読むとなるほどと納得がいきました。ノートルダムのガルグイユはガイドさんの説明と一致してました。
ロカマドゥールの聖母のような黒い聖母は、フランスには、数多くあるのですがドリュイド教の土着信仰との融合ということで理解ができました。
また、サン・ドニ修道院のシナゴーカの解説も分かりやすく、ユダヤ人が差別されるようになった歴史も美術を通して浸透していった経緯もとても参考になりました。
フランスのフルリィに聖ベネディクトの聖遺物があるそうで、聖人マニアの私は、サン・ブノワ・ロワール修道院にもぜひ行ってみたくなりました。
フランスには何度か行って巡礼地や教会の聖像や建築物に不可解に感じることがあってずっと気になっていたのですが、本書を読むとなるほどと納得がいきました。ノートルダムのガルグイユはガイドさんの説明と一致してました。
ロカマドゥールの聖母のような黒い聖母は、フランスには、数多くあるのですがドリュイド教の土着信仰との融合ということで理解ができました。
また、サン・ドニ修道院のシナゴーカの解説も分かりやすく、ユダヤ人が差別されるようになった歴史も美術を通して浸透していった経緯もとても参考になりました。
フランスのフルリィに聖ベネディクトの聖遺物があるそうで、聖人マニアの私は、サン・ブノワ・ロワール修道院にもぜひ行ってみたくなりました。
2003年7月19日に日本でレビュー済み
ロマネスクとゴシック、大雑把に言ってしまえばアルプス以南と以北では教会建築の雰囲気が異なる。様式の違い以前に、なにか根本的な空気の違いがあるのである。この書はそれが何に由来するのか解きあかしてくれる。
ガリア地方をキリスト教化する際、教会は土着宗教を根絶する代わりに吸収してしまうことで異教徒改宗をスムーズに行ったという。だからガリア地方の聖堂の地下をのぞけば異教時代に信仰の対象とされていた石・泉が残ってたり、大地母神の特徴を持つマリア像が祭られていたりするのである。
他にもグリーンマン、ガーゴイルなどゴシック教会建築にみられる奇怪なモチーフが扱われており、中世美術史や異教信仰について学ぶ人には良い参考文献になるだろう。
ガリア地方をキリスト教化する際、教会は土着宗教を根絶する代わりに吸収してしまうことで異教徒改宗をスムーズに行ったという。だからガリア地方の聖堂の地下をのぞけば異教時代に信仰の対象とされていた石・泉が残ってたり、大地母神の特徴を持つマリア像が祭られていたりするのである。
他にもグリーンマン、ガーゴイルなどゴシック教会建築にみられる奇怪なモチーフが扱われており、中世美術史や異教信仰について学ぶ人には良い参考文献になるだろう。