タイトルと著者の写真をみただけでは勘違いしそうだが(私もちょっと最初はそっち系かと思った)、真面目且つ高質な政治思想史の書物。
かつて明治隆盛した変態心理学(これも勘違いされそうだがどちらかと言えばトランスパーソナル心理学に近い。
「リング・らせん」の世界に出てきた大学の実験を想起すればよい。(あれはかなりの部分本当で九州大学では「ドグラ・マグラ」ばりの実験が行なわれたとか・・)
を追いかけつつ、南方の曼荼羅にまで言及している。
少々範囲を広げすぎた感もあるが、思想史本としてはまったく問題なし。
漱石の弟子であり小説家/記者でもあった中村古峡が変態心理を創刊した当時、極めて真面目にうけとられ井上哲次郎から法学者の穂積重遠などが拠り
執筆者には柳田國男、金田一京助、長谷川如是閑、吉屋信子、岡本のぶ子もいたという。
著者の序文、
「語の意味内容の変化とその背景を探求することが重要なのは、「民主」と「愛国」に限ったことではない」という啖呵が心地よい。
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〈変態〉の時代 講談社現代新書 新書 – 2005/11/18
菅野 聡美
(著)
「変態」という言葉の意味はなぜ激変したか大正期に大きなブームだった「変態研究」。知識人がこぞって参加したこの研究は当初性的な意味はなかったが――「変態」をキーワードに大正・昭和を読みかえる。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/11/18
- ISBN-104061498150
- ISBN-13978-4061498150
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/11/18)
- 発売日 : 2005/11/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4061498150
- ISBN-13 : 978-4061498150
- Amazon 売れ筋ランキング: - 473,185位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は日本近代世相史の研究者。
本書は、中村古峡を中心に、大正期に大流行した「変態」の実相へ迫ろうとしたもの。
現在の「変態」とはかなり意味が異なり、なおかつつながりのある概念なのだが、なぜ大正期にそうしたものへの関心が高まり、多くの雑誌が出たり、研究が行われたりしたかを、わかりやすくまとめてくれている。
入門的な内容であり、また物足りない箇所、異議を唱えたくなる箇所も少なくないものの、大正という時代性を知るには格好の一冊だと思う。
本書は、中村古峡を中心に、大正期に大流行した「変態」の実相へ迫ろうとしたもの。
現在の「変態」とはかなり意味が異なり、なおかつつながりのある概念なのだが、なぜ大正期にそうしたものへの関心が高まり、多くの雑誌が出たり、研究が行われたりしたかを、わかりやすくまとめてくれている。
入門的な内容であり、また物足りない箇所、異議を唱えたくなる箇所も少なくないものの、大正という時代性を知るには格好の一冊だと思う。
2011年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
H大佐夫人を読んだのは30年以上前だが、折口信夫、宮武外骨、南方熊楠、田中香涯などバラバラにしか知らなかった人物がこのようにつながっていたのかとわかっただけでも、この本を読む価値はある。
しかし、禁止勲章をもらったと自負する梅原北明なる人物のことは、初めて知ったが実に痛快なる傑物だ。この男を主人公にしたドラマの制作をすれば、戦前の左翼知識人の動きなど伝えにくい事情が明晰になるだろう。
人物史になってしまったきらいはあるが、面白い読み物である。
ただし、 P209のこの記載は、あまりに公式主義的な発想と思われる。
「裏を返せば、「ノーマル」な性生活が安易に手に入る現代のほうが、変態性欲はより嫌忌され、蔑視されることになりそうです。つまり異性間性交への圧力は強まっているといえるでしょう。」
世界価値観調査では、同性愛を許容する割合は1981年には10%弱であったが、2005年では40%までに増加しているという事実をご存じなのだろうか。
しかし、禁止勲章をもらったと自負する梅原北明なる人物のことは、初めて知ったが実に痛快なる傑物だ。この男を主人公にしたドラマの制作をすれば、戦前の左翼知識人の動きなど伝えにくい事情が明晰になるだろう。
人物史になってしまったきらいはあるが、面白い読み物である。
ただし、 P209のこの記載は、あまりに公式主義的な発想と思われる。
「裏を返せば、「ノーマル」な性生活が安易に手に入る現代のほうが、変態性欲はより嫌忌され、蔑視されることになりそうです。つまり異性間性交への圧力は強まっているといえるでしょう。」
世界価値観調査では、同性愛を許容する割合は1981年には10%弱であったが、2005年では40%までに増加しているという事実をご存じなのだろうか。
2005年12月23日に日本でレビュー済み
美しい著者の写真とこのテーマとの間との奇妙なアンバランスさに、お恥ずかしながら、低俗的な好奇心にひかれて購入してみました。読後感は、悲しいかな、あまりにも平板な叙述が続くだけで、裏切られてしまいました。学術論文がベースとなっているのでしょうか、事実(出版や人物)が時代の経過と共に平坦につづられていくだけで、あまり著者の個性が感じられないのです。これは新書という形態からくる限界なのでしょうか。いくつか面白いテーマも取り上げているのですが、近代日本の変態を、あくまでも”通史”として取り上げようとしたためでしょうか、結果としては最後まで読み通すのが苦行と感じられるほどの無味乾燥な出来栄えです。ある特定の人物のみに焦点を絞ったほうがもっと生き生きとした出来栄えになったのかもしれません。でも、このテーマも、本質のところでは、世間の無責任な関心とは異なり、案外、無味乾燥な陰鬱な科学なのかもしれません。それこそ著者が伝えたかった隠されたメッセージだとすると、この著者の作戦勝ちなわけで、なかなか戦略的な目配りのきいた著者なのかもしれません。
2015年6月26日に日本でレビュー済み
タイトルから変態がブーム到来している、と言う結論に導く書物かと思われた。
しかし、実際の中身は中学校の歴史の授業を聞いているような感じがした。
具体的には、何年にこういう書物が発刊されたが何年に休刊した。と言うことが多く書かれている。
だから多くの参考文献が挙げられている割に、筋が通らず理解不能な箇所もある。
ただ、現在でも重要視されている精神疾患もかつては変態の仲間であったこと、
および、そういった変態は得てして弾圧されてしまうこと、は今後本を書く上で参考になりそう。
そういった意味で生かせそうだと思うため、☆3つとした。
しかし、実際の中身は中学校の歴史の授業を聞いているような感じがした。
具体的には、何年にこういう書物が発刊されたが何年に休刊した。と言うことが多く書かれている。
だから多くの参考文献が挙げられている割に、筋が通らず理解不能な箇所もある。
ただ、現在でも重要視されている精神疾患もかつては変態の仲間であったこと、
および、そういった変態は得てして弾圧されてしまうこと、は今後本を書く上で参考になりそう。
そういった意味で生かせそうだと思うため、☆3つとした。
2006年4月5日に日本でレビュー済み
変態が使われだした大正から昭和初期だけで新書1冊分に及ぶほど
変態について好奇心一杯に著者は書いているのだが・・・
変態が持つ言葉の意味は、時代とともに変化している中で
時代時代の「変態」が持つ社会的影響力
マスターベーション、未婚者、性的不能も変態だった時代
民俗学として「変態」を封印した柳田國男
弾圧されてきた変態に対し、著者の思いが盛り上りヒートアップしてゆくが
猟奇趣味や好色趣味、更にはグロテスクと著者の止まることを知らない性的好奇心
私にはエネルギー充満過ぎてついてゆけませんでした
倒錯の扉はけっこう重い
変態について好奇心一杯に著者は書いているのだが・・・
変態が持つ言葉の意味は、時代とともに変化している中で
時代時代の「変態」が持つ社会的影響力
マスターベーション、未婚者、性的不能も変態だった時代
民俗学として「変態」を封印した柳田國男
弾圧されてきた変態に対し、著者の思いが盛り上りヒートアップしてゆくが
猟奇趣味や好色趣味、更にはグロテスクと著者の止まることを知らない性的好奇心
私にはエネルギー充満過ぎてついてゆけませんでした
倒錯の扉はけっこう重い