まず著者が、稲荷神社の狐を撮影するのを趣味となさっていた事もある(p.8)
方である、という事で、必然的に本書は、狐にたいする学術的アプローチや、「憑依
・祟り」等で、私達人間に対峙する存在とみなすような一冊ではけしてない、という
事になります。
第一章「日本の狐とは何か」は、現世よりもむしろ、自然界の背後に関連づけられ
るという、「日本人にとっての普遍的な母」(p.17)について、そして明治以後
の西欧主義流入があったにかかわらず、「根底にある日本人特有の感性」(p.19
)は未だ健在であり、自然界からの使者としての動物・狐が語られるに至ります。
三種類あるという、稲荷信仰の系列−神道系、原始宗教系、仏教系−について、そ
れぞれ第二〜四章で語られます。 これは例えば、
・ご神体、朱、鳥居、巫女、サルタヒコ
といった、神社といえば思い浮かぶ、普遍事象にはじまり、
・大地の境目、土地の裂け目
といった、著者一流の思考に基づく事象迄。
第五章は狐−カバラ(生命の樹)−道教(道家図)の関連性にはじまり、物質・精
神間の伝達者としての狐、等。
この章はさしずめ、著者のファンの方々には、著者作品頻出項目のおさらい、とい
う趣向にも受け取れるかもしれません。
第六章はまとめになります。上述しましたような、狐にかんする(憑依等)俗説に
たいする応えから、「異界との接点」としての稲荷狐、そして「お稲荷さんへ行こう」。
尚、本書内容に惹かれました方々には、同じ著者に拠ります、『パワースポットが
わかる本』(説話社)を手になさる事をお奨めし、レヴューを締めさせていただきま
す。
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日本人はなぜ狐を信仰するのか (講談社現代新書) 新書 – 2006/2/17
松村 潔
(著)
身近なお稲荷さんが持つ深遠な秘密に迫る。全国どこにでもある稲荷。でもなぜ狐なのか?伏見稲荷と猿田彦や豊川稲荷と茶枳尼の関係、秦氏の稲荷縁起など秘められた多くの謎を、東西古代思想をもとに解く。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/2/17
- ISBN-104061498290
- ISBN-13978-4061498297
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/2/17)
- 発売日 : 2006/2/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4061498290
- ISBN-13 : 978-4061498297
- Amazon 売れ筋ランキング: - 608,307位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年6月14日に日本でレビュー済み
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2009年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者は西欧神秘哲学研究家だそうだが、得意のそれらのネタに日本人の狐信仰の起源を結び付けている点がかなり強引に思えた。結局、あれもこれも関係がある的な散漫とした内容に感じられた。書店で立ち読みできたら、買っていない類の本。amazonで買う場合は、このように当たり外れの、はずれを引いてしまうリスクは付きまとうが、amazonへのお賽銭みたいなものと割り切っている。
2008年11月5日に日本でレビュー済み
狐信仰に関する雑学本。専門書からトンデモ本まで自由に引用しているが、西洋神秘思想との結びつけには無理を感じる。日本人の狐信仰に最も関係があるはずの「キツネ筋」など民俗学的な部分や中国にもある狐の伝承への言及などがないのが残念。
2007年7月23日に日本でレビュー済み
タイトルだけで判断すれば妖怪の本の様なイメージがある。実際はほぼ正反対で、正統派の民俗学的考察という感じで驚いた。この内容にこのタイトルは不適切。つけるなら『各国の神話と伝承との狐の関係』としてほしい。思いこみではあったにしろ、狐妖怪の出現を期待していた自分はちょっと騙されたような気がした。
ただ、本自体は非常に面白い。稲荷とはなんぞや? という疑問から始まって古事記の物語を巡り、中国の伝承、エジプトの神話、タロット、原始宗教の論理などあちらこちらに結びついて大きく議論を展開させている。民俗学その他の知識は皆無の自分には正しいかどうかは全く判別出来ないが、面白いほどに各国の宗教の様相が一致しているのは、なるほどと素直にそう思った。堅めだったがこういう物もいいと思う。妖怪目当ての方のためにもう一度言っておけばベースには狐があるが、狐:その他の神話 で割合をつけるとだいたい 3:5 ぐらいで、狐中心ではない。しかしだからこそ面白いという感じもする。
ただ、やはり胡散臭い所はあった。科学的に説明のつくこっくりさんを霊的な物として扱っていたり、葉巻形のUFOの目撃を弥勒信仰の名残と言ったり、まさに眉唾。面白いのだが、独断らしい箇所は星一つマイナスだ。読むのにも結構専門的な知識がいるため古事記を簡単にめくった程度の自分には少し難しかった。
しかし、まあ民俗学的なひとつの論文としては斬新なものかもしれない。
ただ、本自体は非常に面白い。稲荷とはなんぞや? という疑問から始まって古事記の物語を巡り、中国の伝承、エジプトの神話、タロット、原始宗教の論理などあちらこちらに結びついて大きく議論を展開させている。民俗学その他の知識は皆無の自分には正しいかどうかは全く判別出来ないが、面白いほどに各国の宗教の様相が一致しているのは、なるほどと素直にそう思った。堅めだったがこういう物もいいと思う。妖怪目当ての方のためにもう一度言っておけばベースには狐があるが、狐:その他の神話 で割合をつけるとだいたい 3:5 ぐらいで、狐中心ではない。しかしだからこそ面白いという感じもする。
ただ、やはり胡散臭い所はあった。科学的に説明のつくこっくりさんを霊的な物として扱っていたり、葉巻形のUFOの目撃を弥勒信仰の名残と言ったり、まさに眉唾。面白いのだが、独断らしい箇所は星一つマイナスだ。読むのにも結構専門的な知識がいるため古事記を簡単にめくった程度の自分には少し難しかった。
しかし、まあ民俗学的なひとつの論文としては斬新なものかもしれない。