これは凄い本です。物理の基本原則から地球温暖化問題を読み解いています。
使っている物理法則はシンプルです。
'質量保存
'エネルギー保存
'エントロピー増大
この3つの法則から地球温暖化問題の本質が見えてきます。
>要は、人間の活動にはエネルギーが要る。しかし、廃熱を処理できないと熱が籠もってしまって熱死に至る。これまでは、水の循環が地球の持続可能性を保証してくれていた。しかし、利用するエネルギーが増大し、しかも二酸化炭素の温室ガス効果が顕著に出てくると、それこそ金星のように死の星になりかねない。これまでの地球の循環の微妙なバランス(つまり、水が
液体である領域での地球規模の循環)が、壊れ始めている
ということなのです。
地球はタマネギのような構造なので、そのタマネギの間で廃熱(エントロピー)が宇宙空間に向かって順繰りに円滑に移転されていかないと、地球の生命にとって、大きな危機が訪れるというわけです。
するといろんなことが見えてきます。
大量生産・大量廃棄社会という現代社会の限界そのものが見えてくるのです。
だからこそ太陽光や風力などが「新エネルギー」ではなく、最近は、「再生可能エネルギー:renewable energy」と呼ばれ、欧米や中東で最大限尊重されている理由が判るのです。
原子力は、二酸化炭素を出さない「環境に優しい」エネルギーと言われますが、本当にそうでしょうか?濃縮の過程ではガス拡散法で膨大なエネルギーを使います。それは、核爆弾を創るという別な目的によって正当化されます。そして、発電時には、海と大気を温めます。
原子力のない社会は現実的ではありませんが、原子力だけに依存する社会も現実的ではありません。ウラン価格も一時期に比べると落ち着いて来ていますが、原子力一辺倒になるなら、そうしたセキュリティも考えないといけないでしょうし、テロ、核廃棄物などの問題も十分考えないといけなくなります。
答えが即座にあるわけではないのですが、こうしたことをよーーーーく、考えて行動しなければなりません。石炭火力なども見直しが必須かもしれません。
いずれにせよ深く考えさせられる本です。地球環境に関心のあるすべての方のご一読を強くお薦めします。良心的科学者の声と言えるでしょう。
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物理学者、ゴミと闘う (講談社現代新書) 新書 – 2007/4/19
広瀬 立成
(著)
「燃やして埋める」日本のゴミ政策は大間違いだ!!
環境問題の本質はゴミにある。町づくりの第一歩もゴミから始まる。
地球環境の「基本的しくみ」とは?
地域の「つながり」の活かし方とは?
市民運動に立ち上がった科学者がわかりやすく説く「ゴミ問題解決法」。
●物理学の基本法則は警告する!
●「戦略10訓」から「もったいない10訓」へ
●生命を宿す星、地球のしくみ
●「美しい国」の国策はゴミ産業の興隆なのか!?
●対立から協働へ――今こそ市民の出番!
環境問題の本質はゴミにある。町づくりの第一歩もゴミから始まる。
地球環境の「基本的しくみ」とは?
地域の「つながり」の活かし方とは?
市民運動に立ち上がった科学者がわかりやすく説く「ゴミ問題解決法」。
●物理学の基本法則は警告する!
●「戦略10訓」から「もったいない10訓」へ
●生命を宿す星、地球のしくみ
●「美しい国」の国策はゴミ産業の興隆なのか!?
●対立から協働へ――今こそ市民の出番!
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/4/19
- ISBN-104061498878
- ISBN-13978-4061498877
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/4/19)
- 発売日 : 2007/4/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 232ページ
- ISBN-10 : 4061498878
- ISBN-13 : 978-4061498877
- Amazon 売れ筋ランキング: - 988,061位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 87位産業廃棄物・公害
- - 2,662位講談社現代新書
- - 59,215位アート・建築・デザイン (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年5月8日に日本でレビュー済み
本業が物理学者の著作にしては、定量的な検証が甘いように思います。
一般読者に分かりやすくしようとしすぎたのかもしれませんが、いただけません。
エントロピーの話は分かるのですが、自然のものは検証するまでも無く、
ただ無条件に環境によいと結論付けるのは、週刊金曜日的匂いを感じてしまいます。
農業そのものが、地球環境を破壊してきたという事実(文明の地は砂漠化する)を、
どう説明すればよいのでしょうか。
物理学者の明快な理論を期待した割りは裏切られました。
一般読者に分かりやすくしようとしすぎたのかもしれませんが、いただけません。
エントロピーの話は分かるのですが、自然のものは検証するまでも無く、
ただ無条件に環境によいと結論付けるのは、週刊金曜日的匂いを感じてしまいます。
農業そのものが、地球環境を破壊してきたという事実(文明の地は砂漠化する)を、
どう説明すればよいのでしょうか。
物理学者の明快な理論を期待した割りは裏切られました。
2007年4月25日に日本でレビュー済み
「科学者の立場からゴミ処理場建設についての見解を聞きたい」という、自身が居住する町の主婦らからの申し出をキッカケに、蛸壺のような中での研究に没頭していた著者がゴミ処理の実態を調べる中で、環境問題に開眼する過程を率直に述べながら、熱力学の「エントロピー増大の法則」などをわかりやすく説明しつつ、地球環境問題に関する警鐘を鳴らしている。未来の世代に直接関わる問題だけに、広い視野からの発言には頷かせるものがある。足元〜つまり私たちの日々の生活の中〜からの問題解決への取り組みを訴えている点、文字通り地に足がついている。原子力発電所の情報の隠蔽も相次ぐ中、未来世代に美しい地球を残していく意味でも、多くの人に読んでもらいたい一冊だ。