医療現場は、医師だけではなくこうした多様なサポートを可能にするスタッフたちがいて初めて、実り豊かな患者の安心を生み、成り立つのです。こうした側面を含めた総括的な考察や施策がなかったことをこそ、問題にすべきなのです。そこに光を当てた著者に、心から敬意を表します。
医師が足りない、医療政策が間違っていた、医師たちから上がる声が多くなっています。その前から看護師の不足が叫ばれていたではありませんか。臨床心理士が精神科にいない病院だってあるではありませんか。薬剤師が処方箋通りのことしか言わない現実だってあるではありませんか。そういう実情に対して、医師たちはどんな声を上げてきたというのでしょうか？
この著作に登場するコメディカルスタッフの多くが、国立のがんセンター勤務であることを思い合わせると、まだまだこうしたフォローはこれからの課題であり、特殊な病院に限られたものだと感じます。しかし、だからこそ、こうしたスタッフに取材し、その必要性を訴える点で、患者に限らず広く読まれてほしい本です。
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