この本を読んだからといって、すぐに論文をかけるようなHow To本ではない。
しかし、論文を書く前に知っておくべき基本が書かれている。
私が生まれる以前に出版された古い本ではあるが、その内容は今の私には十分にためになるものであった。
序章の以下が印象的だった。
分野を問わず、「論文は論文であるかぎり全て一定の共通構造をもつ」。
「論文論」は、「構造的論文構成の戦略論」であり、その戦略は「構想と配置の戦略」である。
「構想と配置を中心に論文論を展開すると、それは問答論になる、いかに問いを考え出し、いかにそれに答えるか」
「問答上手は論文上手」
これらの前提を持って、各章が展開されている。
特に勉強になったのは、「第十一章 文段のまとめ方」だ。
著者はパラグラフを段落ではなく「文段」と訳している。
段落とは単なる改行箇所の区切り程度のニュアンスだが、パラグラフとは「ひとつの考えでまとめられた文章の集合」と述べている。
論文の書き方を学んだ事のない私にとっては、この辺りが非常に学びが多かった。
本書は論文を書くためのベースを教えてくれる本であり、英語論文を書くためにも参考になるのではないかと思う。
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論文のレトリック (講談社学術文庫) 文庫 – 1983/6/1
沢田 昭夫
(著)
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本書は、論文を書くことはレトリックの問題であるという視点から、構造的な論文構成の戦略論と、でき上がるまでのプロセスをレトリックとして重視しつつ論文の具体的なまとめ方を教授した書き下ろし。
- ISBN-104061586041
- ISBN-13978-4061586048
- 出版社講談社
- 発売日1983/6/1
- 言語日本語
- 寸法10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- 本の長さ330ページ
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著者について
1928年ワシントン生まれ。1951年東京大学西洋史学科卒業。コーネル大学修士。ボン大学文学博士。近代イギリス史、ヨーロッパ史専攻。南山大学教授、筑波大学教授を経て現在、筑波大学名誉教授、日本大学教授。編・著書に『原典による歴史学の歩み』『ユートピア―歴史・文学・社会思想』『論文の書き方』など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1983/6/1)
- 発売日 : 1983/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 330ページ
- ISBN-10 : 4061586041
- ISBN-13 : 978-4061586048
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
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- - 38位講談社学術文庫
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2018年3月5日に日本でレビュー済み
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2010年10月27日に日本でレビュー済み
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***
著者は,1977年に 『論文の書き方』 という本を出版しています。この本は,論文を「書く人の立場」に立って,「トピック選び→資料集め→カード取り→アウトラインの組み立て→まとめ上げ」という順序に従って,論文の書き方を指南するものでした。
その6年後(1983年)に書かれた本書『論文のレトリック』は,前書とは異なり,「論文を評価する人の立場」に立って,「よい論文」とはどのような論文なのか,「悪い論文」とはどのような論文なのかという,論文の「評価基準」を明らかにするものです。その上で,本書は,論文の評価基準(一言で言うと,「論文は問いに答えるもの」(58頁)でなければならないという基準)から見て「よい論文」を書くためにはどうしたらよいのかを詳しく論じています。
***
この本は,見方によっては,これまでにない「恐ろしい本」です。なぜなら,論文を評価する側に立つ人たち,すなわち,学術論文の大多数の審査委員がこの本を熟読し,その考え方によって,論文を審査することになれば,「この本を読まずに書いた」多くの論文が,「だめな論文」という評価を下されることになるからです。したがって,学術的に評価される論文を書きたいと思っている人にとって,本書は,必読の文献ということになるでしょう。
***
本書で明らかにされた「よい論文」であるための客観的な評価基準とは何でしょうか。その答えは,以下の通りです。
第1に,論文の「序」が「問い」として構成されていることが重要です。
第2に,本文が,その問い(主問)を分割した個別的な問い(副問)のそれぞれについて,「説得的に論証する(仮説を立て,それが,反証に耐えるものとなっていることを示す)」ものとなっていなければなりません。
第3に,副問を総合した結論が,「最初の問いに対する答えになっている」ことが不可欠です。
以上の3つの基準は,簡単なことのようですが,実際に論文を書く立場に立つと,そう簡単ではありません。学術論文といわれているものの多くが,実は,序が「問いとして明確に述べられていないもの」,本文が「想定される反論に対する論証を伴っていないもの」,結論が「序の問いに答えるものになっていないもの」となっているのが現状だからです,このような論文は,本書の基準からすると,すべて「悪い論文」と評価されることになります。
***
それでは,「よい論文」を書くためには,どのようなプロセスを踏むべきでしょうか。本書によれば,すべての学問分野に共通して,論文は,第1に,さまざまなデータ,事実を眺め,不可解な現象についての問いを考え,第2に,その問いに答えるための仮説を立て,その仮説を事実とつきあわせてそれが現実をよく理解するかどうか検証して,第3に,答えを出すとうプロセスを踏むべきである(66頁)ということになります。
***
本書の特色は,以上のような論文評価の客観的な基準だけでなく,論文作成者の心得が,各所にちりばめられていることです。たとえば,発想のもととなる「問い」を得るには,「問い」の歴史を知ることであり,それは「常に史料との絶えざる対決を通して,史料の中からにじみ出てくるもの」(106頁)であるとか,「ごまかしや欺瞞の上には創造性は育たない」(220頁)とか,「新しいものが何であるかは,古い伝統に照らして解るものである」(223頁)とかであり,それらは,創造的な論文を作成するためのヒントともなっています。
***
本書が「恐ろしい本」であるというもう1つの側面は,筆者の提唱する論文評価の客観的基準は,本書の評価にも適用可能だからです。本書の第18章(197-202頁)において,筆者は,ブック・レビュー(書評)の書き方についても,その基準を明らかにしています。そして,単純なブック・レポート(紹介記事)の作成基準の外に,以下のような評価基準が明らかにされています。
第1に,「他の研究者はこの点についてどう考えているのか,用いうる資料をすべて用いているか,新しい資料を用いたか」。
第2に,「作品の構成は問題の解決に適しているか」。
第3に,「著者の意図は十分実現されたか,目標はどれだけ達成されたか,何が重大な欠点か,何がこの本の貢献か。どの点でわれわれの知識を豊かにし,従来の定説をくつがえしたか,残された課題は何か」。
第4に,「この作品のメリットとデメリット,損益の差し引き計算はどうなるか」というものです。
***
この基準を本書にあてはめると,本書の評価は以下のようになります。
***
第1に,本書は,『論文のレトリック』という表題にもかかわらず,古典的なレトリック論に則っているだけで,新しいレトリックの考え方の成果を十分に取り入れていません。すなわち,1983年の作品であるにも関わらず,1979年以降に進展した新しいレトリックの考え方を明らかにした基本的な文献である ペレルマン『説得の論理学−新しいレトリック』(1980) が参照されていません。その結果として,本書では,一方で,「論証と説得とを区別すべき」(68頁)だと論じつつ,他方で,両者を区別せずに「論証・説得」と表記し,「説明と論証・説得両者の区別は必ずしも截然としているわけではない」というように矛盾した記述に陥っています。新しいレトリックの考え方が,説得と論証とを不可分のものとする考え方であることを理解していれば,このような矛盾は生じなかったと思われます。
第2に,本書は,著者の前書である 『論文の書き方』 の説明不足,脱落を敷衍した姉妹編だとされています(3頁)。しかし,本書を通読すると,最初にも述べたように,前書の主題が,「よい論文を書くための,作成プロセスは以下にあるべきか」であったのに対して,本書の主題は,「論文の客観的な評価基準は何か,その評価基準を満たすよい論文を書くにはどのような戦略が必要か」を明らかにするものとなっています。そうだとすると,本書の構成は,論文の評価基準を論じる部分と,その基準を満たすためのよい論文の書き方に関する戦略の2つから構成されるべきであるということになります。本書の構成は,そのような順序にも構成にもなっておらず,「どの章もだいたいそれぞれ独立している」(4頁)という粗雑な構成になっており,テーマとの連関,および,その展開がバラバラであり,何が統一的なテーマかを知ることが困難な構成となっています。
第3に,本書の意図が,前書の姉妹編であるとされているにもかかわらず,前書との重複箇所が随所に見られる上に,前書に何を付け加えたのかが明確に示されていません。このため,現に,本書のレビューの中には,前書「『論文の書き方』の方が『数段すぐれている』」という評価が生じています。もしも,本書の意図が,前書の論文の書き方というプロセスを明らかにするものではなく,すでに書かれた論文について,それが,「よい論文であるのか」,「悪い論文であるのか」の客観的な評価基準を明らかにしようとするものであり,そのような評価基準に耐える「よい論文を書くための戦略は何か」ということであるとするならば,その構成を全面的に変更すべきでしょう。
第4に,本書のメリットは,論文とは,「問いに答えるもの」であることを明らかにし,論文の評価基準を,「問いから答えに至る論証が十分に説得的になされているか」として,「問い」,「論証」,「結論」に関する具体的な評価基準を明らかにした点にあります。反対に,本書のデメリットは,そのような評価基準が十分に説得的であることを示すための構成が粗雑であり,一読しただけでは,著者の意図がどこにあるのかが明確に示されていないという点にあります。本書に対して,「著者の主張とは反し,本筋が何か忘れそうになりました」というブックレビューがあるのは,そのためだと思います。
以上のように,本書は,論文の評価基準を明らかにしたことによって,自らの著書の評価基準をも明らかにしており,そのメリット(論文審査の評価基準が明らかにされた),デメリット(作品自体は,エッセーだとしても,評価基準に合致していない)が容易となっています。
***
本書の客観的評価基準に基づく評価によれば,以上のように,本書の評価がかなり低くなるとしても,そのことは,本書の価値自体を損なうものではありません。
なぜなら,本書によって明らかにされた,論文の評価基準は,論文の審査委員にとっても,また,審査を受けることを前提にして論文を書く人にとっても有益であり,その基準の当否を巡って,あらたな議論を巻き起こすことになるという無限の可能性を秘めているからです。
その意味で,本書は,論文を書く人,読む人のすべての人に薦めることのできる良書であると思います。
著者は,1977年に 『論文の書き方』 という本を出版しています。この本は,論文を「書く人の立場」に立って,「トピック選び→資料集め→カード取り→アウトラインの組み立て→まとめ上げ」という順序に従って,論文の書き方を指南するものでした。
その6年後(1983年)に書かれた本書『論文のレトリック』は,前書とは異なり,「論文を評価する人の立場」に立って,「よい論文」とはどのような論文なのか,「悪い論文」とはどのような論文なのかという,論文の「評価基準」を明らかにするものです。その上で,本書は,論文の評価基準(一言で言うと,「論文は問いに答えるもの」(58頁)でなければならないという基準)から見て「よい論文」を書くためにはどうしたらよいのかを詳しく論じています。
***
この本は,見方によっては,これまでにない「恐ろしい本」です。なぜなら,論文を評価する側に立つ人たち,すなわち,学術論文の大多数の審査委員がこの本を熟読し,その考え方によって,論文を審査することになれば,「この本を読まずに書いた」多くの論文が,「だめな論文」という評価を下されることになるからです。したがって,学術的に評価される論文を書きたいと思っている人にとって,本書は,必読の文献ということになるでしょう。
***
本書で明らかにされた「よい論文」であるための客観的な評価基準とは何でしょうか。その答えは,以下の通りです。
第1に,論文の「序」が「問い」として構成されていることが重要です。
第2に,本文が,その問い(主問)を分割した個別的な問い(副問)のそれぞれについて,「説得的に論証する(仮説を立て,それが,反証に耐えるものとなっていることを示す)」ものとなっていなければなりません。
第3に,副問を総合した結論が,「最初の問いに対する答えになっている」ことが不可欠です。
以上の3つの基準は,簡単なことのようですが,実際に論文を書く立場に立つと,そう簡単ではありません。学術論文といわれているものの多くが,実は,序が「問いとして明確に述べられていないもの」,本文が「想定される反論に対する論証を伴っていないもの」,結論が「序の問いに答えるものになっていないもの」となっているのが現状だからです,このような論文は,本書の基準からすると,すべて「悪い論文」と評価されることになります。
***
それでは,「よい論文」を書くためには,どのようなプロセスを踏むべきでしょうか。本書によれば,すべての学問分野に共通して,論文は,第1に,さまざまなデータ,事実を眺め,不可解な現象についての問いを考え,第2に,その問いに答えるための仮説を立て,その仮説を事実とつきあわせてそれが現実をよく理解するかどうか検証して,第3に,答えを出すとうプロセスを踏むべきである(66頁)ということになります。
***
本書の特色は,以上のような論文評価の客観的な基準だけでなく,論文作成者の心得が,各所にちりばめられていることです。たとえば,発想のもととなる「問い」を得るには,「問い」の歴史を知ることであり,それは「常に史料との絶えざる対決を通して,史料の中からにじみ出てくるもの」(106頁)であるとか,「ごまかしや欺瞞の上には創造性は育たない」(220頁)とか,「新しいものが何であるかは,古い伝統に照らして解るものである」(223頁)とかであり,それらは,創造的な論文を作成するためのヒントともなっています。
***
本書が「恐ろしい本」であるというもう1つの側面は,筆者の提唱する論文評価の客観的基準は,本書の評価にも適用可能だからです。本書の第18章(197-202頁)において,筆者は,ブック・レビュー(書評)の書き方についても,その基準を明らかにしています。そして,単純なブック・レポート(紹介記事)の作成基準の外に,以下のような評価基準が明らかにされています。
第1に,「他の研究者はこの点についてどう考えているのか,用いうる資料をすべて用いているか,新しい資料を用いたか」。
第2に,「作品の構成は問題の解決に適しているか」。
第3に,「著者の意図は十分実現されたか,目標はどれだけ達成されたか,何が重大な欠点か,何がこの本の貢献か。どの点でわれわれの知識を豊かにし,従来の定説をくつがえしたか,残された課題は何か」。
第4に,「この作品のメリットとデメリット,損益の差し引き計算はどうなるか」というものです。
***
この基準を本書にあてはめると,本書の評価は以下のようになります。
***
第1に,本書は,『論文のレトリック』という表題にもかかわらず,古典的なレトリック論に則っているだけで,新しいレトリックの考え方の成果を十分に取り入れていません。すなわち,1983年の作品であるにも関わらず,1979年以降に進展した新しいレトリックの考え方を明らかにした基本的な文献である ペレルマン『説得の論理学−新しいレトリック』(1980) が参照されていません。その結果として,本書では,一方で,「論証と説得とを区別すべき」(68頁)だと論じつつ,他方で,両者を区別せずに「論証・説得」と表記し,「説明と論証・説得両者の区別は必ずしも截然としているわけではない」というように矛盾した記述に陥っています。新しいレトリックの考え方が,説得と論証とを不可分のものとする考え方であることを理解していれば,このような矛盾は生じなかったと思われます。
第2に,本書は,著者の前書である 『論文の書き方』 の説明不足,脱落を敷衍した姉妹編だとされています(3頁)。しかし,本書を通読すると,最初にも述べたように,前書の主題が,「よい論文を書くための,作成プロセスは以下にあるべきか」であったのに対して,本書の主題は,「論文の客観的な評価基準は何か,その評価基準を満たすよい論文を書くにはどのような戦略が必要か」を明らかにするものとなっています。そうだとすると,本書の構成は,論文の評価基準を論じる部分と,その基準を満たすためのよい論文の書き方に関する戦略の2つから構成されるべきであるということになります。本書の構成は,そのような順序にも構成にもなっておらず,「どの章もだいたいそれぞれ独立している」(4頁)という粗雑な構成になっており,テーマとの連関,および,その展開がバラバラであり,何が統一的なテーマかを知ることが困難な構成となっています。
第3に,本書の意図が,前書の姉妹編であるとされているにもかかわらず,前書との重複箇所が随所に見られる上に,前書に何を付け加えたのかが明確に示されていません。このため,現に,本書のレビューの中には,前書「『論文の書き方』の方が『数段すぐれている』」という評価が生じています。もしも,本書の意図が,前書の論文の書き方というプロセスを明らかにするものではなく,すでに書かれた論文について,それが,「よい論文であるのか」,「悪い論文であるのか」の客観的な評価基準を明らかにしようとするものであり,そのような評価基準に耐える「よい論文を書くための戦略は何か」ということであるとするならば,その構成を全面的に変更すべきでしょう。
第4に,本書のメリットは,論文とは,「問いに答えるもの」であることを明らかにし,論文の評価基準を,「問いから答えに至る論証が十分に説得的になされているか」として,「問い」,「論証」,「結論」に関する具体的な評価基準を明らかにした点にあります。反対に,本書のデメリットは,そのような評価基準が十分に説得的であることを示すための構成が粗雑であり,一読しただけでは,著者の意図がどこにあるのかが明確に示されていないという点にあります。本書に対して,「著者の主張とは反し,本筋が何か忘れそうになりました」というブックレビューがあるのは,そのためだと思います。
以上のように,本書は,論文の評価基準を明らかにしたことによって,自らの著書の評価基準をも明らかにしており,そのメリット(論文審査の評価基準が明らかにされた),デメリット(作品自体は,エッセーだとしても,評価基準に合致していない)が容易となっています。
***
本書の客観的評価基準に基づく評価によれば,以上のように,本書の評価がかなり低くなるとしても,そのことは,本書の価値自体を損なうものではありません。
なぜなら,本書によって明らかにされた,論文の評価基準は,論文の審査委員にとっても,また,審査を受けることを前提にして論文を書く人にとっても有益であり,その基準の当否を巡って,あらたな議論を巻き起こすことになるという無限の可能性を秘めているからです。
その意味で,本書は,論文を書く人,読む人のすべての人に薦めることのできる良書であると思います。
2012年11月27日に日本でレビュー済み
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「論文の解りやすいまとめ方」について、わかりやすくまとめてあります。
折角集めた情報も、読む人に解り易く整理して無ければ、
内容がいくら良くてもやはり文章としては宜しくないでしょう。
そういった意味で、何か情報を集めて論文を書く必要がある時には、
事前にこの本を読む時間も計算に入れておくと
自分で試行錯誤して書くよりも数段スッキリとしたものが出来上がると思います。
折角集めた情報も、読む人に解り易く整理して無ければ、
内容がいくら良くてもやはり文章としては宜しくないでしょう。
そういった意味で、何か情報を集めて論文を書く必要がある時には、
事前にこの本を読む時間も計算に入れておくと
自分で試行錯誤して書くよりも数段スッキリとしたものが出来上がると思います。
2021年6月17日に日本でレビュー済み
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やすいけど、でもほぼ新品です。中も使った感じがなった。そしてこの本は、学生でも、学者でも、終身使える本としておすすめです。
2014年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容がまだ難しいと感じました。苦手意識からかもしれませんが、ゆっくり活用していくようにしてみます。
2013年4月18日に日本でレビュー済み
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2013.4.19 大学生
論文を初めて書く人にとって効用ははかりしれない本です。この本を読んで、ほっとしました。前進中です。なによりも、レトリックをたたきこみましょう。
論文を初めて書く人にとって効用ははかりしれない本です。この本を読んで、ほっとしました。前進中です。なによりも、レトリックをたたきこみましょう。
2007年4月20日に日本でレビュー済み
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工学系の私には何の参考にもなりませんでした.
本書の99%が文系的な例で占められており,また論文のレトリックに関しても文系向けの説明だけで,読んでいて嫌になりました.
途中で読むのをやめようかとも思いましたが,最後まで読んでも理系の人のためになるようなことは1%程度でした.しかも長々と訳の分らない例,説明,歴史的背景等があり,著者の主張とは反し,本筋が何か忘れそうになりました.
私の無知故かも知れませんが,理系の方には全くお勧めしません.
本書の99%が文系的な例で占められており,また論文のレトリックに関しても文系向けの説明だけで,読んでいて嫌になりました.
途中で読むのをやめようかとも思いましたが,最後まで読んでも理系の人のためになるようなことは1%程度でした.しかも長々と訳の分らない例,説明,歴史的背景等があり,著者の主張とは反し,本筋が何か忘れそうになりました.
私の無知故かも知れませんが,理系の方には全くお勧めしません.
2012年12月18日に日本でレビュー済み
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論文の構成方法の指南書と思います。体系化された形式値になっている点で拾い読みでも参考になりました。