敬愛する練達の読書家・書評家である谷沢永一が『人間通になる読書術・実践編』(谷沢永一著、PHP新書)で、絶賛している『現代読書法』(田中菊雄著、講談社学術文庫)を手にしました。
紀田順一郎が解説で、こう評しています。「本書は一世の読書人、独学のチャンピオンが綴った体験的読書論なのである。戦前の著書であるから古くなった箇所もないではないが、それをこえて私たちのこころに直截に訴えてくるのは、読書を中心とする知的生活への情熱である。『読書人の魂』そのものである」。
とりわけ、私の心に響いたのは、この3つです。
「真に読書の効果を挙げようと思えば、どうしても必然的に簡易生活にならざるを得ない。『身は卑(ひく)く、心は貴(たか)く侍すること』(低く処し高く思う)は、読書人の金誡であらねばならぬ」。
「読書ばかりが決して学問ではない。真の学問は日々の仕事の中にある。人生の営みの中にこそ真の学問がある。あくまで人生が主である。読書はその人生をいかによく、いかに有意義に生くべきかを学ぶための手段に過ぎない。昼は業務に精励し、夜は読書研鑚、農民として耕し、哲人として思索するという心掛けこそあらゆる現代人にとって金誡であらねばならぬと思う」。
「読書と観察と思索と実行の四つは相扶けて私どもを智恵の彼岸に到らしむる車の四輪である。真の知識、真に物を見る眼、炯眼、しかり、造化の真意を看抜く創造的炯眼を得るための四つの要素なのである。正しく見ること、真に知ること、その中にこそ人間一切の道徳が存するのである」。
著者の読書に対する熱い思いが、ひしひしと伝わってきます。
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現代読書法 (講談社学術文庫 775) 文庫 – 1987/2/1
田中 菊雄
(著)
- 本の長さ276ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1987/2/1
- ISBN-104061587757
- ISBN-13978-4061587755
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商品の説明
著者について
1893年北海道生まれ。小学校卒業後、国鉄の給仕として勤めながら独学。小学校代用教員、呉中学教諭、山形高等学校・山形大学教授、神奈川大学教授を歴任。1975年没。編著書に『岩波英和辞典』『英語広文典』『わたしの英語遍歴』『私の人生探求』など多数。学術文庫に本書のほか『英語研究者のために』がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1987/2/1)
- 発売日 : 1987/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 276ページ
- ISBN-10 : 4061587757
- ISBN-13 : 978-4061587755
- Amazon 売れ筋ランキング: - 436,862位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年4月26日に日本でレビュー済み
2020年6月1日に日本でレビュー済み
田中菊雄(1893~1975年)氏は、北海道に生まれ、父親の事業の失敗等により高等小学校しか卒業していないが、その後、主に独学で英語を勉強する傍ら、高等小学校、中等学校、高等学校の教員試験に次々と合格し、北海道、広島、新潟、富山、山形などで教鞭をとりつつ、複数の英和辞典の編纂に関わった。中でも、実質的に独力で編纂したといわれる、1936年出版の『岩波英和辞典』は、世界最高の辞書といわれる「オックスフォード英語辞典 (OED)」を凝縮したものとして、絶版以降20年を経ても、多くの英語関係者が絶賛する伝説の英和辞典である。
本書は、1948年に発表され、数度の再版を経て、1987年に講談社学術文庫から出版された。(現在は絶版)
本書は、題名通り、読書の方法や情報取得・整理の技術について幅広い視点から書かれたもので、当時であれば画期的な内容であったと想像されるし(解説で紀田順一郎氏も書いているように、梅棹忠夫氏のベストセラー『知的生産の技術』(1969年)の20年も前に出ているのだ)、基本的な内容については今でも大いに参考になるものである。
しかし、本書を今でも読むに値する本たらしめているのは、本書には「自分の眼は書物を読むためにあるのだから、盲目になるまで読書をしようと心にきめた。命はみじかい。二流、三流の書物を読んでいては一流の書物が読めない。はじめからまっすぐに一流の書物を読まなくては」という心構えで書物に接し続けた著者の、書物愛と知的生活に対する情熱が溢れており、伝説の英和辞典を編んだ著者がどのような人物であったのかを語ってくれているからである。
引用されている人物・作品は、カーライル、吉田松陰、エマーソン、ニーチェ、モンテーニュ、阿部次郎、ゲーテ、リンカーン、本居宣長、シェイクスピア、与謝野晶子、小泉八雲、モーティマー・アドラー『本を如何に読むべきか(本を読む本)』、ジョン・ラスキン、ギッシング、新渡戸稲造、フランシス・ベーコン、ハマートン『知的生活』、夏目漱石、ヒルティ『幸福論』、小泉信三、エッカーマン『ゲーテとの対話』、聖書、五書仏教聖典、『菜根譚』、佐藤一斎『言志四録』、プラトン、マーカス・オーレリアス(マルクス・アウレリウス)『冥想録(自省録)』、徳富蘇峰など、古今東西を網羅しており、更に巻末には、読書に関する参考文献50冊が紹介されている。
一世の読書人、独学の士が、読書人の魂を訴える体験的読書論である。
(2008年4月了)
本書は、1948年に発表され、数度の再版を経て、1987年に講談社学術文庫から出版された。(現在は絶版)
本書は、題名通り、読書の方法や情報取得・整理の技術について幅広い視点から書かれたもので、当時であれば画期的な内容であったと想像されるし(解説で紀田順一郎氏も書いているように、梅棹忠夫氏のベストセラー『知的生産の技術』(1969年)の20年も前に出ているのだ)、基本的な内容については今でも大いに参考になるものである。
しかし、本書を今でも読むに値する本たらしめているのは、本書には「自分の眼は書物を読むためにあるのだから、盲目になるまで読書をしようと心にきめた。命はみじかい。二流、三流の書物を読んでいては一流の書物が読めない。はじめからまっすぐに一流の書物を読まなくては」という心構えで書物に接し続けた著者の、書物愛と知的生活に対する情熱が溢れており、伝説の英和辞典を編んだ著者がどのような人物であったのかを語ってくれているからである。
引用されている人物・作品は、カーライル、吉田松陰、エマーソン、ニーチェ、モンテーニュ、阿部次郎、ゲーテ、リンカーン、本居宣長、シェイクスピア、与謝野晶子、小泉八雲、モーティマー・アドラー『本を如何に読むべきか(本を読む本)』、ジョン・ラスキン、ギッシング、新渡戸稲造、フランシス・ベーコン、ハマートン『知的生活』、夏目漱石、ヒルティ『幸福論』、小泉信三、エッカーマン『ゲーテとの対話』、聖書、五書仏教聖典、『菜根譚』、佐藤一斎『言志四録』、プラトン、マーカス・オーレリアス(マルクス・アウレリウス)『冥想録(自省録)』、徳富蘇峰など、古今東西を網羅しており、更に巻末には、読書に関する参考文献50冊が紹介されている。
一世の読書人、独学の士が、読書人の魂を訴える体験的読書論である。
(2008年4月了)
2010年2月23日に日本でレビュー済み
1.内容
昭和16年ごろに書かれたもので、苦労して学問を身につけた著者が、その経験、ならびに結構な量の引用を用いて、どのように読書すべきかを説いた本。選択、読み方、図書館の利用法、状況別の読書法、新聞や雑誌の読み方など、内容は多岐にわたる。
2.評価
若干古い面もあるが、星を減らすほどでもなく(大概古い本は現在に応用できない部分が多いものだが、この本に関してはほとんど感じなかったので)、想定しうる状況が、コンパクトな(文庫なので)わりには網羅されており、役に立つと思われるので、星5つ。読書法の古典として、今後も読まれるべき本である。
昭和16年ごろに書かれたもので、苦労して学問を身につけた著者が、その経験、ならびに結構な量の引用を用いて、どのように読書すべきかを説いた本。選択、読み方、図書館の利用法、状況別の読書法、新聞や雑誌の読み方など、内容は多岐にわたる。
2.評価
若干古い面もあるが、星を減らすほどでもなく(大概古い本は現在に応用できない部分が多いものだが、この本に関してはほとんど感じなかったので)、想定しうる状況が、コンパクトな(文庫なので)わりには網羅されており、役に立つと思われるので、星5つ。読書法の古典として、今後も読まれるべき本である。
2007年12月21日に日本でレビュー済み
ビブリオ・マニアを超えたフィロビブロンと紀田順一郎氏が賞賛を惜しまないが、著書を読んでみると、それ以上の素晴らしい人物である。
小学校卒で国鉄の給仕として働き、苦学の末に山形大学の教授になり、岩波英和辞典を編纂された方である。文字通り本を味読し、それらを自分の血肉に変えて英語学者になっただけではなく、その知識を学問の啓蒙に人生を費やすというのは並大抵では出来ない。
本編で紹介される著書は古書店でないと手に入らない本もあるかもしれない。古典も含まれている。だが本は時代を超えて評価されるものである。今のようにネットで簡単に手に入る時代とは違い、当時は入手も大変であったろう。本を味わい、楽しみながら、そして本を愛する著者こそ、本当のビブリオマニアであろう。
著者の真摯な学問の態度に、只恐れ入るだけである。
小学校卒で国鉄の給仕として働き、苦学の末に山形大学の教授になり、岩波英和辞典を編纂された方である。文字通り本を味読し、それらを自分の血肉に変えて英語学者になっただけではなく、その知識を学問の啓蒙に人生を費やすというのは並大抵では出来ない。
本編で紹介される著書は古書店でないと手に入らない本もあるかもしれない。古典も含まれている。だが本は時代を超えて評価されるものである。今のようにネットで簡単に手に入る時代とは違い、当時は入手も大変であったろう。本を味わい、楽しみながら、そして本を愛する著者こそ、本当のビブリオマニアであろう。
著者の真摯な学問の態度に、只恐れ入るだけである。
2006年4月23日に日本でレビュー済み
『現代読書法』というタイトルにも関わらず。結構古臭い内容。でも筆者の学問・書物に対する深い情熱と苦労を重ねてきた人生経験から滲み出してくるようなアドバイスは、その一種独特の文体リズムと相まって、至福の読書体験となろう。書物名を付した具体論が多く、高踏的な所は殆ど無いが、やや真面目過ぎるのと、引用が多過ぎるのが☆一つマイナスの理由。