研究対象を生物学の範囲のままに、
研究方法を文化人類学的にしてみたという変わった本。
様々な生物の生態を文化として考えるという点で、
科学というよりは、科学的知見をもとにしたエッセイである。
日高先生の博識とユーモアが堪能できるのはうれしいが、
方法論は文化人類学とまったく一緒なので、読者のものの見方を
揺るがしてくれる衝撃度としてはそれほど高くない。
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動物という文化 (講談社学術文庫 854) 文庫 – 1988/12/1
日高 敏隆
(著)
- 本の長さ233ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1988/12/1
- ISBN-104061588540
- ISBN-13978-4061588547
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商品の説明
著者について
1930年東京生まれ。東京大学理学部卒業。専攻は動物行動学。理学博士。京都大学教授を経て、現在京都大学名誉教授。主著に、『動物にとって社会とはなにか』(講談社学術文庫)『人間についての寓話』『昆虫という世界』『チョウはなぜ飛ぶか』『エソロジーはどういう学問か』など。他に『ソロモンの指環』等訳書多数。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1988/12/1)
- 発売日 : 1988/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 233ページ
- ISBN-10 : 4061588540
- ISBN-13 : 978-4061588547
- Amazon 売れ筋ランキング: - 983,841位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年1月7日に日本でレビュー済み
前半「動物のパターン」の初出が1973年、後半「動物の生きる条件」が1974年と、少々理学書としては古いのであるが、「ちょっと見方を変えた生物学(動物)の教科書」として面白いと思った。
それぞれの動物は「独自のパターン」で環境に適応し、現在存在している。この本ではその「独自のパターン」を「文化」と言う言葉で表現した。内容的にはさまざまな動物の体制や生きる条件を説明した「生物学(動物)の教科書」なのであるが、「文化」という言葉を使ったことで「人間の文化」を考えるなにか、が見えてくるような本になっている。中世ヨーロッパの歴史研究家、阿部謹也が「解説」に書いているのもそのあたりのことである。「すべての動物の生き方は等価であり、異なるパターンの論理に優劣はつけられない」という著者の主張は、人間の文化についても、民族ごとの異なった流儀を野蛮であるなどの優劣で考えようとしてはいけないという考えに演繹でき、レヴィ・ストロースの「野生の思考」を思い起こさせる。ヒトの文化の研究も、「進化」の考え方の影響を受けているのである。
そのような難しいことは抜きにして、カイメンを「毛の生えたザルの文化」とする説明は簡明。楽しみながら読み進むと、「へんないきもの」たちもちゃんと彼らなりの世界を構築しているのだ、ということが自然に納得できてしまう。昨年チンパンジーのゲノムの概要が解読され、おそらく「ヒトはどこが違うか」に関心が集まるのだろうが、チンパンジーはチンパンジーとして独自に生き続けていることを忘れてはならないことをおもいださせてくれる。
ヒトの文化は衝突をし続けている。動物たちも衝突し続けているのだろうけれど、その衝突の仕方に学ぶものはないだろうか。
それぞれの動物は「独自のパターン」で環境に適応し、現在存在している。この本ではその「独自のパターン」を「文化」と言う言葉で表現した。内容的にはさまざまな動物の体制や生きる条件を説明した「生物学(動物)の教科書」なのであるが、「文化」という言葉を使ったことで「人間の文化」を考えるなにか、が見えてくるような本になっている。中世ヨーロッパの歴史研究家、阿部謹也が「解説」に書いているのもそのあたりのことである。「すべての動物の生き方は等価であり、異なるパターンの論理に優劣はつけられない」という著者の主張は、人間の文化についても、民族ごとの異なった流儀を野蛮であるなどの優劣で考えようとしてはいけないという考えに演繹でき、レヴィ・ストロースの「野生の思考」を思い起こさせる。ヒトの文化の研究も、「進化」の考え方の影響を受けているのである。
そのような難しいことは抜きにして、カイメンを「毛の生えたザルの文化」とする説明は簡明。楽しみながら読み進むと、「へんないきもの」たちもちゃんと彼らなりの世界を構築しているのだ、ということが自然に納得できてしまう。昨年チンパンジーのゲノムの概要が解読され、おそらく「ヒトはどこが違うか」に関心が集まるのだろうが、チンパンジーはチンパンジーとして独自に生き続けていることを忘れてはならないことをおもいださせてくれる。
ヒトの文化は衝突をし続けている。動物たちも衝突し続けているのだろうけれど、その衝突の仕方に学ぶものはないだろうか。