本書は、
ニーチェ<力の意志><永劫回帰>、ソシュール<差異>、井筒俊彦<意識の重層性><言語アーラヤ識>
の思想構築のプロセスを示している、とあとがきにある。
(あとがき)
ヒトは、コトバ(langage)を持つ動物であるが故に本能的行動様式が壊れており、
もはや生のエネルギーをユクスキュル的な<環境世界>へと分節しきれなくなっている
この<見分け構造>が破綻した間隙から溢れ出るエネルギーが、<言分け構造>(=コスモス)
と共起するカオスとしての欲動であり、
私たちはコトバが生み出した<カオスモス>なる過剰をもつ(258)
<見分け構造>と<言分け構造>、<記号学・記号連鎖>、<逆ホメオスタシス・ホメオスタシス>
といった全体像を様々な諸説、引用、独自の諸方法から解説しながら、
「コトバは語るものによってと同様にそれが語らぬものによって何かを表現する」
『シーニュ(メルロ=ボンティ)』
といったランガージュの結節点・繁索点のようなものから、
未分節/多層・ポリフォニー的な潜性態から降りてくるような拡がった浮遊するイメージのなかへと、
<見分け構造><言分け構造>を「読み」ながら「書い」たり「描い」ていく。
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(思想段階)
①『ソシュールの思想』(Ⅰ~Ⅲ章)
②『生命と過剰』『言葉と無意識』『欲動』『言葉・狂気・エロス』(Ⅳ~Ⅶ章)
③『文化記号学の可能性』
④『生命と過剰、第2部』
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1 <見分け構造>と<言分け構造>
2 <コトバ>と<者>記号学
3 静態記号学から力動記号学へ
4 言語と世界の分節化
5 深層意識のメタファーとメトミニー
6 サルトルとフロイトの<意識>をめぐって
7 コトバと権力と生の円環運動
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(前-記号学)
・「まず在るものは視点だけあって、事物は二次的につくられる」(断章3295)
・<身分け構造>の破綻/本能残基 instinktしかない
「<言分け構造>をもったが故にすでに本能が破壊されていて(~)」
・<身分け構造>実質的 substance(ホメオスタシス)(第一次分節)
・<言分け構造>形相的 forme(逆ホメオスタシス/差異化・差延化)(第二次分節)
(『環境世界(ユクスキュル)』_ダニの内的世界のようなもの)
(記号学)
・深層/セーム(指向対象・意味をもたない)
・表層/シーニュ
・指向対象 referent
・シニフィアンとシニフィエの不可分離性/と同時共起的なシーニュ
「(~)言語記号が登場する以前の思考には、何一つそして明瞭に識別されるものはない」
(<対象>と<意味>のアプリオリズムの否定)
・記号・条件装置/象徴交換原理
・「記号学は恣意的に定められた価値を扱う学問である」(デガリエのノート)
(記号学/下部構造・連鎖)
・メタファー(連合/圧縮)(意味の類似性)
・メトミニー(連辞/置換)(意味の隣接性)(R・ヤーコブソン)
・充溢・空化(エログロナンセンス)
(空のもつ限りない充溢)
(「シニフィアンとシニフィエは共起的であり、不可分離である」の逆説)
(クッションの綴じ目が外れた状態)
(円環運動①)
・ソシュール<アナグラム>
・ニーチェ<永劫回帰><ツァラトゥストラ>
・「我々の区別の立て方、使用する述語、語り口すべて、
無意識裡に想定された実体験というに鋳型にはめこまれている
(~)何よりもまず我々の 立てる原初的区別がどのようなものであるか解体してみせる (~)」(断章3295)
・カタルシス再拘束(逸脱・物象化/円環)
・「シーシュポス的解体=構築/差異化・対象化」
・「解体=構築は起きるのです」(デリダ)
・「差異化は起こすのでなく起きる」(ソシュール)
・「(~)遅延させ、差異化する作用そのものであり、
あるいは遅延され、差異化された<同一>のものなのだ」
・「(~)人々は儀礼的身振りの無自覚的反復によって、
現存権力への自発的服従を自明化する」『現代思想を読む事典』
・「すべての<反->は、それが、立ち向かう相手の本質の中に必然的にとらわれている」
『森の道(ハイデガー)』
・ハイデガーによれば、(~)反プラトン主義は、非プラトン主義ではなく、
やはりプラトン主義のカヴァー・ヴァージョンなのである。
(<反->はまさしく批判対象の正反対に進もうとするが故に、同じ平面でしか動きえず(~))
・「真なるもの、善、神聖さなどの代わりに、
進歩、幸福、有用性などがその場を占めた」『ニーチェ(ドゥルーズ)』
(この簒奪者のおかげでニヒリズムはますます蔓延の一途をたどるだろう/恣意性の逆説)
(世俗化されたプラトン主義)
(プラトン=アウグスティヌス=ガリレイ=デカルトコギト(世界は利にかなった理法=レゾン))
(イデア・マテリア/形相エイドス・質料ヒュレー)
・「言語が社会制度である(汎時的拘束力)」(ホイットニー)
・ヌミノーゼ的体験/恐怖・快楽の両義性『インド恩寵宗教とキリスト教』
『排除の構造(今村仁司)』
『排除の現象学(赤坂憲雄)』
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カオスモスの運動 (講談社学術文庫 993) 文庫 – 1991/11/1
丸山 圭三郎
(著)
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1991/11/1
- ISBN-104061589938
- ISBN-13978-4061589933
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1991/11/1)
- 発売日 : 1991/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 278ページ
- ISBN-10 : 4061589938
- ISBN-13 : 978-4061589933
- Amazon 売れ筋ランキング: - 824,305位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,771位哲学・思想の論文・評論・講演集
- - 2,051位講談社学術文庫
- - 34,341位評論・文学研究 (本)
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