「自由」「平等」「自治」などの現代社会を支える重要な概念・キーワードは結局、「市民」意識に帰着する。西欧中世都市から生まれた市民意識は、都市の発展に伴い、商人によって組織された誓約団体が北欧に渡来し、前近代的氏族的制約を打ち破り、成立したものであることを本書は論証する。
歴史区分を俯瞰し、マックス・ウェーバーを援用しつつ、緻密な史料検討、明快な問題意識にもとづくもので、歴史学の王道とでもいうべきもので、これは本書の名著と呼ばれるゆえんである。
そしてその裏には東西両洋社会比較という壮大なテーマがあり、さらに今日ではその重要性を増している。果たして市民意識が全ての社会・文化にとって普遍的なものなのか、西欧に特殊的なものなのか、課題は引き続き我々に鋭く突きつけられている。
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