これは講談社学術文庫の「幕末・明治の激動の時代」シリーズの一つである。先日「英国人写真家の見た明治日本―この世の楽園・日本: ハーバート・G.ポンティング (著), 長岡 祥三(訳)」を読んで感動したが、これも大変に面白かった。
明治34年から7年間、鹿児島島津藩の島津家の家庭教師として日本に滞在したハワード女史の回想録である。貴族の家庭での生活の描写が中心だが、女性ならではの繊細な観察眼から、当時の日本の家庭の生活様式を垣間見ることができる。慣れない習慣のなかで気丈に過ごしたハワード女史の力強さや、責任感や忍耐の大切さを身につけた島津家の子供たちの精神的な成熟には、いまの自分の怠惰な生活を省みると身の引き締まる思いがした。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
明治日本見聞録 (講談社学術文庫) 文庫 – 1999/2/10
一英国婦人の目に映った懐かしき明治の日本薩摩藩主の家系島津家五人の子息の教育を託された家庭教師の興趣溢れる養育体験記。当時の上流社会の家庭の様子と日本の風俗、日本人の気質が愛惜こめて語られる
- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1999/2/10
- ISBN-104061593641
- ISBN-13978-4061593640
商品の説明
著者について
【エセル・ハワード】
1865年英国に生まれる。1895年ドイツ皇帝ウイルヘルム二世の皇太子およびその弟妹の英語の家庭教師となる。1898年病に倒れのち帰国。1901年来日し1908年まで島津家の家庭教師。帰国後H.A.ベルと結婚。1914年夫婦で来日、1931年ロンドンにて死去。
【島津久大】
1906年島津忠済の三男として東京に生まれる。東京大学法学部卒業後外務省に入り、スペイン、カナダ等の大使を経て退官。1974年から1980年まで迎賓館長をつとめる。1990年没。
1865年英国に生まれる。1895年ドイツ皇帝ウイルヘルム二世の皇太子およびその弟妹の英語の家庭教師となる。1898年病に倒れのち帰国。1901年来日し1908年まで島津家の家庭教師。帰国後H.A.ベルと結婚。1914年夫婦で来日、1931年ロンドンにて死去。
【島津久大】
1906年島津忠済の三男として東京に生まれる。東京大学法学部卒業後外務省に入り、スペイン、カナダ等の大使を経て退官。1974年から1980年まで迎賓館長をつとめる。1990年没。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1999/2/10)
- 発売日 : 1999/2/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 302ページ
- ISBN-10 : 4061593641
- ISBN-13 : 978-4061593640
- Amazon 売れ筋ランキング: - 738,254位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2004年6月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1901~1908年にかけ、元薩摩藩主島津家の五人兄弟の家庭教師として、島津家の人たちと共に東京永田町の島津邸に起居した英国婦人E・ハワードの回想録である。彼女が日本での生活で感じたことや、北海道や九州、朝鮮などへ旅行した時の模様などが書かれている。
自然や服装、細かい仕種などの記述に女性らしい視点を感じるが、東郷平八郎や乃木希典をはじめ日本の軍人全般も高く評価している。そして、軍事論や政治論に走りがちな男性とは違った観点からの、日露戦争中の日本国内の様子は興味深い。
彼女が見たのは貴族階級の生活を通しての日本であり、庶民の目から見たものとは違っているのだろうが、それでも当時の日本を知る上で貴重な資料になると思われる著作である。
自然や服装、細かい仕種などの記述に女性らしい視点を感じるが、東郷平八郎や乃木希典をはじめ日本の軍人全般も高く評価している。そして、軍事論や政治論に走りがちな男性とは違った観点からの、日露戦争中の日本国内の様子は興味深い。
彼女が見たのは貴族階級の生活を通しての日本であり、庶民の目から見たものとは違っているのだろうが、それでも当時の日本を知る上で貴重な資料になると思われる著作である。
2007年2月28日に日本でレビュー済み
著者のエセル・ハワードはドイツ皇帝・ウィルヘルム2世の子供達の家庭教師も務め、その後島津家の招聘により日本に渡った女性です。「家庭教師」と題されてはいますが、実際には江戸時代同然の島津家家政の大改革まで行い、その役割+苦労は多大な物だったことがこの本からも伺えます。
回想録のため、話が時系列順ではなく、あちこちに飛ぶので理解にやや苦労しますが、それを補って余りある日本に対する洞察力や理解度に舌を巻きます。また、日露戦争の直後に島津家の子弟を率いて朝鮮・中国に渡っていますが、この旅行記録も貴重な物だと思います。
外人が書いた日本の記録には往々にして見下げるような横柄な態度がかいま見えることがあるのですが、この本にはそういう物が無く、著者の人格の程が伺えます。外人に近づく日本人の胡散臭さに苦言を呈したと思えば、同胞の日本におけるひどい態度を赤裸々に暴露して批判しています。
島津家に使えたという立場柄、維新元勲の人柄などが伺えるエピソードなどもいろいろと書かれていますが、これも興味深い内容です。
大名華族やそれを取り巻く(寄生する?)人たちの生活事情や明治時代の同時代記録として、興味をお持ちの方々に是非一読を勧めたい本です。
回想録のため、話が時系列順ではなく、あちこちに飛ぶので理解にやや苦労しますが、それを補って余りある日本に対する洞察力や理解度に舌を巻きます。また、日露戦争の直後に島津家の子弟を率いて朝鮮・中国に渡っていますが、この旅行記録も貴重な物だと思います。
外人が書いた日本の記録には往々にして見下げるような横柄な態度がかいま見えることがあるのですが、この本にはそういう物が無く、著者の人格の程が伺えます。外人に近づく日本人の胡散臭さに苦言を呈したと思えば、同胞の日本におけるひどい態度を赤裸々に暴露して批判しています。
島津家に使えたという立場柄、維新元勲の人柄などが伺えるエピソードなどもいろいろと書かれていますが、これも興味深い内容です。
大名華族やそれを取り巻く(寄生する?)人たちの生活事情や明治時代の同時代記録として、興味をお持ちの方々に是非一読を勧めたい本です。