「外交とはこうあるべき」理想ではあるが、現在の外交には様々な諸問題がある。外交の原点を学ぶべき時代だからこそ、読むべき本であると思う。
国の大きさ情勢・・・力関係はあれども、お互いを尊重し、理解する姿勢は、外交のみならず私たちの生活の中にも活かされる教訓がちりばめられている一冊だと感じた。
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雨森芳洲: 元禄享保の国際人 (講談社学術文庫 1696) 文庫 – 2005/2/1
上垣外 憲一
(著)
江戸期の日朝交流史に屹立する思想家の生涯朝鮮通信使が称賛した語学力と人道主義に根ざす平等思想。偏見や自文化中心主義を否定する現代的思索を展開しながら、国学の擡頭で忘却された思想家が現代に甦る
- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/2/1
- ISBN-104061596969
- ISBN-13978-4061596962
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/2/1)
- 発売日 : 2005/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 248ページ
- ISBN-10 : 4061596969
- ISBN-13 : 978-4061596962
- Amazon 売れ筋ランキング: - 104,437位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月24日に日本でレビュー済み
雨森芳酬という、あまり世に知られていない儒者・外交家にスポットを当てた労作。
文章は軽快であり、漢詩などは適宜読み下し文や訳文に砕いてくれているから、たいそう読みやすい。
すいすいいけるであろう。
内容もこれまた濃い。最初は軽快すぎて「眉唾物の評伝か?」と心配したが、だんだんと本格化してくる。
飛ぶ鳥を落とす勢いの先輩、新井白石との友誼と対立、オラオラ系儒者である荻生徂徠との交流と思想上の対立など、見所いっぱい。
なかでも、朝鮮からの通信使の接受をめぐる芳酬の東奔西走ぶりは見逃せない。
朝鮮にへりくだるのでもなく、居丈高になるのでもなく、外交官としての理想と現実的対処のバランスをここまで弁えていたことに驚く。
そして、著者は心憎いことに、かなり絶妙なバランスで「人間ドラマ」を挿入するものだから、感涙することしばしば。
中央(幕府)に儒者として仕官することの望みが絶たれたことの芳酬の無念。小さな対馬の小役人で終わることの無念。
そして、心を通わせて友情を築いた朝鮮通信使との交流のなか交わされる漢詩では、「もう二度と会えない」ことを哀しむ場面も。
その一方でユーモアもまぶすから心憎い。
日本での男色の横行に眉をひそめ、芳酬に問いただす朝鮮の通信使に、ニヤリとしながらこう切り返す。
「うーん、きみはまだその味が、わからないんだなぁ」(評者による現代語訳。でも本当にこんな感じ)
江戸期の儒者は有職故実にがんじがらめで、使えなかった、との評者の固定観念は真っ向から崩された。
臨機応変な儒者外交官は、朝鮮、対馬、幕府の「あいだ」に立って苦悩しながら、がんばってたのである。
最後に。となりの国とどう付き合うか? という古くて新しい問題を考える際にも、この本は非常に意義深い。
今日だからこそ、読む価値が上がる。
へりくだるのでもなく、居丈高になるのでもなく、蔑むのでもなく。
まずは向こうさんの文化をじっくり知ることから始めようではないか。芳酬はそう説き、実践する。
朝鮮語会話に「ゼロから」取り組むのである。
まともな先生につくこともなく(というより当時朝鮮語会話の先生がいないのだ!)、
自ら教科書を何冊も作りながら(!)、じっくりじっくりやるのである。
芳酬、もう中年にさしかかった頃の一念発起。
ほとほと頭が下がるとともに、鳥肌をもよおし、目が潤んだ。
文章は軽快であり、漢詩などは適宜読み下し文や訳文に砕いてくれているから、たいそう読みやすい。
すいすいいけるであろう。
内容もこれまた濃い。最初は軽快すぎて「眉唾物の評伝か?」と心配したが、だんだんと本格化してくる。
飛ぶ鳥を落とす勢いの先輩、新井白石との友誼と対立、オラオラ系儒者である荻生徂徠との交流と思想上の対立など、見所いっぱい。
なかでも、朝鮮からの通信使の接受をめぐる芳酬の東奔西走ぶりは見逃せない。
朝鮮にへりくだるのでもなく、居丈高になるのでもなく、外交官としての理想と現実的対処のバランスをここまで弁えていたことに驚く。
そして、著者は心憎いことに、かなり絶妙なバランスで「人間ドラマ」を挿入するものだから、感涙することしばしば。
中央(幕府)に儒者として仕官することの望みが絶たれたことの芳酬の無念。小さな対馬の小役人で終わることの無念。
そして、心を通わせて友情を築いた朝鮮通信使との交流のなか交わされる漢詩では、「もう二度と会えない」ことを哀しむ場面も。
その一方でユーモアもまぶすから心憎い。
日本での男色の横行に眉をひそめ、芳酬に問いただす朝鮮の通信使に、ニヤリとしながらこう切り返す。
「うーん、きみはまだその味が、わからないんだなぁ」(評者による現代語訳。でも本当にこんな感じ)
江戸期の儒者は有職故実にがんじがらめで、使えなかった、との評者の固定観念は真っ向から崩された。
臨機応変な儒者外交官は、朝鮮、対馬、幕府の「あいだ」に立って苦悩しながら、がんばってたのである。
最後に。となりの国とどう付き合うか? という古くて新しい問題を考える際にも、この本は非常に意義深い。
今日だからこそ、読む価値が上がる。
へりくだるのでもなく、居丈高になるのでもなく、蔑むのでもなく。
まずは向こうさんの文化をじっくり知ることから始めようではないか。芳酬はそう説き、実践する。
朝鮮語会話に「ゼロから」取り組むのである。
まともな先生につくこともなく(というより当時朝鮮語会話の先生がいないのだ!)、
自ら教科書を何冊も作りながら(!)、じっくりじっくりやるのである。
芳酬、もう中年にさしかかった頃の一念発起。
ほとほと頭が下がるとともに、鳥肌をもよおし、目が潤んだ。
2006年3月5日に日本でレビュー済み
なによりも埋もれていた雨森芳洲を発掘した著者の見識に敬意を表したい。
誰も発見していない成果を出すのも立派だが、誰もが忘れていた存在に新たな価値を見いだすのも素晴らしい。
対馬という周辺地域で人生の大半を過ごしたから忘れ去られたのであろうか。しかし芳洲の築き上げた思想・功績は対馬という場所を抜きには語れない。
朝鮮・中国との実際の交渉をくぐり抜けて形成された文化へのまなざし。実践的な外国語習得法も対馬という地にあって苦闘したからこその業績である。
また、単なる空理空論の思想家でなく、実務を通して練り上げられた思想が他の同時代の思想家と一風変わった風合いを感じさせる。
こんな風に芳洲のことを考えると、「早すぎた思想家」だったのではないかとも思える。江戸時代ではなく、国際化の進んだ現代でこそ芳洲の思想が活きてくるのではないだろうか。
誰も発見していない成果を出すのも立派だが、誰もが忘れていた存在に新たな価値を見いだすのも素晴らしい。
対馬という周辺地域で人生の大半を過ごしたから忘れ去られたのであろうか。しかし芳洲の築き上げた思想・功績は対馬という場所を抜きには語れない。
朝鮮・中国との実際の交渉をくぐり抜けて形成された文化へのまなざし。実践的な外国語習得法も対馬という地にあって苦闘したからこその業績である。
また、単なる空理空論の思想家でなく、実務を通して練り上げられた思想が他の同時代の思想家と一風変わった風合いを感じさせる。
こんな風に芳洲のことを考えると、「早すぎた思想家」だったのではないかとも思える。江戸時代ではなく、国際化の進んだ現代でこそ芳洲の思想が活きてくるのではないだろうか。