幕末の政争のなかで、天皇家がどのように政治的位置が浮上してきたのか?
孝明・明治両天皇の位置より考察する。学術文庫としては珍しく書き下ろしの論集である。
権威が喪失した幕府が、起死回生の切り札として、その権威を利用しようとした孝明天皇が
幕府のコントロールが出来ずに暴走する様と、その暴走ゆえに天皇批判まで出現する状況。
そして、破却攘夷から兵庫開港までの孝明天皇に対する慶喜の政治的恫喝と、孝明天皇の死
による朝廷政治の終焉。そして明治天皇の誕生による新時代への変遷と、「見えない天皇」
から「見える天皇」への変貌を克明に描く。
本論で強調されているのが孝明天皇毒殺説であるが、作者はそれを完全否定する。一部の
歴史作家がおもしろおかしく表記しているが、学術論として毒殺説の不整合性を述べている。
この部分だけ読んでも今までの孝明天皇毒殺説が如何に荒唐無稽であるか理解できる。
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幕末の天皇・明治の天皇 (講談社学術文庫) 文庫 – 2005/11/11
佐々木 克
(著)
明治維新の前後、天皇像の対照的激変を探る薄化粧をした女性的天皇、髯を蓄えた軍服姿の天皇。維新後527回の行幸。雲の上の存在から見せる天皇へ。時代の推移と共に変わる天皇のあり方を明快に分析する
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/11/11
- ISBN-104061597345
- ISBN-13978-4061597341
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/11/11)
- 発売日 : 2005/11/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 296ページ
- ISBN-10 : 4061597345
- ISBN-13 : 978-4061597341
- Amazon 売れ筋ランキング: - 596,846位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年1月19日に日本でレビュー済み
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前半は、幕末最後の天皇・孝明天皇の浮上と終末期の幕府の姿、力関係がかなり大づかみであるが、要領よく纏められていて興味深くもあったし、ためにもなった。また、当時の「攘夷」という内容はそれを主張している人や勢力によってかなりの幅のあるものであることが分かり、興味深かった。後半は明治天皇になるが、今まで姿の見えなかった天皇が、明治政府によって、見える存在、つまり、幕府や朝廷がなくなり、天皇親政という体制に代わっていく過程を、模索しながら、世に知らしめ、順応させ、天皇制国家を作り上げていく過程を、かなり地味な例で論述している。この部分は、「大切な事柄」であるが、少々退屈なので、我慢して読むことが求められるかも。