中古品:
¥400 税込
配送料 ¥257 5月24日-26日にお届け(14 時間 14 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
中古商品: 良い | 詳細
コンディション: 中古商品: 良い
コメント: 初版、帯付き。経年の汚れ傷少々。書き込みなし。まずまずの文庫。
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

ルネサンスの文学 -遍歴とパノラマ (講談社学術文庫) 文庫 – 2007/10/11

4.0 5つ星のうち4.0 4個の評価

新時代の息吹と人間性の自覚が横溢する文学中世からの脱皮、そして、遍歴とパノラマ的鳥瞰による新しい世界の発見。果敢な挑戦心と創造力が横溢する多彩で豊かなルネサンス文学を紹介し、丁寧に読み解く。
続きを読む もっと少なく読む

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2007/10/11)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/10/11
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 400ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4061598406
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4061598409
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 4個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
清水 孝純
Brief content visible, double tap to read full content.
Full content visible, double tap to read brief content.

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう

カスタマーレビュー

星5つ中4つ
5つのうち4つ
4グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2014年4月5日に日本でレビュー済み
 我が国においてもむ美術研究以外の、歴史や思想、文学に関するルネサンス研究が進み、優れた研究者による個別論文が数多く公刊されるようになったが、それらを総括しルネサンスが如何なる潮流の文化運動であったか、全般的な展望を与えてくれる書物は依然乏しい(その結果として小説家の某女史のルネサンス観のような、100年前の古色蒼然としたルネサンス観が、我が国の読書人の間には依然まかり通ってしまっている)。その中で立脚点を文学におきつつ、西欧のルネサンス精神の展開に一応のパノラマを与えようという野心的試みとして貴重である。
 
 特にこのパノラマを「遍歴」というキーワードによって総括したところは、なかなか秀抜な観点であろう。スコラ哲学に代表される中世の壮大だが図式的な世界観=人間観が次第に解体され、現実の中に融解してゆく。拠り所となる基準を見失った精神は、現実そのものの「遍歴」を通じ、経験を蓄積することを媒介に、中世のそれとは異なるより精緻な普遍性を獲得していく。このような経験と普遍の相互作用の中に、ルネサンスの世界観と人間観が打ち立てられていく。

 経験を踏み台に普遍換言すれば超越へと飛躍しようと意図する点において、ルネサンス人の精神はよく言われるように魔術師によって代表されるともいえよう。ルネサンス文人列伝の体裁をとる本書の冒頭におかれた、レオナルドの素描は短いながら、レオナルドが抱懐したこうした魔術師の精神をよくまとめている。

 だが本書において著者が一番筆も生き生きと走らせているのは、『狐ラインケ』から『テイル・オイゲン・シュピーゲル』を経て『ラサーリョ・デ・トルメス』、チェリーニの『自伝』そして『阿呆船』に至る、15-16世紀の民衆文学をたどる本書前半の部分である。そこにおいて著者はこれらの文学にくり広げられる「笑い」が、単なる既存の知的ー政治的秩序の息抜きとしての諧謔や風刺から、こうした秩序あるいは権力の根底を掘り崩し、再検討する「哄笑」へと変貌してくる過程を実によくとらえている。

 すこしがっかりしたのはろ、こうした流れを受けてルネサンスの巨人(エラスムス、マキアヴェッリ、モア、ラブレー、セルバンテス)たちを扱った後半の部分だ。こうしたエリート文化に属する巨人たちの創造性の根が、いかに前半に取り扱われたような民衆文化の伝統に根差しているかが解き明かされるかと思いきや、これらの巨人たちの作品のかなり凡庸な作品解説になってしまっている気がする。著者自身が息切れしてしまっているような感が否めない。もっともこうした知の巨人たちにおける、エリート文化と大衆文化の葛藤の問題は現在の専門研究においても大問題の一つで、問題の巨大さに著者が圧倒されてしまった実情もなんとなくわかる。

 もっとも最後のにとりあげられたモンテーニュで、外的世界の遍歴が内的世界の遍歴へと転換されることを通じて、ルネサンス的普遍性換言すれば魔術的普遍性の担保となっていた、秘められた「私」が如何に掘り崩されていくかを指摘して、ルネサンスから近代への移行を文学の観点から要領よくまとめたのは、なかなかの才腕だといえよう。

 中だるみの部分を除けば読んでいて楽しく、またルネサンス精神とは何かにつき、俗説とは異なるより深い把握の得られる読み物として推奨できる。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート