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本格ミステリ05 2005年本格短編ベスト・セレクション (講談社ノベルス) 新書 – 2005/6/7
本格ミステリ作家クラブ
(編集)
大きな森の小さな密室,黄昏時に鬼たちは,騒がしい密室,覆面,雲の南 他
- 本の長さ428ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/6/7
- ISBN-10406182435X
- ISBN-13978-4061824355
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/6/7)
- 発売日 : 2005/6/7
- 言語 : 日本語
- 新書 : 428ページ
- ISBN-10 : 406182435X
- ISBN-13 : 978-4061824355
- Amazon 売れ筋ランキング: - 756,125位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年8月13日に日本でレビュー済み
『本格ミステリ01』が鬼のように分厚かったのから、巻を重ねるごとに口当たりよくスマートに……って、これじゃ、縮小再生産ではないですか。大丈夫か、HMC。教科書通りに振舞うのもいいけれど、アンソロジーなんだから。「これが本格」というんじゃなくて、「あれも本格」「これも本格」という意気で編まないと。とりわけ、伊坂幸太郎『死神の精度』のシリーズより、一編採られなかったのは、ちょっとマズイ気がする。全体的に潤いが欲しいよなあ……収録作九編中、A評価が四編、B評価が五編、というのが私の評価。読んで、損はないけれど。
2009年7月4日に日本でレビュー済み
◆「二つの鍵」(三雲岳斗)
老商人が、鈍器で頭部を殴打され、喉を切り裂かれて殺害された。
彼は、自分の財産を相続する者の名を記した遺言書を「金の鍵」と
「銀の鍵」という二種類の鍵で開閉できる箱に入れ、封印していた
のだが、その箱が犯人によって持ち去られていた。
箱は、金の鍵で閉めた場合は銀の鍵、銀の鍵で閉めた
場合には、金の鍵でしか開かない仕組みとなっている。
金の鍵は老商人が所持する一本しか存在しないが、銀の鍵は
三本作られ、それぞれ嫡流の三人の息子に手渡されていた。
老商人には、その息子達以外に、嫡流の娘が一人、
庶子の息子が一人、そして年若い愛人が一人いる。
老商人は生前、無断で誰かが箱を開錠した場合は、財産の
すべてを愛人に相続させると言っていたというのだが……。
箱が持ち去られたことから結局「犯人は金の鍵を入手できなかった」
という前提のもとに展開されていく精緻なロジックが素晴らしいです。
また、論理操作のみならず、愛人の存在によって動機に説得
力が付与され、物語としても奥行きのあるものとなっています。
◆「愛だけが思いだされる」
◆「窓のない塔から見る景色」
◆「忘れられた右腕」
◆「ウェヌスの憂鬱」
老商人が、鈍器で頭部を殴打され、喉を切り裂かれて殺害された。
彼は、自分の財産を相続する者の名を記した遺言書を「金の鍵」と
「銀の鍵」という二種類の鍵で開閉できる箱に入れ、封印していた
のだが、その箱が犯人によって持ち去られていた。
箱は、金の鍵で閉めた場合は銀の鍵、銀の鍵で閉めた
場合には、金の鍵でしか開かない仕組みとなっている。
金の鍵は老商人が所持する一本しか存在しないが、銀の鍵は
三本作られ、それぞれ嫡流の三人の息子に手渡されていた。
老商人には、その息子達以外に、嫡流の娘が一人、
庶子の息子が一人、そして年若い愛人が一人いる。
老商人は生前、無断で誰かが箱を開錠した場合は、財産の
すべてを愛人に相続させると言っていたというのだが……。
箱が持ち去られたことから結局「犯人は金の鍵を入手できなかった」
という前提のもとに展開されていく精緻なロジックが素晴らしいです。
また、論理操作のみならず、愛人の存在によって動機に説得
力が付与され、物語としても奥行きのあるものとなっています。
◆「愛だけが思いだされる」
◆「窓のない塔から見る景色」
◆「忘れられた右腕」
◆「ウェヌスの憂鬱」
2005年7月15日に日本でレビュー済み
すべての短編を語る余裕はないので、気に入ったのだけ書きます。
山口雅也「黄昏時に鬼たちは」。鬼ごっことひきこもりという取り合わせが読んでみると案外にしっくりくる。ひきこもりに対する先入観を逆手にとったラストの逆転は、一応ひきこもりの私も驚いたが、よく考えると現実性が高いということに、この問題の奥深さを感じる。
柳広司「雲の南」。マルコ・ポーロが同室の囚人たちに語る過去の事件。祖霊信仰が根強い日本人には受け入れやすいのでは。
三雲岳斗「二つの鍵」。こちらの探偵役はレオナルド・ダ・ヴィンチ。歴史物だが現代でも通用する筋立てであり、トリックである。
柄刀一「光る棺の中の白骨」。南美希風もの。5年前に閉じられた密室から発見された白骨は、しかしもっと後まで目撃されていた人物のものと思われた。密室ものとしては、私は初めて見るパターンだった。
本格推理もしくは新本格と称されるジャンルのアンソロジーなので、推理小説ファンで新しい作家を見つけようという時にはうってつけかと思う。
山口雅也「黄昏時に鬼たちは」。鬼ごっことひきこもりという取り合わせが読んでみると案外にしっくりくる。ひきこもりに対する先入観を逆手にとったラストの逆転は、一応ひきこもりの私も驚いたが、よく考えると現実性が高いということに、この問題の奥深さを感じる。
柳広司「雲の南」。マルコ・ポーロが同室の囚人たちに語る過去の事件。祖霊信仰が根強い日本人には受け入れやすいのでは。
三雲岳斗「二つの鍵」。こちらの探偵役はレオナルド・ダ・ヴィンチ。歴史物だが現代でも通用する筋立てであり、トリックである。
柄刀一「光る棺の中の白骨」。南美希風もの。5年前に閉じられた密室から発見された白骨は、しかしもっと後まで目撃されていた人物のものと思われた。密室ものとしては、私は初めて見るパターンだった。
本格推理もしくは新本格と称されるジャンルのアンソロジーなので、推理小説ファンで新しい作家を見つけようという時にはうってつけかと思う。