タイトルにある「ウルチモ・トルッコ」はイタリア語で「究極のトリック」の
こと。「究極のトリック」とは大きく出たもんですが、タイトルで宣言してい
る通り読者を犯人に仕立て上げることができたら、あながち大ぼらでもありま
せん。
読者=犯人に挑戦したミステリは数こそ少ないですがこれまでにもないことは
ありませんでした。しかしながら、どれも読者が心底「自分が犯人だ」と思え
るようなものではありませんでした。本書はどうでしょうか。
確かにこれなら読者=犯人と言ってもおかしくはないかもしれません。でも、
これはなあ、あんまりだよなあ。過去にもこのトリックを考えついた作家はい
たはずです。でも、実際に使ってみようと思う勇気のある作家がいなかったに
過ぎない・・・・とそう愚考します。そういうたぐいのトリックだということです、
これは。
そのトリックを成立させるためのトリックがまたアンフェアなのも気になりま
す。そこのところがもう少し上手に出来ていたらメイントリックの不自然さも
気にならなかったかもと惜しまれます。
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ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス) 新書 – 2007/4/6
深水 黎一郎
(著)
第36回メフィスト賞受賞作
「あなたが犯人!」。
あり得ないと思えた企みの完遂に向かい、すべての進行が周到に準備される。この被害者を殺した犯人は、ぼくだった。これから読まれる人すべてが、この驚きを味わうはず。誰もが気づかなかった方法。このジャンルの、文句なくナンバーワン。――(島田荘司)
新聞に連載小説を発表している私のもとに1通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?読後に驚愕必至のメフィスト賞受賞作!
「あなたが犯人!」。
あり得ないと思えた企みの完遂に向かい、すべての進行が周到に準備される。この被害者を殺した犯人は、ぼくだった。これから読まれる人すべてが、この驚きを味わうはず。誰もが気づかなかった方法。このジャンルの、文句なくナンバーワン。――(島田荘司)
新聞に連載小説を発表している私のもとに1通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?読後に驚愕必至のメフィスト賞受賞作!
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/4/6
- ISBN-104061825259
- ISBN-13978-4061825253
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/4/6)
- 発売日 : 2007/4/6
- 言語 : 日本語
- 新書 : 320ページ
- ISBN-10 : 4061825259
- ISBN-13 : 978-4061825253
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,107,731位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年5月17日に日本でレビュー済み
そもそもこれを「トリック」と呼んでいいのか?
仮にトリックと呼ぶとして、超自然を取り入れたら不可能な設定など何もなくなるのでは?
実際に新聞に連載されて、それをリアルタイムで読まなければ、「読者が犯人」が成立しないのでは?
書き下ろしで本にしてしまっては、読まなくても本を手にした時点で書かれた結末が存在しているのだから、このトリックは成立しないはず。
それよりも、出版の前年に放送されたドラマ(銭形雷)で、ほとんど同じトリックが使われてた。
つまり、まったく新しいトリックではない。
ドラマの方が、(録画は別として)「リアルタイムで見ている」という要素があるだけ、トリックが成立しやすい。
もう一つ
幼なじみの少女の行動がご都合主義だし、死ぬ必要があったとも思えない。
もっとも、この少女の人間をちゃんと描いてしまったら、ストーリーが破綻するかも。
仮にトリックと呼ぶとして、超自然を取り入れたら不可能な設定など何もなくなるのでは?
実際に新聞に連載されて、それをリアルタイムで読まなければ、「読者が犯人」が成立しないのでは?
書き下ろしで本にしてしまっては、読まなくても本を手にした時点で書かれた結末が存在しているのだから、このトリックは成立しないはず。
それよりも、出版の前年に放送されたドラマ(銭形雷)で、ほとんど同じトリックが使われてた。
つまり、まったく新しいトリックではない。
ドラマの方が、(録画は別として)「リアルタイムで見ている」という要素があるだけ、トリックが成立しやすい。
もう一つ
幼なじみの少女の行動がご都合主義だし、死ぬ必要があったとも思えない。
もっとも、この少女の人間をちゃんと描いてしまったら、ストーリーが破綻するかも。
2007年5月3日に日本でレビュー済み
このミステリの肝はタイトルからわかるように犯人が読者だって事。つまり読んでいる「私」が犯人。著者はある意味最初からネタバレしているわけだ。しかも、読み手が犯人なんてえらく難しいハードルに果敢に挑戦。犯人になりたくない人はくれぐれも読まないように!
それでも読もうとする将来の共犯者の皆さん。
犯人のあなたはどのようにしてあの人を死に至らしめるのか?
これが最大の謎となりますので、考えながら殺人を犯してください。
またトリックに目を奪われがちですが、ちりばめられたエピソードはどれも魅力的で、
それぞれのエピソードを単独で読んでも楽しめます。
そしてそれら一見ばらばらに見えるエピソードがすべて有機的につながるラストは感動的。
追記
レビューの中で、トリックが二番煎じだと指摘している方がいるので調べてみましたが、06年の4月刊の『メフィスト』の巻末座談会でこの作品のことが取り上げられており、その時点で既に書かれていたことがわかります。そのドラマは同年の夏から秋に放映されたものですから、こちらの方が先です。
それでも読もうとする将来の共犯者の皆さん。
犯人のあなたはどのようにしてあの人を死に至らしめるのか?
これが最大の謎となりますので、考えながら殺人を犯してください。
またトリックに目を奪われがちですが、ちりばめられたエピソードはどれも魅力的で、
それぞれのエピソードを単独で読んでも楽しめます。
そしてそれら一見ばらばらに見えるエピソードがすべて有機的につながるラストは感動的。
追記
レビューの中で、トリックが二番煎じだと指摘している方がいるので調べてみましたが、06年の4月刊の『メフィスト』の巻末座談会でこの作品のことが取り上げられており、その時点で既に書かれていたことがわかります。そのドラマは同年の夏から秋に放映されたものですから、こちらの方が先です。
2011年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年にメフィスト賞を受賞した本作品は、その副題から想起される最後の「意外な犯人」に挑戦した作品です。
オススメかどうか、二つに分類(論理的なものではないが)してみました。
<1.ミステリを読み始めの方>
まだあまりミステリを読んだことがなく、古典と呼ばれるミステリを読んでいる最中の方には、オススメ出来ません。
この小説には、冒頭で「意外な犯人」の例が列挙されているからです。
「意外な犯人」モノに挑戦すると言う設定上、止むを得ない記述だとは思いますが、「あの名作が、たった10数文字で説明されている」と、複雑な心境でした。
さらに、本作品と同テーマの先例となる実作例も2作品挙げられています。
出来ればそうした先例として掲げられた作品は、小説で接してから、本作品に辿り着いてほしいものです。
<2.「意外な犯人」モノが好きで、これまで多くの作品を読んできた方>
大いにオススメします。
著者がいつこのトリックを思いついたのか分かりませんが、1960年代生まれであることから、長い間ミステリの愛読者であったと思われます。
本作品からは、そうした愛好家としての熱い思いが伝わってきます。
また、著者がアイデアだけの作家ではないことは、2011年の日本推理作家協会賞を受賞していることからも推察されます。
トリック中心の作品なのですが、文章も的確で、複数の人物による文章を書き分けている点は、評価できます。
また、超心理学に関する描写や、私小説的な「覚書」の挿入など、これがどのように結末に結びつくのか、という興味を誘う記述も多数あり、小説として十分に楽しむことのできる作品に仕上がっていました。
本作品のトリック、「ミステリ愛好家」には、一筋縄では行かない読者も多いと思われますので、万人が納得と言うのは困難だとしても、これ以上の作品はそう簡単には生まれないだろう、と強く感じさせる力作です。
オススメかどうか、二つに分類(論理的なものではないが)してみました。
<1.ミステリを読み始めの方>
まだあまりミステリを読んだことがなく、古典と呼ばれるミステリを読んでいる最中の方には、オススメ出来ません。
この小説には、冒頭で「意外な犯人」の例が列挙されているからです。
「意外な犯人」モノに挑戦すると言う設定上、止むを得ない記述だとは思いますが、「あの名作が、たった10数文字で説明されている」と、複雑な心境でした。
さらに、本作品と同テーマの先例となる実作例も2作品挙げられています。
出来ればそうした先例として掲げられた作品は、小説で接してから、本作品に辿り着いてほしいものです。
<2.「意外な犯人」モノが好きで、これまで多くの作品を読んできた方>
大いにオススメします。
著者がいつこのトリックを思いついたのか分かりませんが、1960年代生まれであることから、長い間ミステリの愛読者であったと思われます。
本作品からは、そうした愛好家としての熱い思いが伝わってきます。
また、著者がアイデアだけの作家ではないことは、2011年の日本推理作家協会賞を受賞していることからも推察されます。
トリック中心の作品なのですが、文章も的確で、複数の人物による文章を書き分けている点は、評価できます。
また、超心理学に関する描写や、私小説的な「覚書」の挿入など、これがどのように結末に結びつくのか、という興味を誘う記述も多数あり、小説として十分に楽しむことのできる作品に仕上がっていました。
本作品のトリック、「ミステリ愛好家」には、一筋縄では行かない読者も多いと思われますので、万人が納得と言うのは困難だとしても、これ以上の作品はそう簡単には生まれないだろう、と強く感じさせる力作です。
2020年6月25日に日本でレビュー済み
真犯人は本を読んでいる読者その人、という挑戦的なミステリ。
古今東西のミステリで、実は探偵が犯人でした!等、意外や意外の犯人当ては数々あれど、本作品が示す犯人像は過去に例を見ない。まさに、ウルチモ・トルッコ(究極のトリック)だ。
作家である「私」に、持ちかけられた”読者が犯人”というアイディア。その対価は1憶円!さて、その方法とは・・・。一見無関係と思われる超能力談義を含め、上手くまとめてくれた。なるほど、こういうトリックがあったとは!
なお、本作品は、『最後のトリック』として改題されている。
古今東西のミステリで、実は探偵が犯人でした!等、意外や意外の犯人当ては数々あれど、本作品が示す犯人像は過去に例を見ない。まさに、ウルチモ・トルッコ(究極のトリック)だ。
作家である「私」に、持ちかけられた”読者が犯人”というアイディア。その対価は1憶円!さて、その方法とは・・・。一見無関係と思われる超能力談義を含め、上手くまとめてくれた。なるほど、こういうトリックがあったとは!
なお、本作品は、『最後のトリック』として改題されている。
2007年4月19日に日本でレビュー済み
「読者が犯人」という推理小説はある意味、究極の意外な犯人である。
その不可能トリックに挑んだ作品であり、推理小説マニアにはそれだけでも意味がある……
と、言いたいんだけど、正直読み終えた感想は「ふ〜ん」といった程度のものでした。
いや、トリックには「なるほど」とも思ったのですが、最初のページから帯から「読者が犯人」であることが明記されているので、どうしてもその不可能トリックにだけ興味が行ってしまってストーリーや登場人物に気持ちが行かないのですね。なんだか推理クイズを突きつけられて、回答ページを読み終えたような感触。
ちょっと期待はずれだったかなぁ。
その不可能トリックに挑んだ作品であり、推理小説マニアにはそれだけでも意味がある……
と、言いたいんだけど、正直読み終えた感想は「ふ〜ん」といった程度のものでした。
いや、トリックには「なるほど」とも思ったのですが、最初のページから帯から「読者が犯人」であることが明記されているので、どうしてもその不可能トリックにだけ興味が行ってしまってストーリーや登場人物に気持ちが行かないのですね。なんだか推理クイズを突きつけられて、回答ページを読み終えたような感触。
ちょっと期待はずれだったかなぁ。
2007年5月7日に日本でレビュー済み
挑戦的な謳い文句と犯人であろう自分を映す鏡面仕様の表紙に,
かなり興味を惹かれるものの,延々とつづく関係なさそうな話に,
自分がなんの本を読んでいるのか,だんだん不満と不安になります.
最後には,この話もそれなりの仕掛けであったことに気づくのですが,
あまりに事件とは遠いため,気づいたときの驚きがまったくありません.
ほかにも,トリックなどの真相が明らかになってからの解説が,
ページを示し「こうだった」というのも,言いわけのようですし,
いかにもな理由をつけて隠しごとがあるのもアンフェアに感じます.
確かに犯人は『あなた』でしたが『自分(読み手)』ではありません.
こういう『トリック』が許されるのなら,もうなんでもありになります.
期待はずれというより自分には受け入れられないタイプの作品でした.
デビュー作にしては文章も丁寧で粗もほとんど感じられないのですが….
かなり興味を惹かれるものの,延々とつづく関係なさそうな話に,
自分がなんの本を読んでいるのか,だんだん不満と不安になります.
最後には,この話もそれなりの仕掛けであったことに気づくのですが,
あまりに事件とは遠いため,気づいたときの驚きがまったくありません.
ほかにも,トリックなどの真相が明らかになってからの解説が,
ページを示し「こうだった」というのも,言いわけのようですし,
いかにもな理由をつけて隠しごとがあるのもアンフェアに感じます.
確かに犯人は『あなた』でしたが『自分(読み手)』ではありません.
こういう『トリック』が許されるのなら,もうなんでもありになります.
期待はずれというより自分には受け入れられないタイプの作品でした.
デビュー作にしては文章も丁寧で粗もほとんど感じられないのですが….
2007年5月22日に日本でレビュー済み
普段推理小説を読むことは少ないのですが、「読者が犯人」との帯に興味をそそられて読んでみました。一見バラバラに思えるエピソードも終盤ではどれも無駄の無いものであったと判るので、諦めずに付き合うことをお勧めします。最後は私が犯人になっていました。
個人的には私小説と云える「覚書」が良かったです。
個人的には私小説と云える「覚書」が良かったです。