登場人物やストーリーがとても魅力的であるにも関わらず、7割ぐらいいった所からトリック描写とその解決に終始してしまって、そのまま尻切れとんぼに終わります。なんだか物足りない読後感。
もっと世界広げて欲しかった!!
それでもそれなりに面白く、一気に読めたのはさすが初野さんです。星3.5かな。
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トワイライト・ミュージアム (講談社ノベルス ハF- 2) 新書 – 2009/5/8
初野 晴
(著)
孤独な少年に託された博物館の謎と運命
- 本の長さ252ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/5/8
- ISBN-104061826506
- ISBN-13978-4061826502
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/5/8)
- 発売日 : 2009/5/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 252ページ
- ISBN-10 : 4061826506
- ISBN-13 : 978-4061826502
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,724,209位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2023年8月11日に日本でレビュー済み
魔女狩りがテーマのミステリということで読んでみたのですが……なんじゃこれ?
脳死患者は実は精神だけがタイムトラベルしていて、オカルトな超能力で主人公たちが連れ戻しに行くというSFなんだかファンタジーなんだかな設定の物語。過去と現在を行き来するシステムが何だか面倒臭く、いっそ過去のイングランドだけのストーリーでもよかったんじゃないの?と思っていたら、そういう結末のためのタイムトラベル設定だったのね……。
理屈は分かるのですが、何とも後味の悪い結末なのであります。脳死という医療問題をこんな風に扱うのもなんだかなあ。
魔女裁判のイカサマをミステリ的に謎解きするという着想は面白いものの、長編を支えるだけのネタなのかとなると微妙なところ。
それはさておき、現代日本人が過去の外国(または異世界)を訪れると普通に会話ができてしまえるというありがちなシチュエーション、アニメやマンガで見る分には楽しめるのに小説になると途端に違和感が大きくてかなわなくなるのはいったい何故なのでしょうか……?
脳死患者は実は精神だけがタイムトラベルしていて、オカルトな超能力で主人公たちが連れ戻しに行くというSFなんだかファンタジーなんだかな設定の物語。過去と現在を行き来するシステムが何だか面倒臭く、いっそ過去のイングランドだけのストーリーでもよかったんじゃないの?と思っていたら、そういう結末のためのタイムトラベル設定だったのね……。
理屈は分かるのですが、何とも後味の悪い結末なのであります。脳死という医療問題をこんな風に扱うのもなんだかなあ。
魔女裁判のイカサマをミステリ的に謎解きするという着想は面白いものの、長編を支えるだけのネタなのかとなると微妙なところ。
それはさておき、現代日本人が過去の外国(または異世界)を訪れると普通に会話ができてしまえるというありがちなシチュエーション、アニメやマンガで見る分には楽しめるのに小説になると途端に違和感が大きくてかなわなくなるのはいったい何故なのでしょうか……?
2018年8月1日に日本でレビュー済み
ファンタジーとSFとミステリが混ざったような作品である。
近世イギリスの魔女狩りを、ミステリ的なトリックという観点から扱っているのはおもしろい。しかし、タイムトラベルや脳科学を混ぜているあたりは、どうしても違和感が拭えなかった。
実験的な試みとしてはおもしろいと思うのだが……。
ただ、著者独特の切迫した悲壮感みたいなものは存分に楽しめた。
なお、2014年には『トワイライト博物館』と改題され、講談社文庫になっている。
近世イギリスの魔女狩りを、ミステリ的なトリックという観点から扱っているのはおもしろい。しかし、タイムトラベルや脳科学を混ぜているあたりは、どうしても違和感が拭えなかった。
実験的な試みとしてはおもしろいと思うのだが……。
ただ、著者独特の切迫した悲壮感みたいなものは存分に楽しめた。
なお、2014年には『トワイライト博物館』と改題され、講談社文庫になっている。
2009年9月16日に日本でレビュー済み
孤児の勇介に遺されたのは奇妙な博物館。
精神だけがタイムスリップしてしまった脳死患者を救うため
学芸員の枇杷と共にタイムトラベルをする事になる勇介。
助け出す魂がいるのは16世紀イングランド。
そこでは残酷な魔女狩りがおこなわれていた…
勇介は、タイムトラベルし、その時代の弱者に
憑依した枇杷に同行し、その状況を把握して
サポートする現代の博物館のメンバーとの間を中継します。
枇杷と手を繋ぎ、枇杷を取り戻す「命綱」として。
ファンタジックな世界観の中で描かれるミステリ。
「繋いだ手を離さない」というだけでICOを連想してしまいますが
それと同じで手を離す事は=死、に繋がります。
そんな切迫した設定、
過去に干渉することで未来に生じる危険に
注意して行動しなければいけないという制限。
ちょっとトリックの辺りが…ん?と思いましたが
何より設定の目新しさと見せ方に引き込まれて一気に読了。
この博物館という舞台、やるせない感じが好きです。
続編はあるのかな…
精神だけがタイムスリップしてしまった脳死患者を救うため
学芸員の枇杷と共にタイムトラベルをする事になる勇介。
助け出す魂がいるのは16世紀イングランド。
そこでは残酷な魔女狩りがおこなわれていた…
勇介は、タイムトラベルし、その時代の弱者に
憑依した枇杷に同行し、その状況を把握して
サポートする現代の博物館のメンバーとの間を中継します。
枇杷と手を繋ぎ、枇杷を取り戻す「命綱」として。
ファンタジックな世界観の中で描かれるミステリ。
「繋いだ手を離さない」というだけでICOを連想してしまいますが
それと同じで手を離す事は=死、に繋がります。
そんな切迫した設定、
過去に干渉することで未来に生じる危険に
注意して行動しなければいけないという制限。
ちょっとトリックの辺りが…ん?と思いましたが
何より設定の目新しさと見せ方に引き込まれて一気に読了。
この博物館という舞台、やるせない感じが好きです。
続編はあるのかな…
2009年8月22日に日本でレビュー済み
初野晴である。今年(2009年)久しぶりに初野晴の名前を見かけた。「退出ゲーム」「1/2の騎士」そして続く本書。
初野晴は第22回横溝正史ミステリ大賞受賞の「水の時計」でデビューし、デビュー作同様に、「西洋の時代と匂い」を感じさせるミステリー、「漆黒の王子」の二作をのみ出版したきりで、その姿を見ることが久しくなかった。その作家が、今年は早くも三冊も出版している。
最初の二作品の印象が強かった。それがゆえに、久しぶりに出たふたつの作品がかつての作品と趣が変わった、現代学園青春ミステリーであったことには唖然とした。しかしそれなりに読める作品であり、あるいはぼくの好みか大きく外れたものでなかったことに安心した。初野晴、復活!これからまた活躍してくれるだろう。
ところが、最新作の本書はいったい何と言ったらよいのだろう。正直にいえば、これは新人作家の作品だろうかと思うほどに完成度は低い。その一方で、新人作家の作品のように、書きたいという想いが溢れ、伝わってくる。「荒削りで不器用」を感じながらも、読むことを止められなかった。作品に引きずられるように一気に読み終えた。こんな風に一気に読んだ作品は久しぶりだった。いや勢いがあるとか、盛り上がりがあるとかではない、なんとも言い難い、読まずにはおけない魅力というか・・。
読み終えた感想も、「粗」を挙げ連ねはじめたならばきっとキリがない。しかし作品に惹かれたという事実、それは読み終えてみてもうまく説明のできない魅力を覚えており、そしてまた新人作家の持つ宝石の原石のようなキラメキの魅力が感じられる。それは、デビュー7年で、数冊著作を出版している作家とはとても思えない。
本書のテーマは精神だけのタイムトラベル。タイムトラベルで行き着いた先の、誰かを依り代として、その時代、その地で主人公たちは活動する。依り代によって行なわれた行為はきちんと史実として残り、それが故に、旅行者である主人公たちはタイム・パラドックにも留意しなければいけない。そのことが彼らの行動に制約を生み、物語に緊張感を増すことになる。
精神の時間旅行については「現代科学では説明しきれないことがある」の一言で説明してしまう。随分、乱暴である。しかしそれはリアリティーを壊しはしない。時間旅行も特別な機械や発明によってでなく「枇杷」という少女の特殊な能力という説明も「精神の」時間旅行にはふさわしい。しかし一方、主人公、勇介の「命綱」という、時間旅行の能力を持つ少女、枇杷を現代の現実に結びつけておく役割に、少し都合のよさを感じた。主人公、勇介が「命綱」に決まる経緯を含み、「命綱」は特殊な役割なのか、普通のひとにもできる役割なのか、その辺りの説明も不足している。そして作品のなかでタイムトラベラーたる枇杷が、なぜ主人公の勇介を信頼し、執着したのかの説明も文章にして説明して欲しかった。ただ、この辺りはもしかしたら続編以降に残された伏線なのかもしれない。
中世イングランドで魔女と疑われた老婆。その老婆の精神とともに、養護施設で勇介を慕っていた、現代の時代で交通事故に遭い瀕死の状態である幼い少女ナナの精神はあった。迫り来る魔女裁判と処刑の前にナナの精神を救い出さなければいけない。そのポイントは、魔女狩りでその名を歴史に残した人物の用いた三つのトリックの謎を暴くこと。勇介は現代と過去を行き来し、博物館で待つ仲間の知恵を借り謎を解かねばならない。
いわゆる物語を進める条件として「謎を解く」、そのこと自体はいい。しかしその謎はあまりにトリッキーである。それゆえに作品の本質が「謎を解くこと」(=ミステリー)なのか「幼い少女の精神(生命)を救うこと」(=物語)なのか、焦点が絞り込まれていない印象を残念ながら持つに至った。
説明のないまま、突然、現れた博物館の仲間。都合よく、瀕死のナナの入院する病院から出てきた牧原という博物館員。タイムトラベラーである枇杷という少女の「人間」が描かれていない点。いやそれを言うなら主人公、勇介も、その気持ちだけしか書かれず、その人間が描かれているとはいえない。強い印象を与えて登場したのはいいが、あっという間に舞台から退場した勇介の大伯父。本作品にいろいろと不備は目立つ。
しかし、それでも本書にはなんともいえない魅力がある。このことは書き留めておきたい。
初野晴は第22回横溝正史ミステリ大賞受賞の「水の時計」でデビューし、デビュー作同様に、「西洋の時代と匂い」を感じさせるミステリー、「漆黒の王子」の二作をのみ出版したきりで、その姿を見ることが久しくなかった。その作家が、今年は早くも三冊も出版している。
最初の二作品の印象が強かった。それがゆえに、久しぶりに出たふたつの作品がかつての作品と趣が変わった、現代学園青春ミステリーであったことには唖然とした。しかしそれなりに読める作品であり、あるいはぼくの好みか大きく外れたものでなかったことに安心した。初野晴、復活!これからまた活躍してくれるだろう。
ところが、最新作の本書はいったい何と言ったらよいのだろう。正直にいえば、これは新人作家の作品だろうかと思うほどに完成度は低い。その一方で、新人作家の作品のように、書きたいという想いが溢れ、伝わってくる。「荒削りで不器用」を感じながらも、読むことを止められなかった。作品に引きずられるように一気に読み終えた。こんな風に一気に読んだ作品は久しぶりだった。いや勢いがあるとか、盛り上がりがあるとかではない、なんとも言い難い、読まずにはおけない魅力というか・・。
読み終えた感想も、「粗」を挙げ連ねはじめたならばきっとキリがない。しかし作品に惹かれたという事実、それは読み終えてみてもうまく説明のできない魅力を覚えており、そしてまた新人作家の持つ宝石の原石のようなキラメキの魅力が感じられる。それは、デビュー7年で、数冊著作を出版している作家とはとても思えない。
本書のテーマは精神だけのタイムトラベル。タイムトラベルで行き着いた先の、誰かを依り代として、その時代、その地で主人公たちは活動する。依り代によって行なわれた行為はきちんと史実として残り、それが故に、旅行者である主人公たちはタイム・パラドックにも留意しなければいけない。そのことが彼らの行動に制約を生み、物語に緊張感を増すことになる。
精神の時間旅行については「現代科学では説明しきれないことがある」の一言で説明してしまう。随分、乱暴である。しかしそれはリアリティーを壊しはしない。時間旅行も特別な機械や発明によってでなく「枇杷」という少女の特殊な能力という説明も「精神の」時間旅行にはふさわしい。しかし一方、主人公、勇介の「命綱」という、時間旅行の能力を持つ少女、枇杷を現代の現実に結びつけておく役割に、少し都合のよさを感じた。主人公、勇介が「命綱」に決まる経緯を含み、「命綱」は特殊な役割なのか、普通のひとにもできる役割なのか、その辺りの説明も不足している。そして作品のなかでタイムトラベラーたる枇杷が、なぜ主人公の勇介を信頼し、執着したのかの説明も文章にして説明して欲しかった。ただ、この辺りはもしかしたら続編以降に残された伏線なのかもしれない。
中世イングランドで魔女と疑われた老婆。その老婆の精神とともに、養護施設で勇介を慕っていた、現代の時代で交通事故に遭い瀕死の状態である幼い少女ナナの精神はあった。迫り来る魔女裁判と処刑の前にナナの精神を救い出さなければいけない。そのポイントは、魔女狩りでその名を歴史に残した人物の用いた三つのトリックの謎を暴くこと。勇介は現代と過去を行き来し、博物館で待つ仲間の知恵を借り謎を解かねばならない。
いわゆる物語を進める条件として「謎を解く」、そのこと自体はいい。しかしその謎はあまりにトリッキーである。それゆえに作品の本質が「謎を解くこと」(=ミステリー)なのか「幼い少女の精神(生命)を救うこと」(=物語)なのか、焦点が絞り込まれていない印象を残念ながら持つに至った。
説明のないまま、突然、現れた博物館の仲間。都合よく、瀕死のナナの入院する病院から出てきた牧原という博物館員。タイムトラベラーである枇杷という少女の「人間」が描かれていない点。いやそれを言うなら主人公、勇介も、その気持ちだけしか書かれず、その人間が描かれているとはいえない。強い印象を与えて登場したのはいいが、あっという間に舞台から退場した勇介の大伯父。本作品にいろいろと不備は目立つ。
しかし、それでも本書にはなんともいえない魅力がある。このことは書き留めておきたい。