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羊をめぐる冒険 上 (講談社文庫 む 6-3) 文庫 – 1985/10/1
村上 春樹
(著)
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている21歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい〈鼠〉の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。
- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1985/10/1
- ISBN-104061836064
- ISBN-13978-4061836068
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1985/10/1)
- 発売日 : 1985/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 245ページ
- ISBN-10 : 4061836064
- ISBN-13 : 978-4061836068
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,473,932位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年6月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いまごろになって村上春樹を読んでいます。ファンの方には「これから読めるなんてうらやましい」かもしれないですね。今読んでもちっとも古くない、と言いたいところですが、やはり気になる部分はあります。
1。登場人物ほぼ全員が、やたらとタバコを吸う。
特に嫌煙家ではありませんが、ここまで喫煙シーンが多いと「タバコ=かっこいい」という昭和な図式
と感じられてしまい、ややダサイ。
2。主人公含め、登場人物は30歳前後なのに、妙に大人。今でいうと40歳くらいな雰囲気。
昔の若者は大人びていたんですね。今どきこんな30歳はいないです。
3。全ての会話の日本語が正しすぎて違和感がある。
いまなら「マジで」「エモい」となるであろう会話の全てがまともすぎる。
特に女性が不自然なほど知的に話す。村上さんの理想でしょうか。
などなど、ネガティブ要素も気になりますが、村上ワールドは全開です。やはり読む価値はあります。
1。登場人物ほぼ全員が、やたらとタバコを吸う。
特に嫌煙家ではありませんが、ここまで喫煙シーンが多いと「タバコ=かっこいい」という昭和な図式
と感じられてしまい、ややダサイ。
2。主人公含め、登場人物は30歳前後なのに、妙に大人。今でいうと40歳くらいな雰囲気。
昔の若者は大人びていたんですね。今どきこんな30歳はいないです。
3。全ての会話の日本語が正しすぎて違和感がある。
いまなら「マジで」「エモい」となるであろう会話の全てがまともすぎる。
特に女性が不自然なほど知的に話す。村上さんの理想でしょうか。
などなど、ネガティブ要素も気になりますが、村上ワールドは全開です。やはり読む価値はあります。
2018年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
鹿狩りと羊探し
地獄の黙示録や長いお別れの影響が言われていますが、話としてはマイケルチミノの「ディア ハンター」と同じではないでしょうか。
日本公開は79年3月です。
主人公が友人を探しに行くが、友人は悪(ロシアンルーレットや羊)に取り憑かれており、捜索の果てに見つけ出すが、自殺してしまう(しまっている)。
題名も鹿狩りにちなんでか羊探しです。
本人は論文まで書いて地獄の黙示録を絶賛しつつ、ディアハンターやチミノについて殆ど語らないのは釈然としません。
余りに芸術至上的で現生否定的なチミノのことが嫌いなのでしょうか?
「天国の門」に嫌気が差したのでしょうか?
或いは、当時「反ベトナム戦争」陣営に深く傾いていたため、「ディア ハンター」のようなナイーブで愛国的な反「反ベトナム戦争」的映画には党派的に耐え難く、深く影響されながら否認してしまったのでしょうか。
別にこの作品にケチを付けるつもりはなく、小説としては大変に優れていることを保証します。
(以上、2018年12月19日)
(以下、2023.1.3追記)
「誰とでも寝る女の子」はよく直子の転生と言われますが、つげ義春の「沼」(1966)の少女の転生ではないでしょうか。
「ねえ、私を殺したいと思ったことある?」
「ただ、誰かに殺されちゃうのも悪くないなってふと思っただけ。ぐっすり眠っているうちにさ」
というセリフは「沼」の
「いっそ死んでしまった方がなんぼか幸せ・・・」
「蛇は....人間の首をしめたりしないだろう」
「するよ きまって私がぐっすり眠ってしまってからや」
「夢うつつなれど 蛇にしめられるといっそ死んでしまいたいほどいい気持ちや」
の反復(残響)ではないでしょうか。
但しここは場面としては中上健次の「岬」(1975)のラストの秋幸と異母妹の場面に酷似しています。
「彼が反応を示さないのをみて、「なに考えとるのお」と言った。」
「煙草を口にくわえ、火をつけ、ごほんごほんと咳をして、「はい」と、彼にそれをくわえさせた。」
「死のと思ったことあるか」彼は訊いた。
「しょうもない」女は言った。」
以上、「岬」文春文庫 265頁
「「あなたはいったい何を抱え込んでるの?」と彼女が突然僕に訊ねた。」
「それから二本ぶんの煙草に火をつけて一本を彼女にわたした。彼女は煙を吸い込んで吐き出し、それを三回つづけてからひとしきり咳きこんだ。
「ねえ、私を殺したいと思ったことある?」と彼女が訊ねた。」
(「羊」文庫本上19.22頁)
まるで「岬」を書き直したみたいですね。
ただ村上の方がずっといいです。中上はたまったもんではないですね。
(村上は村上龍に「そろそろ中上さん読んだ方がいい」と言われて読んだと中上との対談で言っています。読んだのはデビューしたあと、龍との対談(1980)の前後ですね。「岬」「枯木灘」は読んでいます。)
「沼」の少女を使って「岬」を上書きする。離れ業です。
地獄の黙示録や長いお別れの影響が言われていますが、話としてはマイケルチミノの「ディア ハンター」と同じではないでしょうか。
日本公開は79年3月です。
主人公が友人を探しに行くが、友人は悪(ロシアンルーレットや羊)に取り憑かれており、捜索の果てに見つけ出すが、自殺してしまう(しまっている)。
題名も鹿狩りにちなんでか羊探しです。
本人は論文まで書いて地獄の黙示録を絶賛しつつ、ディアハンターやチミノについて殆ど語らないのは釈然としません。
余りに芸術至上的で現生否定的なチミノのことが嫌いなのでしょうか?
「天国の門」に嫌気が差したのでしょうか?
或いは、当時「反ベトナム戦争」陣営に深く傾いていたため、「ディア ハンター」のようなナイーブで愛国的な反「反ベトナム戦争」的映画には党派的に耐え難く、深く影響されながら否認してしまったのでしょうか。
別にこの作品にケチを付けるつもりはなく、小説としては大変に優れていることを保証します。
(以上、2018年12月19日)
(以下、2023.1.3追記)
「誰とでも寝る女の子」はよく直子の転生と言われますが、つげ義春の「沼」(1966)の少女の転生ではないでしょうか。
「ねえ、私を殺したいと思ったことある?」
「ただ、誰かに殺されちゃうのも悪くないなってふと思っただけ。ぐっすり眠っているうちにさ」
というセリフは「沼」の
「いっそ死んでしまった方がなんぼか幸せ・・・」
「蛇は....人間の首をしめたりしないだろう」
「するよ きまって私がぐっすり眠ってしまってからや」
「夢うつつなれど 蛇にしめられるといっそ死んでしまいたいほどいい気持ちや」
の反復(残響)ではないでしょうか。
但しここは場面としては中上健次の「岬」(1975)のラストの秋幸と異母妹の場面に酷似しています。
「彼が反応を示さないのをみて、「なに考えとるのお」と言った。」
「煙草を口にくわえ、火をつけ、ごほんごほんと咳をして、「はい」と、彼にそれをくわえさせた。」
「死のと思ったことあるか」彼は訊いた。
「しょうもない」女は言った。」
以上、「岬」文春文庫 265頁
「「あなたはいったい何を抱え込んでるの?」と彼女が突然僕に訊ねた。」
「それから二本ぶんの煙草に火をつけて一本を彼女にわたした。彼女は煙を吸い込んで吐き出し、それを三回つづけてからひとしきり咳きこんだ。
「ねえ、私を殺したいと思ったことある?」と彼女が訊ねた。」
(「羊」文庫本上19.22頁)
まるで「岬」を書き直したみたいですね。
ただ村上の方がずっといいです。中上はたまったもんではないですね。
(村上は村上龍に「そろそろ中上さん読んだ方がいい」と言われて読んだと中上との対談で言っています。読んだのはデビューしたあと、龍との対談(1980)の前後ですね。「岬」「枯木灘」は読んでいます。)
「沼」の少女を使って「岬」を上書きする。離れ業です。
2023年12月28日に日本でレビュー済み
本作「羊をめぐる冒険」ですが、「僕」や「鼠」が登場する「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」の続編となります。一応本作ののち「ダンス・ダンス・ダンス」が続きます。
・・・
さて、今回も「僕」が飛ばします。衒学的で、厭世的、そして女性に困らないという、なんともまあ憎たらしい・羨ましい設定のキャラ。
読んでいて感じたのですが、この小難しい感じの男性「僕」というのは21世紀前半の昨今、まだイケているのでしょうか。
女性との会話に「そうそう、そういう感じでさぁ」と返すのではなく、「違うんだよ。表現しづらいんだけど、僕の心のひだの底に、澱のようにたまった沈殿物のように「それ」はあるんだよ」みたいな。いちいち日常会話が文学的比喩で満ち満ちている。
もちろんこれはお話の世界ですからアリですが、こういう小難しい会話は私の時代は「かっこいい」と思ったものですが、今はどうなのでしょうか。時代を感じます。
・・・
ま、そんなのはいいのですが、この上巻、若干冗長な印象を受けます。
というのも延々と「僕」の話で、一向に羊にまつわる話に突入しないからです。
そんな中でも、洒脱でユーモラスな会話は健在です。
また、前作群同様、状況と展開は予想を超えてきます。
前作では「僕」は翻訳会社を友人と運営していましたが、そこにアシスタントの女性がいましたね。米国からの留学帰りの。本作ではいつの間にか「僕」の奥様に。というか、その奥様と別れるところから本作始まりますし。
さらに、早速の新彼女は、耳のモデル兼コールガール兼出版社の校正係という変わり種。さらに彼女の耳は特殊な「何か」を聞いているという、ある意味霊感的な能力?の持ち主。
そんなこんなで前作を想起しつつ上巻も終わろうとしているところで、やっとこさ「鼠」が登場。彼から手紙が届き、そして羊をめぐる冒険の火ぶたが切って落とされます。
・・・
ということでここからが本番、といったところでしょうか。
おしなべて上巻は「我慢」の読書を強いられるでしょう。先ずは上巻を何とか頑張って読み切ってください。展開に動きが出てくるのは下巻からです。そして下巻では、驚きの展開。
・・・
さて、今回も「僕」が飛ばします。衒学的で、厭世的、そして女性に困らないという、なんともまあ憎たらしい・羨ましい設定のキャラ。
読んでいて感じたのですが、この小難しい感じの男性「僕」というのは21世紀前半の昨今、まだイケているのでしょうか。
女性との会話に「そうそう、そういう感じでさぁ」と返すのではなく、「違うんだよ。表現しづらいんだけど、僕の心のひだの底に、澱のようにたまった沈殿物のように「それ」はあるんだよ」みたいな。いちいち日常会話が文学的比喩で満ち満ちている。
もちろんこれはお話の世界ですからアリですが、こういう小難しい会話は私の時代は「かっこいい」と思ったものですが、今はどうなのでしょうか。時代を感じます。
・・・
ま、そんなのはいいのですが、この上巻、若干冗長な印象を受けます。
というのも延々と「僕」の話で、一向に羊にまつわる話に突入しないからです。
そんな中でも、洒脱でユーモラスな会話は健在です。
また、前作群同様、状況と展開は予想を超えてきます。
前作では「僕」は翻訳会社を友人と運営していましたが、そこにアシスタントの女性がいましたね。米国からの留学帰りの。本作ではいつの間にか「僕」の奥様に。というか、その奥様と別れるところから本作始まりますし。
さらに、早速の新彼女は、耳のモデル兼コールガール兼出版社の校正係という変わり種。さらに彼女の耳は特殊な「何か」を聞いているという、ある意味霊感的な能力?の持ち主。
そんなこんなで前作を想起しつつ上巻も終わろうとしているところで、やっとこさ「鼠」が登場。彼から手紙が届き、そして羊をめぐる冒険の火ぶたが切って落とされます。
・・・
ということでここからが本番、といったところでしょうか。
おしなべて上巻は「我慢」の読書を強いられるでしょう。先ずは上巻を何とか頑張って読み切ってください。展開に動きが出てくるのは下巻からです。そして下巻では、驚きの展開。
2019年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上巻。
物語は確実に始まってはいるがポツリポツリと読んでいると、いつになったら始まるんだろうなあと思ってしまうかもしれない。
『風』や『ピンボール』で20代前半とは思えない若年寄臭さを醸し出していた「僕」もだんだんとリアル年寄に向っている。
退屈と凡庸の客観的認識と受容に突き進んでいるとでも言えばいいのか。
そんな感じを受けながらも、ドキドキワクワクしながらガーッと読んでしまう。
謎かけ風の物語の作りと、何かを捨てたようなどこかに何かを求めているような思いと、トボけたようで冷めた語り口とがうまく混ざり合っているんだろう。
村上さんの作品を読んでからチャンドラーやハメットに接するようになったけれど、ああなるほど皆さんが村上さんは彼らの影響を受けているというのはこういうことかと思った。
さて、それでは下巻を読もう。
物語は確実に始まってはいるがポツリポツリと読んでいると、いつになったら始まるんだろうなあと思ってしまうかもしれない。
『風』や『ピンボール』で20代前半とは思えない若年寄臭さを醸し出していた「僕」もだんだんとリアル年寄に向っている。
退屈と凡庸の客観的認識と受容に突き進んでいるとでも言えばいいのか。
そんな感じを受けながらも、ドキドキワクワクしながらガーッと読んでしまう。
謎かけ風の物語の作りと、何かを捨てたようなどこかに何かを求めているような思いと、トボけたようで冷めた語り口とがうまく混ざり合っているんだろう。
村上さんの作品を読んでからチャンドラーやハメットに接するようになったけれど、ああなるほど皆さんが村上さんは彼らの影響を受けているというのはこういうことかと思った。
さて、それでは下巻を読もう。
2015年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
迅速なご対応有難うございました。
商品も予想以上にきれいで満足しています。
今後ともよろしくお願いします。
商品も予想以上にきれいで満足しています。
今後ともよろしくお願いします。
2013年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
羊が出てくる必然性は理解できないが、フィクサーの出現と鼠の関係の謎など、変わった発想は好感が持てる。