読売新聞に連載された長編小説。野犬の薬殺とテラピアという鯛の代替魚の養殖という異色のテーマを織り交ぜながら、この作家お得意の北国の恋を描いたものです。
主人公は3人の兄妹。東京で暮らす主婦の真帆、北国の生家の傍で獣医として働く耕太郎、生家にいて上京を願う妹の千絵という3人が、それぞれの人生の問題に向き合いながら生きていきます。海辺に咲く、一見か弱げだが地面にしっかり根を張って育つはまなすの花が彼らの人生を象徴していますね。
この作者は短編で有名ですが、そのせいか長編では時々首をかしげることがあります。「(千絵は)生家で、海産物の加工や生簀の世話を手伝いながら暮らしている」とあるのですが、その生家の場面で両親が全く登場しません。わりと後半の方で耕太郎も「俺は家業を手伝いながらゆっくり先のことを考え直そうと思ってたんだ」と言っている以上、これは相当不自然です。
愛犬の件で耕太郎に喰って掛った驕慢な泰恵が、耕太郎の部屋で肌を見せて「どうぞ、あなたの好きなようになさって…」というのも唐突の感を否めませんでした。姉の離婚についての描写も浅い気がします。
全体としては、この作者らしく人々の善意が溢れた、胸の温かくなる小説ではあります。久しぶりに短編の方も読みたくなりました。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
はまなす物語 (講談社文庫 み 3-6) 文庫 – 1989/10/1
三浦 哲郎
(著)
- 本の長さ426ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1989/10/1
- ISBN-104061845276
- ISBN-13978-4061845275
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1989/10/1)
- 発売日 : 1989/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 426ページ
- ISBN-10 : 4061845276
- ISBN-13 : 978-4061845275
- Amazon 売れ筋ランキング: - 826,087位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「大作」といえるかは別にしても、ここには若者たちの、正面から現実に向き合い、そこから自分のこれからを探って行こうとする「ひたむきな」生き方と、それらを信じ、見守る大人たちの温かく穏やかな眼差しがあって、読んで心地よい。「はまなすの花に寄せ」北国を舞台に、明日への細やかな期待・希望と、共に歩みを続ける人々の姿が清々しく、「三浦文学の円熟」を、確かに味わえる。
2012年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今に無い優れた愛の詩がこの本にはあります。美しい文体、目に見えるような風色、さすがに、名人といわれる方の本です。ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。