筆者は「文庫版あとがき」で「人物造形の薄っぺらさ」について述べており、確かに山荘に集まった登場人物のなかには
紋切型だったり、血の通った人間としてうまくイメージできなかったりする者もいる。また、トリックや謎解きはやや鋭さ
に欠けるようにも思われる。
しかし、全編を通じて一定の間隔で交わされる法月警視と(彼の亡き妻=礼子のまたいとこの)代議士とのやり取りにおいて、
近しい(姻戚関係にある)者に対する愛憎がこれ以上ないという迫力で描かれており、その点でこの小説は傑作である。
これに匹敵するような緊張感をもった会話を挙げろと言われても(その範囲がたとえ文学全般であっても)、正直私には
難しい。
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雪密室 (講談社文庫) 文庫 – 1992/3/3
法月 綸太郎
(著)
雪の山荘で美女が殺される。部屋は旋錠され、犯人の足跡もない! 本格推理の極。誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する、出色本格推理。
雪の山荘で美女が殺される。部屋は旋錠され、犯人の足跡もない!本格推理の極。
誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する、出色本格推理。
雪の山荘で美女が殺される。部屋は旋錠され、犯人の足跡もない!本格推理の極。
誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する、出色本格推理。
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1992/3/3
- 寸法10.8 x 1.2 x 14.8 cm
- ISBN-10406185111X
- ISBN-13978-4061851115
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1992/3/3)
- 発売日 : 1992/3/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 280ページ
- ISBN-10 : 406185111X
- ISBN-13 : 978-4061851115
- 寸法 : 10.8 x 1.2 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 425,155位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者初期の作品らしいが、タイトルからして「密室」だし、「読者への挑戦状」もはさまり、本格ミステリを強く意識したらしい。読む方も当然期待したが、さほどインパクトはなく、鮮やかな密室破りと言うより、偽証が飛び交う中、巧くごまかされたな、と言う印象。
が、何より弱いと感じたのはキャラクター造形や情況設定の不自然さで、かなり無理が感じられた。法月警視と綸太郎親子はクイーンリスペクトだろうけど、本筋が終わった後で出生の秘密だの、過去の恨みだのを読まされても後味が悪く、蛇足としか思えなかった。以後の作品の伏線なんだろうか?
悪く書いたが、本格ミステリとしてそこそこ楽しめる作品だったと思う。標準的な佳作と評価。
が、何より弱いと感じたのはキャラクター造形や情況設定の不自然さで、かなり無理が感じられた。法月警視と綸太郎親子はクイーンリスペクトだろうけど、本筋が終わった後で出生の秘密だの、過去の恨みだのを読まされても後味が悪く、蛇足としか思えなかった。以後の作品の伏線なんだろうか?
悪く書いたが、本格ミステリとしてそこそこ楽しめる作品だったと思う。標準的な佳作と評価。
2019年2月22日に日本でレビュー済み
人物造詣が浅いとのコメントがありますが、私はあえてトリックではなく、人間ドラマの部分を評価したいと思います。
確かに、登場人物たちは、キャラクターの掘り下げが甘く、犯罪を巡る人間の持つ嫌らしさや傲慢さ、弱さが分かりにくく、読者の共感を得にくい描写に留まっているといえると思います。
しかし、現実の世界では他人の心のうち、特に旅先であったばかりの人物の心理や経歴など、良く分からないまま、適当なあて推量で決め付けることが多いのではないでしょうか。そのようなことを思いながら読めば、読者もまた登場人物たちの心のうちを推測するしかない傍観者として、事件を見ざるをえないもどかしさをこの本を通じて考えさせられるのではないでしょうか。
作者が意図したかは分かりませんが、多くのミステリで全知全能の神として登場人物たちの心や行動を見ることが当然と考える、読者の視点に一石を投じたといえなくも無いと思います。
確かに、登場人物たちは、キャラクターの掘り下げが甘く、犯罪を巡る人間の持つ嫌らしさや傲慢さ、弱さが分かりにくく、読者の共感を得にくい描写に留まっているといえると思います。
しかし、現実の世界では他人の心のうち、特に旅先であったばかりの人物の心理や経歴など、良く分からないまま、適当なあて推量で決め付けることが多いのではないでしょうか。そのようなことを思いながら読めば、読者もまた登場人物たちの心のうちを推測するしかない傍観者として、事件を見ざるをえないもどかしさをこの本を通じて考えさせられるのではないでしょうか。
作者が意図したかは分かりませんが、多くのミステリで全知全能の神として登場人物たちの心や行動を見ることが当然と考える、読者の視点に一石を投じたといえなくも無いと思います。
2019年7月7日に日本でレビュー済み
非常に楽しめた。
この作品は典型的なパズラー。そしてパズラーとしてはかなり良質な作品だと思う。
法月作品でいえば、「都市伝説パズル」とかが好きな方ならおすすめ。
雪密室を題材にする作品は「白い僧院」以来いろいろ出されたが、個人的には
この作品が一番好きかな。
それにしても器用な作家さん。いろんなテイストの作品で良い作品がある。
サスペンス調の「一の悲劇」も面白かったし、ジュベナイルの「怪盗グリフィン」も楽しめた。
ハードボイルドテイストを入れたとされる「頼子のために」は期待に届かなかったけど。
この作品は典型的なパズラー。そしてパズラーとしてはかなり良質な作品だと思う。
法月作品でいえば、「都市伝説パズル」とかが好きな方ならおすすめ。
雪密室を題材にする作品は「白い僧院」以来いろいろ出されたが、個人的には
この作品が一番好きかな。
それにしても器用な作家さん。いろんなテイストの作品で良い作品がある。
サスペンス調の「一の悲劇」も面白かったし、ジュベナイルの「怪盗グリフィン」も楽しめた。
ハードボイルドテイストを入れたとされる「頼子のために」は期待に届かなかったけど。
2012年4月25日に日本でレビュー済み
法月綸太郎作品を初めて読んでみての感想。
面白くない。Wikipediaや巻末の解説、作品リスト等から判断すると、本作は初期の作品で、シリーズとしてはおそらく第1作目にあたる作品だろうと思う。そのこともふまえて読むと、非常に不親切だと思う。主人公である探偵のキャラクターなり、背景なりの説明が十分になされないまま話が進んでいく。もちろんそれらは事件そのものと直接的に関わっている訳ではないが、正直、自分の知らない話をあれこれとされても面白くない。そもそもの作者の意図がどういったところにあったのかは定かではないが、多分ほとんどの読者には伝わらないだろう。
純粋にミステリとしてみた場合でも、やはり粒が小さいというか、これといった驚きがないままに終わるように思える。この辺りは作者本人の責任による部分もあるだろうが、出版する出版社ももう少し意識を高くしてもらいたい。少なくともある程度の品質は保証してほしい。
面白くない。Wikipediaや巻末の解説、作品リスト等から判断すると、本作は初期の作品で、シリーズとしてはおそらく第1作目にあたる作品だろうと思う。そのこともふまえて読むと、非常に不親切だと思う。主人公である探偵のキャラクターなり、背景なりの説明が十分になされないまま話が進んでいく。もちろんそれらは事件そのものと直接的に関わっている訳ではないが、正直、自分の知らない話をあれこれとされても面白くない。そもそもの作者の意図がどういったところにあったのかは定かではないが、多分ほとんどの読者には伝わらないだろう。
純粋にミステリとしてみた場合でも、やはり粒が小さいというか、これといった驚きがないままに終わるように思える。この辺りは作者本人の責任による部分もあるだろうが、出版する出版社ももう少し意識を高くしてもらいたい。少なくともある程度の品質は保証してほしい。
2015年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書を読み終えた感想。ラノベみたい。
別にラノベを悪くいうつもりはない。文章はなめらかで読みやすく、登場人物の会話は
テンポよくウィットも効いており、おっと思うような展開も随所にある。
が、それだけ。
気になるのはキャラの説得力のうすさ。沢渡冬樹がどのようにスゴイ人物なのか、
最後までわからなかった。日本全体を根底から変えるシステムを考案したと言うけれど、
具体的にどんなシステムだったのかの説明はろくになし。
容疑者の中山美和子が蓋をあけたら有名歌手だったというけれど、たしかに音楽で
食べていると思わせる描き込みは一切なし。
武宮は有名な医師だというが医療に関する記述はなし。陶芸家の某は言うまでもなし。
鍵となる政治家にいたっては、顔すらよくわからなかった。そういえば主人公の倫太郎も
ろくに容姿描写なかったし。
あとは警察関係。 柴崎は警部だというが、所轄なら警部は課長クラスだから管理職であって、
事件現場へじかに足を運ぶことはない。さらに柴崎の部下の姿がない。
殺人事件なら5,6人の警部補と巡査(部長)からなる班体制が捜査を仕切る。
柴崎には部下がいないのか。
法月警視は休暇中という設定はよいのだが、かりに捜査への飛び入り参加を許されたなら、
現地刑事の誰かと強制的にコンビを組まされるはず。
すると一人で捜査できるような自由は生まれないし、そもそも法月自身が犯行当時
現場にいたのだから、立派に容疑者のひとり。それが警察署へ連れていかれて事情聴取を
食らうこともなく、東京から 「探偵小説作家」 の息子を呼び寄せてコンビを組むというのは
失笑でしかない。
そもそも警察関係者でない一般人に事件をペラペラしゃべったら守秘義務違反で首になる。
そもそも警視クラスの人間が、「50代でまだその階級でくすぶっている」と言われる
からには警察庁採用のキャリアなんだろうが、それなら殺人事件の捜査に関してはド素人。
休暇中に出くわした事件に勇躍首を突っ込むなんてことはあり得ない。
本作は話の展開はそれなりに面白いのだが、突っ込みどころは満載。これに近いもの
といったら何か。ラノベです。
別にラノベを悪くいうつもりはない。文章はなめらかで読みやすく、登場人物の会話は
テンポよくウィットも効いており、おっと思うような展開も随所にある。
が、それだけ。
気になるのはキャラの説得力のうすさ。沢渡冬樹がどのようにスゴイ人物なのか、
最後までわからなかった。日本全体を根底から変えるシステムを考案したと言うけれど、
具体的にどんなシステムだったのかの説明はろくになし。
容疑者の中山美和子が蓋をあけたら有名歌手だったというけれど、たしかに音楽で
食べていると思わせる描き込みは一切なし。
武宮は有名な医師だというが医療に関する記述はなし。陶芸家の某は言うまでもなし。
鍵となる政治家にいたっては、顔すらよくわからなかった。そういえば主人公の倫太郎も
ろくに容姿描写なかったし。
あとは警察関係。 柴崎は警部だというが、所轄なら警部は課長クラスだから管理職であって、
事件現場へじかに足を運ぶことはない。さらに柴崎の部下の姿がない。
殺人事件なら5,6人の警部補と巡査(部長)からなる班体制が捜査を仕切る。
柴崎には部下がいないのか。
法月警視は休暇中という設定はよいのだが、かりに捜査への飛び入り参加を許されたなら、
現地刑事の誰かと強制的にコンビを組まされるはず。
すると一人で捜査できるような自由は生まれないし、そもそも法月自身が犯行当時
現場にいたのだから、立派に容疑者のひとり。それが警察署へ連れていかれて事情聴取を
食らうこともなく、東京から 「探偵小説作家」 の息子を呼び寄せてコンビを組むというのは
失笑でしかない。
そもそも警察関係者でない一般人に事件をペラペラしゃべったら守秘義務違反で首になる。
そもそも警視クラスの人間が、「50代でまだその階級でくすぶっている」と言われる
からには警察庁採用のキャリアなんだろうが、それなら殺人事件の捜査に関してはド素人。
休暇中に出くわした事件に勇躍首を突っ込むなんてことはあり得ない。
本作は話の展開はそれなりに面白いのだが、突っ込みどころは満載。これに近いもの
といったら何か。ラノベです。
2010年3月7日に日本でレビュー済み
法月綸太郎の長編第二作。まさに王道と呼べる舞台設定に状況設定。そしてそこで演出される殺人劇の謎に挑むは,作者が大好きなクイーンの
基本設定に倣い創造された法月親子!
デビュー作となる前作でみせた前衛的な作風からしてみれば,まるくなった感も受けるが何々侮れませんよ。読み応え充分です。
だからといって何も革新的なトリックが本書に使われているわけではないが,アリバイの問題・鍵の問題・雪の問題と,それぞれの要素を
圧倒的なアレンジセンスで複雑に組み立てられる手腕が凄いのだ!特に大前提にして最難関にもなる雪の要素はお見事。不可能に秩序を与えて
可能にするさまが実に鮮やか。
ほか,キャラクター造型はともかくとして,お決まりで陳腐な愛憎劇の範疇なんかには収まらない,登場人物間で心と理性が蝕まれるような
関係性を作り上げてみせた事に関して個人的にはとても高く評価したい。
あまりにシンプルで堂々としたタイトル。。この響きにピンと来た方,雪で構築されたこのパズルにぜひ挑戦してみてはいかがですか?
基本設定に倣い創造された法月親子!
デビュー作となる前作でみせた前衛的な作風からしてみれば,まるくなった感も受けるが何々侮れませんよ。読み応え充分です。
だからといって何も革新的なトリックが本書に使われているわけではないが,アリバイの問題・鍵の問題・雪の問題と,それぞれの要素を
圧倒的なアレンジセンスで複雑に組み立てられる手腕が凄いのだ!特に大前提にして最難関にもなる雪の要素はお見事。不可能に秩序を与えて
可能にするさまが実に鮮やか。
ほか,キャラクター造型はともかくとして,お決まりで陳腐な愛憎劇の範疇なんかには収まらない,登場人物間で心と理性が蝕まれるような
関係性を作り上げてみせた事に関して個人的にはとても高く評価したい。
あまりにシンプルで堂々としたタイトル。。この響きにピンと来た方,雪で構築されたこのパズルにぜひ挑戦してみてはいかがですか?
2014年5月17日に日本でレビュー済み
約20年ぶりに読んだのですが、読後、なぜ内容を全然覚えていなかったかが分かりました。
結局、それだけの作品ということです。
全く面白くないわけではないのですが、本格ミステリというには弱いというか。
設定そのものは悪くはない気もしますが、やはりリアリティを感じません。
気に入らない相手からの招待に応じるというのが、そもそも理解できません。
脅迫とありますが、その内容も弱いと感じました。
ラスト間際の犯人の行動も、ドタバタしていて、どうも美しくない。
もう少し、違った読ませ方にしてほしかったです。
いい歳をした警視が、被害者の死を自殺でなく殺人と言い張る場面なども、
ただ言葉だけで押し切ろうとするだけで魅力を感じません。
警視と息子 ( 探偵役の綸太郎 ) の、電話でのやり取りは嫌いではないのですが、
〔 作品全体を通しての盛り上がりどころがない 〕 という感じがしてなりません。
P235で 「 …… をすぐに調べておけば …… すぐにわかったはずなんだ 」 とあるように、
犯人の考えた計画は完璧ではなく、実際にはアリエナイことに見えてしまいました。
あくまでも小説の中だけのゲームというか。
約20年前、講談社ノベルズを読みあさり、新本格の方たちの作品にずっと接してきましたが、
個人的に法月綸太郎氏の作品は、どうも印象が強くありません。
それは探偵役の法月綸太郎に魅力を見出せないのと、父親の警視まで登場して、
そちらの方のやり取りだけで結構なページがあるからです。
つまり、事件そのものよりも、事件以外のことに関する記述が多いと感じてしまうのです。
P269と決して長くはないのに冗漫に思えるのは、そのせいでしょう。
個人的には、 〔 エピローグ 〕 は蛇足のように思いました。
動機も行動も納得できませんし、狙いすぎという気がします。
あらすじだけ読むと、とても面白そうに感じるのですが、ちょっと残念ですね …… 。
結局、それだけの作品ということです。
全く面白くないわけではないのですが、本格ミステリというには弱いというか。
設定そのものは悪くはない気もしますが、やはりリアリティを感じません。
気に入らない相手からの招待に応じるというのが、そもそも理解できません。
脅迫とありますが、その内容も弱いと感じました。
ラスト間際の犯人の行動も、ドタバタしていて、どうも美しくない。
もう少し、違った読ませ方にしてほしかったです。
いい歳をした警視が、被害者の死を自殺でなく殺人と言い張る場面なども、
ただ言葉だけで押し切ろうとするだけで魅力を感じません。
警視と息子 ( 探偵役の綸太郎 ) の、電話でのやり取りは嫌いではないのですが、
〔 作品全体を通しての盛り上がりどころがない 〕 という感じがしてなりません。
P235で 「 …… をすぐに調べておけば …… すぐにわかったはずなんだ 」 とあるように、
犯人の考えた計画は完璧ではなく、実際にはアリエナイことに見えてしまいました。
あくまでも小説の中だけのゲームというか。
約20年前、講談社ノベルズを読みあさり、新本格の方たちの作品にずっと接してきましたが、
個人的に法月綸太郎氏の作品は、どうも印象が強くありません。
それは探偵役の法月綸太郎に魅力を見出せないのと、父親の警視まで登場して、
そちらの方のやり取りだけで結構なページがあるからです。
つまり、事件そのものよりも、事件以外のことに関する記述が多いと感じてしまうのです。
P269と決して長くはないのに冗漫に思えるのは、そのせいでしょう。
個人的には、 〔 エピローグ 〕 は蛇足のように思いました。
動機も行動も納得できませんし、狙いすぎという気がします。
あらすじだけ読むと、とても面白そうに感じるのですが、ちょっと残念ですね …… 。