今年に入ってから「館シリーズ」を一作目から順番に読み進めて、第四作の本書まで
来た。これまでの三作は私にとって非常に面白いもので、すべてに☆5をつけてきた。
そして本書。迷ったうえ、やっぱり☆5をつけることにした。ただし探偵小説としてでは
なく、サイコ・スリラーとして。気鬱症的な個性の持ち主である人形館の所有者・飛龍
想一が一人称で語っていく不気味な物語は、終始陰鬱な色調で塗り固められており、
その雰囲気に最後まで惹きつけられてしまったからだ。とはいえ、館シリーズに親しん
できた層は、その差異に困惑するかもしれない。私も半分ほどまで読み進んで、よう
やくこれまでとは違うぞと気づいた。著者も随分と思い切った冒険に挑戦したものだ。
逆にいえば著者からの変化球のようなものとも云える。シリーズを読んできた読者に
用意した落とし穴。それでも気づく人は気づくだろう。私も「ひょっとしてハリウッド映画
なんかにも良く登場するアレですか?」と可能性のひとつには入れながら読んでいた。
ふたを開けてみればあっけないが、それでも最後まで知りたくなる魅力のある本だ。
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人形館の殺人 (講談社文庫) 文庫 – 1993/5/6
人形だらけの館を取り巻く怪事件の数々は?亡父が残した京都の「人形館」に飛龍想一が移り住んだ時、恐るべき悲劇は始まった。通り魔殺人、さらに想一にも死の影。名探偵島田はどう解く?衝撃の本格長編。
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1993/5/6
- ISBN-104061853880
- ISBN-13978-4061853881
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1993/5/6)
- 発売日 : 1993/5/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 380ページ
- ISBN-10 : 4061853880
- ISBN-13 : 978-4061853881
- Amazon 売れ筋ランキング: - 80,106位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院修了。’87年に『十角館の殺人』で作家デビュー。“新本格ムーヴメント”の嚆矢となる。’92 年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。“館シリーズ”と呼ばれる一連の長編は現代本格ミステリを牽引する人気シリーズとなった。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 迷路館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫) (ISBN-13: 978-4062763974 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『十角館の殺人』、『水車館の殺人』、『迷路館の殺人』に継ぐ館シリーズの四作目です。
この作品はかなり賛否両論ありまして異色作、力作、労作、駄作...云々。本格として読める
かどうかも際どいエキセントリックな内容になっております。
諸事情により京都にある人形館に移り住む事になった飛龍想一(主人公)の一人称で徹底して
進む本作の構成は実にパワフル!?なんですねハイ。簡単に並べると...
■度重なって身の回りに起きる不可解な出来事に何者かの敵意・悪意を感じておののく主人公
■がんじがらめの思考に陥ってく主人公
■過ぎ去った己の暗い記憶に振り回される主人公
■ぎりぎりの精神状態に追い込まれる主人公
■ただの狂人がそこにいた
...と、なんとも力技な一品に仕上がってます。とにかくヤッテやろう!と云う意志だけはとて
も強く感じるがそれが空回りしてしまって、著者独特の柔軟且つ豊潤な表現力が今一つ活きな
い内容になってしまったのが事実だ。
ただ、ありきたりのパターンと云うものに飽きてしまった方にとっては心地好いフックをかま
してくれるのもまた事実(それとて好みはわかれ、こんなの許せないと読了後に本を叩きつけ
たくなる気持ちになるかもしれない。でも何より求めていたものの熱さ故の反動には違いない
のだ。その精神性は否定せず買ってあげようじゃないか)。
この作品はかなり賛否両論ありまして異色作、力作、労作、駄作...云々。本格として読める
かどうかも際どいエキセントリックな内容になっております。
諸事情により京都にある人形館に移り住む事になった飛龍想一(主人公)の一人称で徹底して
進む本作の構成は実にパワフル!?なんですねハイ。簡単に並べると...
■度重なって身の回りに起きる不可解な出来事に何者かの敵意・悪意を感じておののく主人公
■がんじがらめの思考に陥ってく主人公
■過ぎ去った己の暗い記憶に振り回される主人公
■ぎりぎりの精神状態に追い込まれる主人公
■ただの狂人がそこにいた
...と、なんとも力技な一品に仕上がってます。とにかくヤッテやろう!と云う意志だけはとて
も強く感じるがそれが空回りしてしまって、著者独特の柔軟且つ豊潤な表現力が今一つ活きな
い内容になってしまったのが事実だ。
ただ、ありきたりのパターンと云うものに飽きてしまった方にとっては心地好いフックをかま
してくれるのもまた事実(それとて好みはわかれ、こんなの許せないと読了後に本を叩きつけ
たくなる気持ちになるかもしれない。でも何より求めていたものの熱さ故の反動には違いない
のだ。その精神性は否定せず買ってあげようじゃないか)。
2009年6月19日に日本でレビュー済み
最後が「なんじゃいな!!」ってなりました。
あんな方法だとなんにでもできます。本をぶつけたくなる感じがわからなくもないかな。
戦慄だということで期待しましたが最終部分であんな手法だとがっくりです。
「はあ・・・・」って感じでした。
あの手法はサスペンス映画ではよくある手法です。
他の作品は非常に素晴らしいのですけどね・・・・・。(黒猫館はイマイチでしたが。)
あんな方法だとなんにでもできます。本をぶつけたくなる感じがわからなくもないかな。
戦慄だということで期待しましたが最終部分であんな手法だとがっくりです。
「はあ・・・・」って感じでした。
あの手法はサスペンス映画ではよくある手法です。
他の作品は非常に素晴らしいのですけどね・・・・・。(黒猫館はイマイチでしたが。)
2011年12月28日に日本でレビュー済み
かなり序盤でオチが読めてしましました…
でも今でこそありがちな結末であっても今から20年以上も前の作品であることを考えるとかなりひねったオチかもしれません。
というわけで☆2つです。
でも今でこそありがちな結末であっても今から20年以上も前の作品であることを考えるとかなりひねったオチかもしれません。
というわけで☆2つです。
2006年1月28日に日本でレビュー済み
綾辻行人さんの『館』シリーズの第四弾。
京都の風情豊かな古風な町並みの一つに建てられた『緑影荘』と言う名のアパート、そしてそれに連接した飛竜家。
その中には主人公『飛竜想一』の今は亡き父親『飛竜高洋』の遺したマネキン、『人形』達が集まっていた。それ故その館は『人形館』と呼ばれていた。その人形館を中心にして主人公の周りで起こる不可解な謎。
謎の放火や、鍵を持った自分以外が出入りすることの出来ないアトリエ内への悪戯、周辺の子供の連続殺人、そして主人公『飛竜想一』自身を苦しませる封印されし黒い思い出。
それらが結び付けられる一つの真実、結末とは一体何なのか?
一応、『館』シリーズなのですが、他の皆さんが申しておられるとおりこの作品は、一種の番外編なのではないでしょうか?
その理由はネタバレになるのでここでは言えませんが、それでも綾辻行人の持つ『幻想性』を味わうには充分なのではないでしょうか?
人形館を中心とした謎の数々、そして『飛竜想一』の精神的に追い詰められていく様子は、正に自分がその場に居合わせている、と言った錯覚さえ呼び起こします。
確かに異質であることは否めません。本格推理小説としてどうなのだ、と言った声が聴かれるのも最もかもしれません。
それでも、本格かどうか?推理小説としてどうか?と言った言葉はその人によって感じ方は全く変わってきます。自分の中ではこれも広義的に本格推理の一つであると確信しています。
ミステリを楽しむ、そして自分の中の『ミステリ』を見つめなおすと言う意味も込めて、ぜひ一読を。
京都の風情豊かな古風な町並みの一つに建てられた『緑影荘』と言う名のアパート、そしてそれに連接した飛竜家。
その中には主人公『飛竜想一』の今は亡き父親『飛竜高洋』の遺したマネキン、『人形』達が集まっていた。それ故その館は『人形館』と呼ばれていた。その人形館を中心にして主人公の周りで起こる不可解な謎。
謎の放火や、鍵を持った自分以外が出入りすることの出来ないアトリエ内への悪戯、周辺の子供の連続殺人、そして主人公『飛竜想一』自身を苦しませる封印されし黒い思い出。
それらが結び付けられる一つの真実、結末とは一体何なのか?
一応、『館』シリーズなのですが、他の皆さんが申しておられるとおりこの作品は、一種の番外編なのではないでしょうか?
その理由はネタバレになるのでここでは言えませんが、それでも綾辻行人の持つ『幻想性』を味わうには充分なのではないでしょうか?
人形館を中心とした謎の数々、そして『飛竜想一』の精神的に追い詰められていく様子は、正に自分がその場に居合わせている、と言った錯覚さえ呼び起こします。
確かに異質であることは否めません。本格推理小説としてどうなのだ、と言った声が聴かれるのも最もかもしれません。
それでも、本格かどうか?推理小説としてどうか?と言った言葉はその人によって感じ方は全く変わってきます。自分の中ではこれも広義的に本格推理の一つであると確信しています。
ミステリを楽しむ、そして自分の中の『ミステリ』を見つめなおすと言う意味も込めて、ぜひ一読を。
2009年7月21日に日本でレビュー済み
賛否両論分かれる作品ですが、私はこの『人形館の殺人』が一番好きです。
これほどまでに哀しい“犯人”がいたでしょうか?
話は、飛龍想一の身に降りかかる事件と連続児童殺害事件とが並行して進行していきます。
この二つの事件のそれぞれの“犯人”は作中で明らかにされ、いちおう話は終結するのですが……。
終末に前者の事件の“裏の犯人”(罪を犯してもいないのに犯人はおかしいですが)的なものを暗に仄めかす描写があるのです。
作中の文章は想一の一人称で語られていきます。これは想一の心情を仔細に描くため、そして、他の登場人物、殊に“裏の犯人”の心情を読者に汲み取って欲しいがためと思われます。
しかし、そこまでは語られていないため飽くまで私の感想まで。
最後に…
ドミノの一つを倒すと全部が倒れてしまうように、自殺の途への僅かな煽動をし、それを最期までただ眺めているだけの者はどんな気持ちなのだろうか?
唯、一つだけ言えることはその者の心中には確かな《悪意》が在り、裁かれることは無いということだ。
これほどまでに哀しい“犯人”がいたでしょうか?
話は、飛龍想一の身に降りかかる事件と連続児童殺害事件とが並行して進行していきます。
この二つの事件のそれぞれの“犯人”は作中で明らかにされ、いちおう話は終結するのですが……。
終末に前者の事件の“裏の犯人”(罪を犯してもいないのに犯人はおかしいですが)的なものを暗に仄めかす描写があるのです。
作中の文章は想一の一人称で語られていきます。これは想一の心情を仔細に描くため、そして、他の登場人物、殊に“裏の犯人”の心情を読者に汲み取って欲しいがためと思われます。
しかし、そこまでは語られていないため飽くまで私の感想まで。
最後に…
ドミノの一つを倒すと全部が倒れてしまうように、自殺の途への僅かな煽動をし、それを最期までただ眺めているだけの者はどんな気持ちなのだろうか?
唯、一つだけ言えることはその者の心中には確かな《悪意》が在り、裁かれることは無いということだ。
2011年2月3日に日本でレビュー済み
このシリーズで上位に入るほど好きなひとつ。
綾辻さんの中でも異色です。
私は最後まで犯人が分からず、すごく驚いた記憶があります。
読んだことない人は読んでみて下さい。好き嫌いは分かれると思いますが、私は勧め。
綾辻さんの中でも異色です。
私は最後まで犯人が分からず、すごく驚いた記憶があります。
読んだことない人は読んでみて下さい。好き嫌いは分かれると思いますが、私は勧め。