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スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫 くB 1) 文庫 – 1988/2/1
倉橋 由美子
(著)
そこは悪夢の島か、はたまたユートピアか。スミヤキ党員Qが工作のために潜り込んだ孤島の感化院の実態は、じつに常軌を逸したものだった。グロテスクな院長やドクトルに抗して、Qのドン・キホーテ的奮闘が始まる。乾いた風刺と奔放な比喩を駆使して、非日常の世界から日常の非条理を照射する。怖ろしくも愉しい長編小説。
- 本の長さ476ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1988/2/1
- ISBN-104061960067
- ISBN-13978-4061960060
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1988/2/1)
- 発売日 : 1988/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 476ページ
- ISBN-10 : 4061960067
- ISBN-13 : 978-4061960060
- Amazon 売れ筋ランキング: - 609,315位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今の時代、倉橋由美子のような女流作家が少ないような気がするので読み甲斐があります。他の作品も読んでみたい。
2002年5月9日に日本でレビュー済み
同時代の左翼学生運動家達が怒ったという話がうなずける素晴らしい内容。当時にあってこの小説を書いてしまう野放図な度胸が最高に買い。
2017年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本文学を見直したくなるような傑作。カミュもカフカも大江健三郎もコケにした作者ならではの快作。デビュー作「パルタイ」では反代々木派(死語)のシンパ(死語)と誤解をされ、後の大学闘争の時代には学生達に支持された。好きな作家は三島由紀夫という発言が災いして、三島由紀夫が市ヶ谷駐屯基地でクーデーのアジ演説の後に割腹自殺を遂げた時は、当局から自宅の監視を受けるという笑い話のような大誤解も生じた。とにかく、まともに批評されたことがないくらいに、とらえどころのない作家であったが、「スミヤキストQの冒険」では、本領発揮、本音発揮、言いたいことを全部書いた。これこそ倉橋由美子という作品。カフカなら「変身」に相当する。カミュなら「異邦人」に相当する。大江健三郎には、相当する作品なし。
エリアーデの幻想小説のような異次元、「ドン・キホーテ「」や「ガリバー旅行記」のような政治的寓話、ダンテの「神聖喜劇」のような聖なるコメディ、エラスムスの「痴愚神礼讃」のような風刺、ラブレーの「ガルガンチュワとパンタグリュエル」ような猛毒の時代批判、「不思議惑星キン・ザ・ザ」 のような、ドゥシャン・マカヴェイエフの「スィート・ムービー」のような悪ふざけ、不思議な、奇怪な、グロテスクな深海魚のようなお話。
イリッチ著作集なんてものが出てくるところが、いかにも、1960年代。イリッチとは、ウラジーミル・イリイチ・ウリヤーノフのこと、つまり、ロシア革命のイデオローグであるレーニンの本名。スミヤキストとは、炭焼党(カルボナリ)に、「Q」は「Don Quixote」(ディスカウント・ストアじゃないよ)に由来する。さらに言えば、1961年にフランスで初版がでた「狂気の歴史」(M.フーコー)の「施療院」「感化院」という概念も利用している。
20世紀日本文学に登場した、たぐいまれなる奇譚小説。20世紀に、これほどに想像力を解放した日本作品といえば、あとは、「カリガリ博士」を彷彿とさせる「ドグラ・マグラ」(夢野久作)か、大長編の波瀾万丈ストーリーが最期の最後に、すべて幻、夢と終わる「豊穣の海」(三島由紀夫)ぐらいであろう。
エリアーデの幻想小説のような異次元、「ドン・キホーテ「」や「ガリバー旅行記」のような政治的寓話、ダンテの「神聖喜劇」のような聖なるコメディ、エラスムスの「痴愚神礼讃」のような風刺、ラブレーの「ガルガンチュワとパンタグリュエル」ような猛毒の時代批判、「不思議惑星キン・ザ・ザ」 のような、ドゥシャン・マカヴェイエフの「スィート・ムービー」のような悪ふざけ、不思議な、奇怪な、グロテスクな深海魚のようなお話。
イリッチ著作集なんてものが出てくるところが、いかにも、1960年代。イリッチとは、ウラジーミル・イリイチ・ウリヤーノフのこと、つまり、ロシア革命のイデオローグであるレーニンの本名。スミヤキストとは、炭焼党(カルボナリ)に、「Q」は「Don Quixote」(ディスカウント・ストアじゃないよ)に由来する。さらに言えば、1961年にフランスで初版がでた「狂気の歴史」(M.フーコー)の「施療院」「感化院」という概念も利用している。
20世紀日本文学に登場した、たぐいまれなる奇譚小説。20世紀に、これほどに想像力を解放した日本作品といえば、あとは、「カリガリ博士」を彷彿とさせる「ドグラ・マグラ」(夢野久作)か、大長編の波瀾万丈ストーリーが最期の最後に、すべて幻、夢と終わる「豊穣の海」(三島由紀夫)ぐらいであろう。
2008年9月27日に日本でレビュー済み
倉橋氏の長編としての代表作。「文学者としての冒険」と言う形容が相応しく、寓話的物語の中に作者の挑戦魂が秘められている。
主人公はスミヤキ党員のQで、Qがある島の感化院に派遣される所から物語が始まる。スミヤキ党は、唯物論派で無神論者。階級闘争(革命)派で合理主義を標榜するが、教条主義的傾向がある。感化院の正体は不明で、院長を初め、主事や同僚の練師(通常で言う教官か)等、主人公を取り巻く連中は得体の知れない者ばかり。主人公の名前の付け方と言い、カフカ的寓話を想起させる。彼等の奇矯な言動はQを戸惑わせ、Qの常識を翻弄する。そこには、科学万能主義、唯物論を初めとする各種の固定観念を嘲笑する作者の姿がある。思想に縛られる人間心理の愚かさ、滑稽さを皮肉に綴る倉橋氏の真骨頂だろう。特に、院長夫人の形容はまるでブラック・ホールのようで、哄笑を誘う。しかし、本作の真の意図は作中の"文学者"が解題する通り"無意味な世界"(反小説)を提供する事にある。作者は様々な記号的素材を提供するだけで、物語の創り手は読者なのだ。まさに文学的冒険。私のように思想性に拘るも良し、Qの性的嗜好を嗤うも良し、オウムを想起するも良し、閉じられた空間での人間関係の虚構性に着目するも良し、レクター博士の姿を思い浮かべるも良し。何しろ、時代も国も個人の名前も不明な「プロトタイプ小説」なのだから。看護婦のサビヤとQの恋人ピンギヤを初めとする院児達だけに名前が与えられているのは、彼女達だけに実存性があると言う事か。また、最後に"文学者"の名前がブッカと明かされるのは「"文学者"=作者」と言う意味か。そして、最後に待っているQにとっては皮肉過ぎる結末...。
卓越した手法で、作品に読者を巻き込む破天荒な冒険心に富んだ文学史上の傑作。
主人公はスミヤキ党員のQで、Qがある島の感化院に派遣される所から物語が始まる。スミヤキ党は、唯物論派で無神論者。階級闘争(革命)派で合理主義を標榜するが、教条主義的傾向がある。感化院の正体は不明で、院長を初め、主事や同僚の練師(通常で言う教官か)等、主人公を取り巻く連中は得体の知れない者ばかり。主人公の名前の付け方と言い、カフカ的寓話を想起させる。彼等の奇矯な言動はQを戸惑わせ、Qの常識を翻弄する。そこには、科学万能主義、唯物論を初めとする各種の固定観念を嘲笑する作者の姿がある。思想に縛られる人間心理の愚かさ、滑稽さを皮肉に綴る倉橋氏の真骨頂だろう。特に、院長夫人の形容はまるでブラック・ホールのようで、哄笑を誘う。しかし、本作の真の意図は作中の"文学者"が解題する通り"無意味な世界"(反小説)を提供する事にある。作者は様々な記号的素材を提供するだけで、物語の創り手は読者なのだ。まさに文学的冒険。私のように思想性に拘るも良し、Qの性的嗜好を嗤うも良し、オウムを想起するも良し、閉じられた空間での人間関係の虚構性に着目するも良し、レクター博士の姿を思い浮かべるも良し。何しろ、時代も国も個人の名前も不明な「プロトタイプ小説」なのだから。看護婦のサビヤとQの恋人ピンギヤを初めとする院児達だけに名前が与えられているのは、彼女達だけに実存性があると言う事か。また、最後に"文学者"の名前がブッカと明かされるのは「"文学者"=作者」と言う意味か。そして、最後に待っているQにとっては皮肉過ぎる結末...。
卓越した手法で、作品に読者を巻き込む破天荒な冒険心に富んだ文学史上の傑作。
2022年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文芸漫談でツッコミながら解説してほしい。なんでそんな人が次々と現れるのか。
ぐわんぐわんしてくる道を通って抜け出た先に青空が出てくる。
読み進めることが楽しい。いつまでも終わるなと思う気持ちと、早くこの世界から抜け出たいという思いの両方が湧いてくる。終わりがあるから耐えられるけれども、登場人物にとっては辛さしかない。そして、それが面白い。
ぐわんぐわんしてくる道を通って抜け出た先に青空が出てくる。
読み進めることが楽しい。いつまでも終わるなと思う気持ちと、早くこの世界から抜け出たいという思いの両方が湧いてくる。終わりがあるから耐えられるけれども、登場人物にとっては辛さしかない。そして、それが面白い。