坂口安吾の、随筆というには中身の充実している文章を集めた文庫。最近読み直してみて、改めてその内容に魅了された。
表題作「風と光と二十の私と」では教員体験のときの心のありようを語っていて、子供たちの心ばえや憧れの女先生の面影に思いを致す自らの懊悩を言葉にしているのを辿るとなんともいえない気持ちになってしまう。切ないような、眩しいような、悲しいような。そうして他の文章にも触れていくと、その言葉たちはことごとく生きている人の魂に触れるために織り上げられているのに気づく。魂に媒介無しで触れようとする散文は、どこか官能的だ。暗い話題ばかりあるようで、その文章は決して陰陰滅滅とはしていない。暗い時代を生きていく人の心をほぐしてくれるよさがあると思う。
コバルトブルーの心をもった人とは、坂口安吾のような人のことかもしれない。強く弾力に富んだ、ある種エロティックな散文が味わえる著書。
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風と光と二十の私と (講談社文芸文庫 さB 1) 文庫 – 1988/10/3
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“余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる”雪の国新潟の教室の机に彫って上京し、あえて、孤独な自己鍛練の世界に彷徨する、“精神の巨人”坂口安吾の繊細にして豪放、聖にして俗の、ダイナミックな自伝世界。
- 本の長さ452ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1988/10/3
- 寸法10.8 x 1.6 x 14.8 cm
- ISBN-10406196027X
- ISBN-13978-4061960275
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1988/10/3)
- 発売日 : 1988/10/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 452ページ
- ISBN-10 : 406196027X
- ISBN-13 : 978-4061960275
- 寸法 : 10.8 x 1.6 x 14.8 cm
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2009年2月27日に日本でレビュー済み
この本は自伝的小説群ですが、どれもこれも暗いです。
生きることへの情熱がひしひしと伝わってくるのに、暗い。
死の影に怯えつつ、それに立ち向かうというのが安吾さんの姿勢らしいです。
何人もの文学者の自殺に直接的間接的に関わったのに、
それに流されずに生にしがみついた姿勢は人間として素晴らしいです。
短い教員生活や京都での生活を描いた作品は幾分明るいですが、
基本的に太宰のように私生活を明るいギャグに転じさせることはしなかった模様です。
収録作品
・女占師の前にて
・おみな
・孤独閑談
・古都
・二十一
・いずこへ
・魔の退屈
・石の思い
・風と光と二十の私と
・私は海を抱きしめていたい
・わがだらしなき戦記
・二十七歳
・わが戦争に対処せる工夫の数々
・暗い青春
・三十歳
・死と影
・釣り師の心境
・わが精神の周囲
・小さな山羊の記録
ほぼ全てが鬱展開の自伝的小説です。
初心者の方にはあまりお勧めできません。
生きることへの情熱がひしひしと伝わってくるのに、暗い。
死の影に怯えつつ、それに立ち向かうというのが安吾さんの姿勢らしいです。
何人もの文学者の自殺に直接的間接的に関わったのに、
それに流されずに生にしがみついた姿勢は人間として素晴らしいです。
短い教員生活や京都での生活を描いた作品は幾分明るいですが、
基本的に太宰のように私生活を明るいギャグに転じさせることはしなかった模様です。
収録作品
・女占師の前にて
・おみな
・孤独閑談
・古都
・二十一
・いずこへ
・魔の退屈
・石の思い
・風と光と二十の私と
・私は海を抱きしめていたい
・わがだらしなき戦記
・二十七歳
・わが戦争に対処せる工夫の数々
・暗い青春
・三十歳
・死と影
・釣り師の心境
・わが精神の周囲
・小さな山羊の記録
ほぼ全てが鬱展開の自伝的小説です。
初心者の方にはあまりお勧めできません。
2003年1月7日に日本でレビュー済み
文学者でもあり、思想家でもあった坂口安吾の生き様がここにある。彼の、人を捉える鋭い眼、陰鬱でありながらもすがすがしい青年期、そして、彼にとって戦争とはなんだったのか、そのヒントがここに隠されている。
教員時代の体験を綴った表題作「風と光と二十の私と」のほか、重くのしかかる母の影をテーマとした「石の思い」、矢田津世子との切なく哀しい恋愛録「二十七歳」など、どれも安吾を知るうえで欠かせない自叙伝。
いざ、安吾の精神世界へ。
教員時代の体験を綴った表題作「風と光と二十の私と」のほか、重くのしかかる母の影をテーマとした「石の思い」、矢田津世子との切なく哀しい恋愛録「二十七歳」など、どれも安吾を知るうえで欠かせない自叙伝。
いざ、安吾の精神世界へ。
2002年8月19日に日本でレビュー済み
「堕落論」を読んだだけでは坂口安吾さんのことは
分からない。この本でこそ坂口さんの本当の熱血と野心が見られます。
個人的に、教師、教師志望の人には絶対に読んで欲しい作品です。
分からない。この本でこそ坂口さんの本当の熱血と野心が見られます。
個人的に、教師、教師志望の人には絶対に読んで欲しい作品です。
2011年1月22日に日本でレビュー済み
「風と光と二十の私と」を読むと安吾の子どもに対する洞察力に驚かされる。
「子どもは大人と同じようにずるい。ずるいにはずるいけれども,同時に人のために甘んじて犠牲になるような
正しい勇気も一緒に住んでいる」
「子どもの胸に秘められている苦悩懊悩は,大人と同様に,むしろそれよりもひたむきに深刻なのである」
また,「暗い青春」では,少年と青年の希望を比較して
「少年の希望は自在で王者にも天才にも自らを化して夢と現実の区別がないが,青年の希望の裏には限定された自我がある。
わが力量の限界に自覚があり,希望に足場が失われている」
と鋭い指摘をするかと思えば「わが戦争に対処せる工夫の数々」では
「いつまで水風呂に入れるか,ひとつ冬まで続けてやろう」などと惚けたことを言ったりする。
かと思えば「いずこへ」では
「私はみすぼらしさが嫌いで貧乏するほど浪費する。一ヶ月の生活費を一日で使い果たし使い切れないとわざわざ人に呉れてやる」
「真実の価値あるものを生むためには必ず自己犠牲が必要なのだ」
と太宰のような自虐的側面も併せ持つ。
それでも安吾は「生きる」ことにこだわった作家だ。
最後に「私は海を抱きしめていたい」から
「私は常にあこがれている人間だ」
「子どもは大人と同じようにずるい。ずるいにはずるいけれども,同時に人のために甘んじて犠牲になるような
正しい勇気も一緒に住んでいる」
「子どもの胸に秘められている苦悩懊悩は,大人と同様に,むしろそれよりもひたむきに深刻なのである」
また,「暗い青春」では,少年と青年の希望を比較して
「少年の希望は自在で王者にも天才にも自らを化して夢と現実の区別がないが,青年の希望の裏には限定された自我がある。
わが力量の限界に自覚があり,希望に足場が失われている」
と鋭い指摘をするかと思えば「わが戦争に対処せる工夫の数々」では
「いつまで水風呂に入れるか,ひとつ冬まで続けてやろう」などと惚けたことを言ったりする。
かと思えば「いずこへ」では
「私はみすぼらしさが嫌いで貧乏するほど浪費する。一ヶ月の生活費を一日で使い果たし使い切れないとわざわざ人に呉れてやる」
「真実の価値あるものを生むためには必ず自己犠牲が必要なのだ」
と太宰のような自虐的側面も併せ持つ。
それでも安吾は「生きる」ことにこだわった作家だ。
最後に「私は海を抱きしめていたい」から
「私は常にあこがれている人間だ」