河上徹太郎、吉田健一両氏による対談が付録されています。(最近出た文庫本の方にはなかった、と思います。)
お酒入りで遠慮なく話し合っていて、しかし、その中に大切な指摘が幾つか認められます。
第一に、ヴァレリーの翻訳のことが語られています。
河上氏の「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法論序説」(同人誌『白痴群』)は、我が国のヴァレリー紹介のはしりであり、本人にとっても自信の一作だったらしいのですが、吉田氏は「あれは誤訳が多いのでワレのをヴァレリー全集に入れた」と言い放ち、河上氏は絶句します。
第二に、高橋ヒデオ氏が吉田氏の小林秀雄論をほめてくれたことへの言及があります。
吉田氏は、小林氏の『無常という事』の中の「当麻」と「平家物語」とを評して、批評とは作品をダシにして私を語るものだ、という説を論駁します。そして、「自分」などというものはない、と判断します。高橋英夫氏は、吉田氏の時間論を「現在」の汎存在への移行だ、と定義します。文学理論ではこの一事には傍証をいくつも寄せることができるのですが、割愛します。
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都築ケ岡から (講談社文芸文庫 かE 1 現代日本のエッセイ) 文庫 – 1990/12/1
河上 徹太郎
(著)
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1990/12/1
- ISBN-10406196108X
- ISBN-13978-4061961081
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1990/12/1)
- 発売日 : 1990/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 344ページ
- ISBN-10 : 406196108X
- ISBN-13 : 978-4061961081
- Amazon 売れ筋ランキング: - 896,634位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,425位講談社文芸文庫
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