モリエールの戯曲やマラルメやヴィヨンの詩を翻訳したフランス文学者によるエッセイ集。大修館『鈴木信太郎全集』第3巻、第5巻を底本とし、6冊の単行本に収録されていた47篇を選んでいる。
稀覯本の収集家で美酒を好んだ多趣味の人だった。趣味の一つである篆刻の話もあり印譜4ページまで付けられた。同僚のフランス文学者や教え子たちの回想では、錚々たる名前が並ぶ。辰野隆･豊島与志雄・井上究一郎・渡辺一夫・伊吹武彦など。
個人的な感想だが、ヴィヨンは鈴木信太郎『ヴィヨン全詩集』の訳以外に考えられない。本書にヴィヨンの周辺について考証しているエッセイがあるのはうれしい。
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