私は大江健三郎の文章に手こずるレベルの読者です。
今回、原書を読む読書会で難解と言われるフォークナーの本作品が採用されたので、何はともあれ前もって全体のストーリーだけでもつかんでおこうと思い、購入しました。
予想通り、日本語訳でも、話の進行や文同士のつながりを理解するのに大変苦労しました。
複数の殺人がどこで起きたかも気づかないまま読み進み、後の記述でそうだと知る、という有り様です。
ただ、うかつにも下巻を手にとって発見したのですが、巻末に訳者によってストーリーが時系列にまとめてあり、これが大変役に立ちます。お陰で上巻よりも下巻の方が、より理解が進みました。
内容は、南北戦争敗北後の南部の人々を、自己変革も許さない強力で不条理な想念が縛りつけ、破局に追いやるというもので、なるほど重厚な作品です。
登場する二組の若者については、同性愛が示唆されているのかも知れません。
もう一度読む過程で、全体をより深く理解できればと期待しているところです。
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アブサロム、アブサロム 下 (講談社文芸文庫 フA 3) 文庫 – 1998/7/1
ウィリアム・フォークナー
(著),
高橋 正雄
(翻訳)
少年時代に受けた屈辱により、南部で人間として認められるには「土地と黒人と立派な家」を持たなければならないと思い知らされたサトペンは、その野望の達成に向けて邁進する。しかし最初の妻に黒人の血が混じっていることを知って捨てた報いにより、築き上げた家庭は内部から崩壊していく。小説表現の限界に挑みながら20世紀文学の最先端を歩み続けたフォークナーの渾身の大作。
- ISBN-104061976230
- ISBN-13978-4061976238
- 出版社講談社
- 発売日1998/7/1
- 言語日本語
- 本の長さ297ページ
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1998/7/1)
- 発売日 : 1998/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 297ページ
- ISBN-10 : 4061976230
- ISBN-13 : 978-4061976238
- Amazon 売れ筋ランキング: - 482,092位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年9月30日に日本でレビュー済み
アメリカ南部社会の魂の叫びを表現するために、こういう文体を作者は考え出したのだが、文体がまるで死者の声のように聞こえるのは、まさにここに描かれた南部社会が死んでいるからであり、死者の声なのだから我々にまともに理解できるわけがないのである。あるいは死者の声を悪夢と呼んでもいい。いづれにしても、文体が難解なのではない、そもそも理解できるはずがないのだ。内容が理解できないのではない、その声の異常さや奇妙さが我々には理解できないのだ。だって死者の声なのだから。このように、奴隷制度の上に繁栄を築き、それ故にその罰を受けることになったアメリカ南部社会を内部から描ききるために、作者は生きながらにして死者となったのだ。また死者となって時空を越えなければ、これほど縦横無尽に小説世界を構築することはできないだろう。
もちろん作者は本当に死者となって書いたわけではない。彼がそのように書けたのは、やはり彼自身が南部出身で、南部の田舎町にほとんどずっと住み続けて、まさに彼は南部をどれだけ憎もうとどうしても南部を捨て去ることができない、南部と共に滅んでいくような男だったからなのかもしれない。もちろん彼は、主人公のサトペンと同様に、小説を書くことでそんな南部社会と格闘し続けたのである。そして、サトペンは敗れ去ったが、作者フォークナーは勝ったのだ。アメリカ南部社会の魂の叫びは過去の彼方に埋もれてしまったのではなく、フォークナーの作品群の中に今も生きているし、未来永劫に渡って生き続けるのである。
もちろん作者は本当に死者となって書いたわけではない。彼がそのように書けたのは、やはり彼自身が南部出身で、南部の田舎町にほとんどずっと住み続けて、まさに彼は南部をどれだけ憎もうとどうしても南部を捨て去ることができない、南部と共に滅んでいくような男だったからなのかもしれない。もちろん彼は、主人公のサトペンと同様に、小説を書くことでそんな南部社会と格闘し続けたのである。そして、サトペンは敗れ去ったが、作者フォークナーは勝ったのだ。アメリカ南部社会の魂の叫びは過去の彼方に埋もれてしまったのではなく、フォークナーの作品群の中に今も生きているし、未来永劫に渡って生き続けるのである。