買ったまま長らく未読であった本書が目にとまり、年の瀬が迫って、心なし人の少なくなった通勤電車の行き帰りに読みました。
収録されている作品は、本巻の副題にある青春ではありませんが、とりたてたいした光も影もなかった中学時代から大学時代にかけて親しんだ作家のものばかりで、あらすじ以前に、その雰囲気であったり、文章の手触りであったりが無性に懐かしかったです。また、中沢けいさんは、「海の聞こえる時」を高校生の時に読んで、作品の出来不出来や文章のクオリティ云々とは全く無関係に、ひどく不快と言いますか、怒りを覚えたと言いますか、ある強い拒否感を感じて、それ以来、他の作品を読むことがなかったのですが、それが今回「入江を越えて」を読んで、おそらくその頃の自分にはまだ正視できなかったものがそこに描かれていたからではないか、という考えが頭をよぎりました。金井美恵子さんにしても、その昔、「愛の生活」をはじめ、読めている手ごたえがほぼないのに、文章が好きで、やたらと読んでいましたが、「水の色」は、ほんの少しだけ作品の輪郭が見えたような気がして、そういった意味では、本書を読むことで自分を「再発見」したように思います。
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戦後短篇小説再発見1 青春の光と影 (講談社文芸文庫) 文庫 – 2001/6/8
講談社文芸文庫
(編集)
全10巻117篇の秀作ここに!!
鬱屈した心情と爆発するエネルギー――いつの時代にも変わらぬ若者たちの生態を鮮やかに描いた11篇
・太宰治「眉山」
・石原慎太郎「完全な遊戯」
・大江健三郎「後退青年研究所」
・三島由紀夫「雨のなかの噴水」
・小川国夫「相良油田」
・丸山健二「バス停」
・中沢けい「入江を越えて」
・田中康夫「昔みたい」
・宮本輝「暑い道」
・北杜夫「神河内」
・金井美恵子「水の色」
●編纂委員=井口時男/川村湊/清水良典/富岡幸一郎
鬱屈した心情と爆発するエネルギー――いつの時代にも変わらぬ若者たちの生態を鮮やかに描いた11篇
・太宰治「眉山」
・石原慎太郎「完全な遊戯」
・大江健三郎「後退青年研究所」
・三島由紀夫「雨のなかの噴水」
・小川国夫「相良油田」
・丸山健二「バス停」
・中沢けい「入江を越えて」
・田中康夫「昔みたい」
・宮本輝「暑い道」
・北杜夫「神河内」
・金井美恵子「水の色」
●編纂委員=井口時男/川村湊/清水良典/富岡幸一郎
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2001/6/8
- ISBN-104061982613
- ISBN-13978-4061982611
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2001/6/8)
- 発売日 : 2001/6/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4061982613
- ISBN-13 : 978-4061982611
- Amazon 売れ筋ランキング: - 678,838位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2003年3月18日に日本でレビュー済み
アンソロジーなので一つ一つ好みが分かれるけど、それぞれの作家の良さをそれなりに感じられるから好企画。太宰治「眉山」は小品でも良くまとまってて一番いい。丸山健二「バス停」や大江健三郎「後退青年研究所」や田中康夫「昔みたい」などは、作品のなかに作者ならではの本当にいいセンテンスがある。石原慎太郎と中沢けいはちょっと見劣りするような印象も受けるが、好みというのもあるだろうし。三島由紀夫「雨のなかの噴水」だって、しょうもない三文芝居みたいな筋でも割と読ませてくれる。こういうアンソロジーは多少気に入らない作品もあるのが健全なような気がするからいいのだ。
2014年9月2日に日本でレビュー済み
錚々たる作家たちが名を連ねています
太宰治「眉山」
とあるフォークシンガーのお涙頂戴小説とは違いますヨ
自分の狭い価値観で人を評価してはいけない、というお話です
石原慎太郎「完全な遊戯」
青春の暴力性、荒廃、虚無
こんな小説を発表していた人が、現在政治家として高い地位にあるとは…
大江健三郎「後退青年研究所」
暗く鬱屈した青年像
大江カラーは変わりません
三島由紀夫「雨の中の噴水」
主人公の不安定な心理はよくわかります
都会的で洒落た恋愛小説です
小川国夫「相良油田」
幻想と現実がごちゃ混ぜになったような回想的な小説
丸山健二「バス停」
都会に出て数年、風俗産業に勤めていることを内緒に田舎に戻ってきた女性の苛立ちと後悔と疲労
中沢けい「入江を越えて」
少女が女に変っていくある夏の日
田中康夫「昔みたい」
華やかな若い女性の優雅な生活の底に漂う憂愁
康夫ちゃんらしいです
二度と読みたくないっ!
宮本輝「暑い道」
4人の男の性と愛と友情を描いた人情噺
収録されている11編の中では一番好き
北杜夫「神河内」
自らの青年時代と両親の想い出を内省的に描いています
金井美恵子「水の色」
ここに収録されているということは青春小説だと思うのですが、金井さんの作風に全く馴染なかったこともあり、よくわかりませんでした
「青春小説」は、希望に満ち、爽やかで輝かしいものばかりではありません
『光』あるところ、必ず『影』があります
太宰治「眉山」
とあるフォークシンガーのお涙頂戴小説とは違いますヨ
自分の狭い価値観で人を評価してはいけない、というお話です
石原慎太郎「完全な遊戯」
青春の暴力性、荒廃、虚無
こんな小説を発表していた人が、現在政治家として高い地位にあるとは…
大江健三郎「後退青年研究所」
暗く鬱屈した青年像
大江カラーは変わりません
三島由紀夫「雨の中の噴水」
主人公の不安定な心理はよくわかります
都会的で洒落た恋愛小説です
小川国夫「相良油田」
幻想と現実がごちゃ混ぜになったような回想的な小説
丸山健二「バス停」
都会に出て数年、風俗産業に勤めていることを内緒に田舎に戻ってきた女性の苛立ちと後悔と疲労
中沢けい「入江を越えて」
少女が女に変っていくある夏の日
田中康夫「昔みたい」
華やかな若い女性の優雅な生活の底に漂う憂愁
康夫ちゃんらしいです
二度と読みたくないっ!
宮本輝「暑い道」
4人の男の性と愛と友情を描いた人情噺
収録されている11編の中では一番好き
北杜夫「神河内」
自らの青年時代と両親の想い出を内省的に描いています
金井美恵子「水の色」
ここに収録されているということは青春小説だと思うのですが、金井さんの作風に全く馴染なかったこともあり、よくわかりませんでした
「青春小説」は、希望に満ち、爽やかで輝かしいものばかりではありません
『光』あるところ、必ず『影』があります
2002年4月21日に日本でレビュー済み
青春の光と影のタイトル通り、それぞれの作家の生きた青春時代を短編としてまとめられた物である。若さゆえの無鉄砲で荒削りで、自身をうまくコントロールできずいるが、でも精一杯その時代を”生きている”と感じさせる。あぁあの時代は本当に悪さもした、人を死ぬほど愛することもしたと苦々しい思いも交えて振り返ることのできるどこか懐かしさの残る作品ばかりだ。貧しい世の中方が、文章がとぎすまされていてかつストレートですごくいい。
2007年9月17日に日本でレビュー済み
再発見、と言う見出しに惹かれて購入。大江健三郎、三島由紀夫、宮本輝、北杜夫、などの著名な作家もおり、最初はかなり期待していた。
題名を読めばわかるが、青春の1ページといった風の短編集が収録されている。風景への憧憬や女づきあいなど、様々な方面から青春を描いている。光と陰、といってもどちらかと言えば暗い印象の方が強いが、これはこれで良いと思う。
ただ、思ったよりもつまらなかった。本の冒頭部分でも編集者が『原稿用紙六十枚程度の未だスポットライトの当たっていない短編の名作を選ぶのはかなり無理がある作業』と言ったようなことを述べているとおり、それぞれイメージの違いが大きすぎ、これは好きでもこれは全く面白くないという様なことになると思う。実際にそうで、太宰治や中沢けいの作品は比較的面白く読めたが、金井美穂子の短編は句点の連続でつなげた冗長な文章が気に入らず、途中で読むのをやめてしまった。規定のページ数作品をそろえるためか、ええ! こんな物が本当に名作なの?、という事も多々あり、全体としては不満が残った。
自分は古本で買ったから良かったが、この本に950円払って読む価値があるかと言われると正直微妙な所だと思う。講談社文芸文庫は当たりでもはずれでも値段が高い。
題名を読めばわかるが、青春の1ページといった風の短編集が収録されている。風景への憧憬や女づきあいなど、様々な方面から青春を描いている。光と陰、といってもどちらかと言えば暗い印象の方が強いが、これはこれで良いと思う。
ただ、思ったよりもつまらなかった。本の冒頭部分でも編集者が『原稿用紙六十枚程度の未だスポットライトの当たっていない短編の名作を選ぶのはかなり無理がある作業』と言ったようなことを述べているとおり、それぞれイメージの違いが大きすぎ、これは好きでもこれは全く面白くないという様なことになると思う。実際にそうで、太宰治や中沢けいの作品は比較的面白く読めたが、金井美穂子の短編は句点の連続でつなげた冗長な文章が気に入らず、途中で読むのをやめてしまった。規定のページ数作品をそろえるためか、ええ! こんな物が本当に名作なの?、という事も多々あり、全体としては不満が残った。
自分は古本で買ったから良かったが、この本に950円払って読む価値があるかと言われると正直微妙な所だと思う。講談社文芸文庫は当たりでもはずれでも値段が高い。