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鳴るは風鈴 木山捷平ユーモア小説選 (講談社文芸文庫) 文庫 – 2001/8/9

3.3 5つ星のうち3.3 11個の評価

〈桜桃忌〉に出られなかった事から太宰治を回想する「玉川上水」、敗戦直後郷里に疎開した頃の日常を描き飄逸味を漂わせた「耳かき抄」。表題作をはじめ「逢びき」「下駄の腰掛」「山つつじ」「川風」「柚子」「御水取」など身辺の事柄を捉えて庶民のうら哀しくも善良でしたたかな生き方を綴った諧謔とペーソス溢れる木山文学の真骨頂、私小説的作品を中心に新編集した傑作11篇。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2001/8/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2001/8/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 296ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4061982745
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4061982741
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.8 x 1 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.3 5つ星のうち3.3 11個の評価

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木山 捷平
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上位レビュー、対象国: 日本

2021年1月11日に日本でレビュー済み
今なお熱心な読者を持つ木山捷平。「ユーモア小説選」と銘打つだけあってどれも諧謔味の溢れた作品ばかりです。

筋らしい筋もあまりなし。日々の暮らしの中でぼうっと思ったことやふと起きたことを、そのまま書きつけたような短編ばかりです。

太宰治ら文学仲間の死を思いつつ貸間を探し亀井勝一郎と飲み(「玉川上水」)、故郷岡山に引っ込んで酒をあおり、なぜか池で読経を上げている坊主と夜中に酒盛りし(「耳かき抄」)、戦後、気軽にデートする若者に触発されて、古女房と神社の境内で束の間の夜のデートを楽しむ(「逢いびき」)。かつての下宿仲間が田舎の校長になって作者を訪ねて来て、そういえば昔から女にモテるやつだったなあなどと考えていたら、その男の実の娘から意外な手紙をもらう(「鳴るは風鈴」)。そんな主人公(作者)に、読む側もぼうっとつき合っていれば、それだけで温かい気持ちがしてきます。

と思ったら、大陸からの引揚船がなかなか内地に上陸できず、沖合で停泊中に船内でコレラが発生。日本を目の前にして乗客が真っ黒こげになって次々と死んでいく(「コレラ船」)。でも本人は怯えながらもどこかのんびりしている。まるで他人事のように煙草を欲し、医務室からアルコールを失敬しようと考える。

で、やっぱり、小説が書けないとぼやきつつ、妻に自分の睾丸を触らせ(!)そのまま銭湯へ行き(?)以前見かけた牛飼いの妻の膝小僧を思い出す(「下駄の腰掛」)。骨折で入院し足に通した金属片への愛着を語りつつ(「山つつじ」)、妻に嘘つき相撲を見物しその後一杯やって橋の上で美女と語る(「川風」)。自分が何を書いているのかわかっているのかと疑いたくなりますw

でも、そんな短編群が飄々として味わい深い。解説の故坪内祐三も、小沼丹や川崎長太郎も含め、このての作家にテーマを求めるだけ「ヤボ」、「その文章をしみじみと味わえば、それですべてこと足りてしまう」と述べています。その時その時の流行りのテーマを追いかけた作家たちが、どれだけあらわれては消えていったか。それを考えれば木山捷平は滋味菊すべきマイナーポエットと言えるでしょう。

ちなみに、「最低」という短編はこの作家の名作である「大陸の細道」同様、満州での労苦を描いた掌編なのですが、なんとその名作「大陸の細道」が小学館のP+D BOOKSより新たに刊行されるとのこと。やはり長く読み継がれる作家はちがいますね。

他にフィクションの態で書かれた短編が2つありますが、やっぱり主人公は捷平な感じw それよりも、掉尾を飾る未亡人の「あとがき」が圧巻。生前不遇をかこったこの作家を支えただけのことがあります。この文庫が刊行された当時93歳。もう亡くなったでしょうね。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年1月29日に日本でレビュー済み
いささか地味ではあるが、とても読みやすい文体と適度なユーモアで作品世界にじわじわと引き込まれる。

日常生活や過去の体験が両者を巧みに織り交ぜながら淡々と描かれ明確な結末がないのがほとんどだが、次の作品、その次の作品とどんどん読みたくなるという不思議な魅力がある。

中でも表題作がもっとも面白く、風鈴という小道具が艶笑を誘う役割と旧友を悼む役割をも兼ね備えているところが秀逸と感じた。

収録作品は以下のとおり。

「玉川上水」
「耳かき抄」
「逢びき」
「鳴るは風鈴」
「コレラ船」
「下駄の腰掛」
「山つつじ」
「川風」
「柚子」
「最低」
「御水取」

以上、11編。なかなか楽しめました。
2016年2月6日に日本でレビュー済み
収録作品は以下のとおりです。
「玉川上水」(昭28)・・貸間探しにぶらぶらと玉川付近を散策。太宰治の回想など。
「耳かき抄」(昭30)・・「耳かきを買ってくる」と言って出かけるさきはいつも居酒屋・・。
「逢びき」(昭31)・・駅前でカップルのデータを見るうち、疎開時代の「逢びき」に想いはとぶ。
「鳴るは風鈴」(昭34)・・かつて下宿の隣に住んでいた男との再会。彼が女性を連れてくる夜には、部屋のタンスがカタカタ鳴ったものだった・・。
「コレラ船」(昭34)・・旧満州からの帰還船。やっと本土が見えたと思った矢先、乗客にコレラ患者が発生。いつまでも上陸できない船内では・・。
「下駄の腰掛」(昭34)・・これも独特のユーモア。人工授精の話題から、牛の種つけを見学した話。
「山つつじ」(昭37)・・骨折したときに入れたボルトを抜くために再入院。大部屋での様子を綴った作品。
「川風」(昭37)・・日本女性の脚の形を考察しながら、電車に乗って蔵前へ相撲見物。両国まで脚を伸ばしたところである女性と再会・・。
「柚子」(昭37)・・新聞社を定年退職した男が、山陰の温泉を旅行する。宿で出会った婦人。彼女が語る思い出話。
「最低」(昭38)・・終戦直後の旧満州。帰還のめどはたたず、ソ連兵がうろつく、死と隣り合わせの日々をしたたかに生き抜く姿。
「御水取」(昭41)・・奈良東大寺のお水取りを見物しようと天理市に行ったところ、かつて入院していたときに世話になった元看護師と再会する。思いがけずふたりで暗闇の奈良を歩くうちに・・。

いずれの作品も、ほどよいユーモアと艶笑で、明るく、したたかに生きている市井の人間を描いています。
苛酷な状況のものも重苦しいところがなく、むしろ軽妙な味わい。お薦めの1冊です。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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