贅沢だ。どの対談もすこぶるおもしろい。寺山修司の、ほとんど話芸のような会話のテクニックのたまものか。話し手の個性を存分にひきだして相手の思考を最大限に広げさせ、ときに無礼なのではないかと思うほどのツッコミをいれて場の熱気を高める。一番新しいのが1983年の岸田秀との「宗教」談義で、これが死ぬ数ヶ月前。その数年前が吉本隆明との「死」と「歌」をめぐる対話で、このときすでに医師から不治の病を宣告されていた。どちらもすばらしい出来である。
三島由紀夫との「論争」が、しかし最もよい。芝居をめぐる「偶然」と「必然」をめぐって意見が対立するのだが、これが楽しい。…寺山「必然性というのも、偶然性の一つです。ぼくらは偶然的に宇宙に投げ出されたのだ、とは思いませんか。」三島「思わない。つまり、必然性が神で、芝居のスピリットなんだよ。だから、ハプニングというものを芝居に絶対導入したくないんです。というのは、芝居は必然性があるから偶然性が許されているんで、ギリギリの芝居の線だと思う。」…三島はこの数ヵ月後に自決する。
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思想への望郷: 寺山修司対談選 (講談社文芸文庫 てB 3) 文庫 – 2004/6/1
寺山 修司
(著)
三島由紀夫「抵抗論」等7人との対話を収録「書を捨てよ、街に出よう」逆説的に象徴される寺山の思想。鶴見俊輔、岸田秀、塚本邦雄、種村季弘、吉本隆明等との対話によりその根源を浮彫にする精選対談集。
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2004/6/1
- ISBN-104061983725
- ISBN-13978-4061983724
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2004/6/1)
- 発売日 : 2004/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 278ページ
- ISBN-10 : 4061983725
- ISBN-13 : 978-4061983724
- Amazon 売れ筋ランキング: - 764,377位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 792位論文集・講演集・対談集
- - 1,229位講談社文芸文庫
- - 11,896位近現代日本のエッセー・随筆
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