久生十蘭を出版してくれるのは有り難いが、収録作7作中3作も日下三蔵氏編のちくま文庫版とかぶっている。
10作ぐらい収録していての1、2作ならともかく、半分近くでは多すぎる。
気のきいた編者のものなら、代表作だが先行書と重複するので収録は見合わせた、などと解題に書いてあることがよくある。
どうせ買う人間はほとんど同じなのだから、読者のためにも、また営業上も、さらにはマナーとしても、そうすべきである。
文句は書いたが、「湖畔」を上質紙で読めるのはいいですな。
ちなみに、都筑道夫、種村季弘両氏は「湖畔」を誤読していて(自分もそうだった)、正しい読み方をしているのが北村薫氏(『ミステリは万華鏡』)。
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湖畔・ハムレット 久生十蘭作品集 (講談社文芸文庫) 文庫 – 2005/8/11
久生 十蘭
(著)
正体をくらますリュパン? 遁走するファントマ? “小説の魔術師”十蘭の傑作7篇
女装、泥酔、放火――、模範少年はなぜ一見、脈絡のない事件を起こしたのか? 少年の心理を過去現在の交錯する戦後空間に追い、母と息子の残酷極まりない愛の悲劇に至る傑作「母子像」(世界短編小説コンクール第一席)、黒田騒動に材を採り破滅に傾斜する人間像を描破した「鈴木主水」(直木賞)等、凝りに凝った小説技巧、変幻自在なストーリーテリングで「小説の魔術師」と評される十蘭の先駆性を示す代表的7篇。
江口雄輔
ジャンルにこだわらない作品傾向とそれにふさわしい多彩な文体、十蘭は安住することなくつねに文体実験を試みた。安住できなかったといったほうが正しいかもしれない。どこかにあるはずの理想郷がどうしても捕捉できないもどかしさがあり、他方、目の前の現実には満たされないもの、欠落している部分があったからだ。何が欠けているのか、それは本人にもわからない。それだけいっそう現実世界から隔絶した十全たる世界で、しかもそれにふさわしい久生十蘭の刻印がしっかり押されている世界を求めた。――<「解説」より>
女装、泥酔、放火――、模範少年はなぜ一見、脈絡のない事件を起こしたのか? 少年の心理を過去現在の交錯する戦後空間に追い、母と息子の残酷極まりない愛の悲劇に至る傑作「母子像」(世界短編小説コンクール第一席)、黒田騒動に材を採り破滅に傾斜する人間像を描破した「鈴木主水」(直木賞)等、凝りに凝った小説技巧、変幻自在なストーリーテリングで「小説の魔術師」と評される十蘭の先駆性を示す代表的7篇。
江口雄輔
ジャンルにこだわらない作品傾向とそれにふさわしい多彩な文体、十蘭は安住することなくつねに文体実験を試みた。安住できなかったといったほうが正しいかもしれない。どこかにあるはずの理想郷がどうしても捕捉できないもどかしさがあり、他方、目の前の現実には満たされないもの、欠落している部分があったからだ。何が欠けているのか、それは本人にもわからない。それだけいっそう現実世界から隔絶した十全たる世界で、しかもそれにふさわしい久生十蘭の刻印がしっかり押されている世界を求めた。――<「解説」より>
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/8/11
- ISBN-104061984152
- ISBN-13978-4061984158
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/8/11)
- 発売日 : 2005/8/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 256ページ
- ISBN-10 : 4061984152
- ISBN-13 : 978-4061984158
- Amazon 売れ筋ランキング: - 528,501位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年10月7日に日本でレビュー済み
2008年10月に、国書刊行会より、定本久生十蘭全集全11巻が刊行されます。学芸文庫で著者の作品に触れた方は是非眼を通される事を熱望致します。日本にもこんな作家がいた事を誇りに思われると思います。よく、推理作家、時代劇作家、歴史小説作家など、色分けする傾向が日本人にはありますが著者には、どのジャンルにも当てはまらない、凄さがあります。どの国にも居ないと、断言できます。おまけになんという浅はかでしょう、向井敏氏によると、純文学とは遇されず、日本近代文学大事典で、大衆文学の稀に見る高水準の作品と評するにとどまっているそうです。純文学って、何ですかー?そんなに権威があるのかな、難しかったら、純文学かあ、芥川賞作品は、そうなんですかねー。私はわりと読んでますが、一度も思った事はないですねー。小説の面白味は、物語の展開の裏切りの面白さではないでしょうか。そこに作者は全身全霊を傾けるのではないでしょうか。昨今、出版事情がよくないと聞きますが、久生十蘭氏のような魅力的な作家がいないのが、原因かも知れませんね。久生氏は1957年昭和32年に55才で亡くなられています。50年以上経っていても、その作品は古びる事なく燦然と輝いております。これから小説家を目指す方、現在小説家の方など未読の方々には、必読です。でもあまり真剣に読まないでください、ご自身辛い事になると思いますので。講談社、国書刊行会の編集者の方々有難うございます。増版され続ける事を祈りつつ。