この『私の詩と真実』は、河上徹太郎自身の、いわゆる人生を俯瞰出来る位置(年齢・人生経験・社会的立場)から、それまでに自分自身が出会ってきた、求め続けてきた、「文学的関係を契機にした生きる意味」を、再度、その過去に続くレール(自分自身)に沿って確認した、ある種の確認作業の意味合いもあったのではなかろうか、と私は思う。あとがきに「私の二十歳代における精神形成の自画像を書くこと」「回顧的で創造的でない仕事」という言葉があるが、清水徹は解説の冒頭で「河上徹太郎の知的自伝である」と記している。
例えば、魚釣りは「鮒に始まり鮒に終わる」と言われるが、このことに似ている。人は誰でも人生の意味を考え、真に生きる場を求め、抗ったり悩んだりする時期もあるが、「詩と真実」は激しくぶつかり、水しぶきを上げながら、他の流れではない自分自身の流れを流れ下る。そして、最も平たいところに辿り着くのではなかろうか。
済んだことは考えないという人もいるが、立ち止まり、振り返り、確認することにより、何が問題かも含めて、より明確にすることが、明日への推進力になるのだと、私は考えます。
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私の詩と真実 (講談社文芸文庫 かE 2) 文庫 – 2007/6/9
河上 徹太郎
(著)
評論の形で描く精神形成の自画像
小林秀雄とともにわが国の近代文芸批評を文学として確立させた河上徹太郎。「純粋」という観念に憑かれた一青年は、中原中也、また青山二郎らとの深い交流のなかで精神の自己形成を図った。音楽を愛し、ヴェルレーヌ、ジッド、ヴァレリーらフランス象徴主義の思考により、エピキュリアンにしてストイックな精神性を身につけた、日本文学最高のアマトゥールによる自伝的連作エッセイ11篇。
長谷川郁夫
「私の詩と真実」はやがて訪れる晩年の豊饒を約束する一書となった。虚無の豊饒、とは本書中にみられる一つの観念(イデー)だが、それが見事に花開くのだった。(中略) 批評というものが、なんとも「贅沢」な文学形式であることを、河上徹太郎は実践をもって示した。そして、それは「完璧」なものであった。――<「解説」より>
小林秀雄とともにわが国の近代文芸批評を文学として確立させた河上徹太郎。「純粋」という観念に憑かれた一青年は、中原中也、また青山二郎らとの深い交流のなかで精神の自己形成を図った。音楽を愛し、ヴェルレーヌ、ジッド、ヴァレリーらフランス象徴主義の思考により、エピキュリアンにしてストイックな精神性を身につけた、日本文学最高のアマトゥールによる自伝的連作エッセイ11篇。
長谷川郁夫
「私の詩と真実」はやがて訪れる晩年の豊饒を約束する一書となった。虚無の豊饒、とは本書中にみられる一つの観念(イデー)だが、それが見事に花開くのだった。(中略) 批評というものが、なんとも「贅沢」な文学形式であることを、河上徹太郎は実践をもって示した。そして、それは「完璧」なものであった。――<「解説」より>
- 本の長さ210ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/6/9
- ISBN-104061984802
- ISBN-13978-4061984806
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/6/9)
- 発売日 : 2007/6/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 210ページ
- ISBN-10 : 4061984802
- ISBN-13 : 978-4061984806
- Amazon 売れ筋ランキング: - 892,437位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,416位講談社文芸文庫
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2021年1月4日に日本でレビュー済み
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2021年5月5日に日本でレビュー済み
ピアノ弾きの修業をしながら海外の思潮と楽譜とをともに自身のものとしていました。とくに、文学に関しては、日々の暮らしに上手く釣り合う表現を探して、「愛読」しました。そこで、良かったものを中心に、本書のような、詩と真実、としての回想記録が作れました。由来はゲーテです。
音楽家としての初期音楽論から初期文芸論へとどのようにして移行したのかは、なかなか資料がありませんが、その過程の一端は伺い知ることができます。
自由に呼吸する若き日の著者の感覚の性質は、晩年の表現まで一貫するものを持っています。
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自由に呼吸する若き日の著者の感覚の性質は、晩年の表現まで一貫するものを持っています。