1984年から1990年までに書かれた随筆と短編小説を収めています。永井龍男80代。小説家として名をはせた著者の、豊かな人生観に支えられた味わい深い文章ばかりです。
タイトルでもある「東京の横丁」は作者の少年期から戦後、文芸春秋社をやめるまでを描いた半自伝的散文。他に、身辺の風物に目を向けた「四季雑記」、長い作家人生の中で出会った知己への鎮魂の思いをつづる「追憶の人」、最後に短編一作が収録されています。
自分にはまだ書くことがある。書かずにいられない。そんな思いに駆られつつ執筆していたことが読み手に伝わってきます。晩年とは、文学者にとってとても格別な時期なのでしょう。
「自分の少年時代を思うにつけて、私は母の至らなさを恥かしく思ったり、ある場合は憎んで来さえした。貧しさに負け、心の余裕を失った一人の母親を、冷たい目で見ながら生長したが、母親の血というものが、いつの間にか直に私に通っていることを、その時身に染みて実感した。その私が受け継いだ欠点を、何とか私の行為の上で償わない限り、母は成仏しないのだと、私は素直に感じ取った。」
永井龍男はすぐれた短編作家でした。良きにつけ悪しきにつけ、そうであることを力とし、戦後文壇を生き抜いた作家だったと思います。その持ち味は、遺作となったこの1冊にもよく表れています。
実は、本書はもうすぐ講談社文芸文庫から改めて刊行されるのですが、古本市で見かけた、函入りの単行本という、今では目にかからない装丁に惹かれ買ってしまいました。
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東京の横丁 単行本 – 1991/1/1
永井 龍男
(著)
- 本の長さ293ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1991/1/1
- ISBN-104062052733
- ISBN-13978-4062052733
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (1991/1/1)
- 発売日 : 1991/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 293ページ
- ISBN-10 : 4062052733
- ISBN-13 : 978-4062052733
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,916位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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