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孟嘗君(4) 単行本 – 1995/11/2
宮城谷 昌光
(著)
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【諸子百家、大鳴動】
逆流にあえぐ宿命の美女!食客説客、風のごとく去来する戦国の中国を、億万人に1人の清々しい声で相渉る青年田文の愛と風格!
別離の宴を閉じた尸佼(しこう)は、馬車に乗るまえに、田文(でんぶん)を招き、「やがて天下は文どのを中心にうごくようになると思う。そのとき、仁義をけっしてお忘れにならぬことです」と、おどろくべきことを、おだやかにいった。「はい」と、こたえた田文は胸苦しさをおぼえた。「公孫鞅(こうそんおう)の失敗は、その仁義をおろそかにしたところにある。白圭の成功は、おそらく、いのちがけで仁義をまもってきたことにある。仁義ということばは、中華がもちえた最高の理念をあらわしている。それがわかる者が天下を制御してゆくのです」「ご教示、かたじけなく……」尸佼は馬車に乗った。天空から降ってくる光が明るい。野山は新しい緑で沸きかえっている。そのなかを尸佼の馬車の影が小さくなっていった。――[壮者の時]
逆流にあえぐ宿命の美女!食客説客、風のごとく去来する戦国の中国を、億万人に1人の清々しい声で相渉る青年田文の愛と風格!
別離の宴を閉じた尸佼(しこう)は、馬車に乗るまえに、田文(でんぶん)を招き、「やがて天下は文どのを中心にうごくようになると思う。そのとき、仁義をけっしてお忘れにならぬことです」と、おどろくべきことを、おだやかにいった。「はい」と、こたえた田文は胸苦しさをおぼえた。「公孫鞅(こうそんおう)の失敗は、その仁義をおろそかにしたところにある。白圭の成功は、おそらく、いのちがけで仁義をまもってきたことにある。仁義ということばは、中華がもちえた最高の理念をあらわしている。それがわかる者が天下を制御してゆくのです」「ご教示、かたじけなく……」尸佼は馬車に乗った。天空から降ってくる光が明るい。野山は新しい緑で沸きかえっている。そのなかを尸佼の馬車の影が小さくなっていった。――[壮者の時]
- 本の長さ310ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1995/11/2
- 寸法13.5 x 2.4 x 19.5 cm
- ISBN-104062078953
- ISBN-13978-4062078955
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「やがて天下は田文どのを中心にうごくようになると思う。そのとき、仁義をけっしてお忘れにならぬことです」という尸佼の言葉に、田文の胸は重く塞がる。戦国の中国を相渉る青年・田文の愛と風格益々さえる第4巻。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1995/11/2)
- 発売日 : 1995/11/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 310ページ
- ISBN-10 : 4062078953
- ISBN-13 : 978-4062078955
- 寸法 : 13.5 x 2.4 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 44,842位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 12,868位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1945(昭和20)年、愛知県生れ。早稲田大学第一文学部英文科卒。
出版社勤務等を経て1991(平成3)年、『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。1993年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞受賞。2000年、司馬遼太郎賞受賞。
『晏子』『玉人』『史記の風景』『楽毅』『侠骨記』『孟夏の太陽』『沈黙の王』『奇貨居くべし』『管仲』『香乱記』『三国志』『古城の風景』『戦国名臣列伝』『春秋名臣列伝』『風は山河より』『新 三河物語』等著書多数。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年4月20日に日本でレビュー済み
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主要な登場人部のみならず、主人公の施策やサブキャラから社会を生きていく術を学べます
2016年2月7日に日本でレビュー済み
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激動の時代を生き抜いた人々の活劇。歴史上の人物ととらわれず今を生きる私たちにも生きるヒントを与えている良い歴史小説です。
2010年7月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
孟嘗君の3巻目を読み終えた後、白圭という人物は架空の人物に違いないと思い込んでいた。
しかし、4巻目で「史記」、「孟子」、「韓非子」にその名と実績が記録されていると書いてあったので
白圭に対する見方が随分と変わった。実際にいたすごい人物だとわかると尊敬の度合いも急上昇した。
しかし、4巻目で「史記」、「孟子」、「韓非子」にその名と実績が記録されていると書いてあったので
白圭に対する見方が随分と変わった。実際にいたすごい人物だとわかると尊敬の度合いも急上昇した。
2009年2月20日に日本でレビュー済み
田嬰、田文、田忌、孫ぴんの前に斉の宰相すうきが立ちはだかる。
また、実親とも出会い、過去はすべて清算されたかと思った田文の前に、赤ん坊のときに共に預けられていた女の赤ん坊の存在がちらつく…。
周の父親・白圭を訪ねた田文は、白圭の進める仁愛の事業に協力する。
実の父親・田嬰とはそりが合わないものの、数多くの食客たちから慕われ、運命の美女にもめぐり合う。
田文の活躍もいよいよか、と楽しい気分になってくる。
じょじょに田文の魅力があふれてくる第4巻。
ただいま田文青春まっただ中。
また、実親とも出会い、過去はすべて清算されたかと思った田文の前に、赤ん坊のときに共に預けられていた女の赤ん坊の存在がちらつく…。
周の父親・白圭を訪ねた田文は、白圭の進める仁愛の事業に協力する。
実の父親・田嬰とはそりが合わないものの、数多くの食客たちから慕われ、運命の美女にもめぐり合う。
田文の活躍もいよいよか、と楽しい気分になってくる。
じょじょに田文の魅力があふれてくる第4巻。
ただいま田文青春まっただ中。
2009年3月15日に日本でレビュー済み
孟嘗君を取り上げた内容なのですが、実際は白圭の素晴らしさばかりが際立っており、孟嘗君の偉業よりも勝って感じられました。
終盤は展開が駆け足のように感じられて、読み終えたときの感慨も深くないものでした。
とても評価のし難い作品だと思います。
終盤は展開が駆け足のように感じられて、読み終えたときの感慨も深くないものでした。
とても評価のし難い作品だと思います。
2009年3月24日に日本でレビュー済み
こうも資料の少ない時代の人物を、ここまで想像力の翼を広げて魅力的に描ける作家は、当世宮城谷さんをおいて他にいないような気がする。田文の生きた時代は、中国の歴史上でも屈指の面白さがあると思われるが、その面白さは現代から遠すぎることによる曖昧さだろう。その曖昧さをフルに使って極上の物語にする作家であることに間違いない。
全五巻のうち、この四巻が一番キャラクターが躍動していて面白く読めた。
全五巻のうち、この四巻が一番キャラクターが躍動していて面白く読めた。