本書の白眉は当然ながら1950年代から1960年代初頭にかけてのA-12オックスカートあるいはアークエンジェル12の開発秘話である。
A-12は世界最初のステルス機でもある。
オックスカートのステルス性能は高く、それより後に作られたF-14トムキャットの100分の1しかレーダーに反応しなかったが
CIAがスカンクワークスに緘口令を敷いたため誰もA-12が超越的な未来機であることに気付かなかった。
それどころかケリー・ジョンソンは“ハブ・ブルー”(後のF-117A)はオックスカートの1000倍も見えにくくできると断言した
(当時のレーダー・トランスミッターはすでに1マイル先の蟻をも見つけるほど性能が高かったのだが)。
F-117Aの重要なところは1984年の段階で自動操縦による完全な無人による爆撃・帰投作戦を可能にしていたことである
(無人作戦は実行されなかったが) 。 ロッキード社の超先進的開発部門スカンクワークスのケリー・ジョンソンは1975年の段階ですでに
有人機は航空作戦には不要と考えていたし、それを実現する技術も知っていた。
さてA-12であるがその開発が着手されたのは1959年3月、機体の前半部の側面に張り出しをつけることによってレーダー反射率を
10%まで下げるというブレイクスルーによって開発が加速し始めたのが1959年5月である。この間、たったの2ヶ月!
開発上の最大の問題のひとつがマッハ3以上という超高速航行によって発生する機首で480℃という熱であった。
この熱でも強度がそれほど落ちない金属はステンレスとチタンしかない。チタンはステンレスの半分の重量しかないので
都合がよいが極めて加工しにくい。既製品の航空部品は高温で強度が落ちるのでほとんで使えず、
A-12のほとんどのスペアパーツは自作することになりその総数1300万点!
スカンクワークスのスタッフはA-12の設計・製作のために12時間労働で膨大な作業量をこなしたが
そのマンパワーの使い方は信じがたいほど効率がよく、冷却系の開発はたったの二人、世界で最も強力なエンジンの
開発はたったの3人(!)で進められた。そのエンジンであるがA-12で最も驚くべきはこのとてつもないエンジンであろう。
この巨大なJ-58「ゴジラ」エンジンの開発(改造)のためにCIAはなんと6億ドルの拠出を決定。
このプラット&ホイットニー社の怪物エンジンは意外にもA-12用に開発されたものではなく1956年にマッハ2で
飛ぶ迎撃戦闘機のために開発され600時間のテストまで行われていたが計画が流れた曰くつきの逸品である。
こんな超弩級ターボジェットエンジンが基本的にはレシプロエンジン戦争である第二次世界大戦
の終結からわずか10年ほどで開発されていたという事実に全く驚かされるが、
プラット&ホイットニー社のビル・ブラウンとスカンクワークスが協力して大改造を施した後の
2基の合計推力は30844kgで、巡航速度時速3600kmとして総出力を計算すると約41万馬力で戦艦大和の最初の設計値16万8000馬力の2.44倍である。つまりオックスカートは両翼に1基で大和より巨大な戦艦を動かせるだけのパワーを発生するエンジンを搭載していたのだ!大和のエンジンの出力は現代の船舶との比較ではおよそ豪華客船のエンジンに匹敵する。
こんな前代未聞のモンスターが燃料なし43.6トン、燃料込み48.5トンの機体を飛ばしたのである。
ウェイトパワーレシオは燃料満載時でも118g/馬力である。
言うまでもないことだがこのJ-58ゴジラエンジンは当時人類史上最も強力なエンジンだった。排気温度はアフターバーナー時で1870℃である。
灼熱して輝くチタンの排気口からはダイヤモンド型の超音速のショックウェーブが発生し、マイナス60度
の高空でもこのエンジンが通過すると1km後方であってもしばらく大気温度が93℃になる。
J58エンジンから発生する桁外れのショックウェーブは時に工場の煙突を倒したという。
スカンクワークスとプラット&ホイットニーは流用品のエンジンに革新的な改造を施し、この恐るべき性能を得た。
それはあの極めて特徴的な尖った円錐状の可動式ショックコーンである。
あのコーンは地上では2.4mも突き出しているがマッハ3.3の最大速度での航行時には60センチまで後退するのである。
可動式コーンによるエアインテークにおける衝撃波の最適化こそA-12の革新的設計の中心である。
さて、大気からエネルギーを取り出すためにはできる限り大量の空気を取り込み圧縮して
過熱・膨張させそれを排気口からより大きな速度で排出する他ない。
ジェットエンジンのパワーは全てここにかかっている。
スパイ機であるA-12が飛ぶ2万4000mの上空では空気の密度が地上の16分の1しかなく、
しかも-54℃の低温のため、ケロシン由来のジェット燃料JP-7は発火点が高いためもあり、
燃焼しないのでまず空気を圧縮して高温高圧にしてそこへ燃料ガスを噴射する。
可動式コーンによって空気取り入れ口が狭くなっていて、そのことによって上空の-54℃の空気が圧縮され
430℃にまで加熱され、これをさらにバイパスターボエンジン内のコンプレッサーでさらに圧縮して760℃になり
そこへ燃料を噴射することでさらに1260℃にし、その高温高圧の空気がアフターバーナーで燃料をさらに噴射され、
1870℃になる。この高温とそれによる空気の膨張による高圧こそがパワーの源である。
ベン・E・リッチはJ-58エンジンの推力の70パーセントはコンピュータ制御の可動式コーンが
生み出していてその開発に人生の最良の時期の全てを費やしたと語っている。
実際に、J-58「ゴジラ」エンジンはマッハ3.3の最高速航行時にはその推力の
70パーセント以上を吸入・圧縮系での空気の加熱により生み出していて、
エンジン本体のターボファン系は副次的な役割しか果たしていない。
それを可能にするのが当時の超先端技術であったコンピュータ制御の可動式コーンであるが
コンピュータといってもアポロ計画以前の1961年のコンピュータである。
その性能は今の電卓ほどだ。しかし対気速度・温度・角度などによってもっとも効率よく空気を
大量に取り入れ、同時に衝撃波の悪影響を避けるよう工夫する電子制御の可動式コーンは奇跡の航空革命であった。
A-12の初飛行は1962年4月だが最初の試験は1月に行われていてこの時はJ-58ゴジラ・エンジンが間に合わず
少し性能的に劣るJ-75エンジンが使用された。この時にはエンジンが始動せず、仕方なくスターターシャフト
をNASCAR用の425キュービックインチの500馬力「ヘミ」エンジン2機を使用して回して始動したというすごい
エピソードも書かれている。この巨大な恐ろしい爆音を発生するスターターはその後A-12伝説の一部となった。
さて、ここに特筆しておきたいのは現在の無人機技術が真っ青になるような凄まじい先進的未来技術が当時
既に存在し、実際に使用されていたということである。コードネームは「タグボート」で1963年2月に本格的に
計画がスタートしている。1966年にA-12の複座式後継機SR-71ブラックバードの胴体の背中にマーカット社製
ラムジェットエンジンを搭載したチタン製全長12m重量7.65トンの「タグボート」を積んで行われた性能試験の
結果についての記述を読んで僕は冗談抜きで椅子から転げ落ちそうになった。
「タグボート」は完全自動の無人機であるが飛行距離は3000km、巡航速度はマッハ5.3、このとんでもない
速度で飛びながらチャンネル諸島の写真を2万8000mの上空から撮影しプログラムされたルートにしたがって
帰還したのである。これは全て現実である。
この計画はまるでDARPAが2010年に初飛行を実施しロケットブースターでマッハ4.5まで加速し、
その後スクラムジェットエンジンでマッハ6から7となることを目指したX-51「ウェーブライダー」計画そのものではないか。
X-51のエンジンの燃料はJP-7ジェット燃料である。この燃料はA-12が使用したものと同じである。
この計画は2010年5月26日に初飛行が実施された。エドワーズ空軍基地を離陸したNB-52Hより高度約1万5000メートルで切り離され、
ロケットブースターによる上昇加速後にスクラムジェットエンジンを140秒燃焼してマッハ4.88までの加速を行い
(トラブルにより早期に燃焼が停止したため、部分的な成功に留まった)、高度約2万1000mに達した。
機体を高空に運び上げるために使用されたNB-52Hは旧名B-52で、「タグボート」も最初はSR-71によって上空へ
運ばれていたが切り離し時にSR-71の機体を壊したのでB-52に運搬機が変更されたという経緯があったのだ。
ウェーブライダー計画が達成した高度は2万1000m、速度はマッハ4.88である。高度でも速度でも
44年前の「タグボート」がかなり上回っているのだ。2013年のテストで「ウェーブライダー」はマッハ5に達したが
それもなお「タグボート」の記録には到達しえていない。
スカンクワークスは正に現代技術史上の奇跡だった。
A-12はあまりにも斬新、あまりにも強力だった。そのパワーは近寄るもの全てに畏怖の念を起こさせ、轟音とともに
上空へ駆け上がっていくその姿を見たものは世界の振動を体験し、恐怖を感じたのである。
秘密基地から竜巻のような轟音と地鳴りとともに夜間飛行に飛び立っていく後継機SR-71ブラックバードと、
排気口で輝くダイヤモンド型のショックウェーブをを目撃したCIA工作担当部長リチャード・ヘルムズはこう叫んだという。
「これはブラックバードなんてもんじゃない!地獄のハンマーだ!」
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ステルス戦闘機: スカンク・ワークスの秘密 単行本 – 1997/1/1
例のない創造型組織の責任者が明かす成功のノウハウ
数々の最新鋭軍用機を開発した知られざる[創造型組織]の全て!!
スカンク・ワークス(ロッキード先進開発計画)はF−104・U−2・SR−71・F−117Aなどのハイテク機を短期間・低コストで開発!!〈少数精鋭・独立・秘密〉を第一義にした例のない組織の責任者がその全貌を明かす!!
数々の最新鋭軍用機を開発した知られざる[創造型組織]の全て!!
スカンク・ワークス(ロッキード先進開発計画)はF−104・U−2・SR−71・F−117Aなどのハイテク機を短期間・低コストで開発!!〈少数精鋭・独立・秘密〉を第一義にした例のない組織の責任者がその全貌を明かす!!
- 本の長さ459ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1997/1/1
- ISBN-104062085445
- ISBN-13978-4062085441
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
ロッキード先進開発計画〈スカンク・ワークス〉は短期間・低コストで数々の最新鋭軍用機を開発した。少数精鋭・独立・秘密を第一義にした例のない創造型組織の全貌を明かす。
著者について
【ベン・R・リッチ】
1925年、フィリピンでユダヤ人の両親のもとに生まれる。UCLA修士課程修了。1950年、ロッキード社に入り、F−104戦闘機の設計にたずさわった後、ロッキード先進開発計画(スカンク・ワークス)の一員となり、最新鋭のU−2偵察機、SR−71「ブラック・バード」他の設計に関わる。1975年、スカンク・ワークスのトップとなってからは、世界初のステルス戦闘機F−117Aを開発、航空界のアカデミー賞ともいえるコリア・トロフィーを受賞した。1991年、ロッキード社を退社。
【増田興司】
1941年満州生まれ。1965年名古屋大学航空学科修士課程修了後、川崎重工業に入社、主として航空機の空力設計に従事し、現在に至る。訳書に『テストパイロット』(講談社)がある。
1925年、フィリピンでユダヤ人の両親のもとに生まれる。UCLA修士課程修了。1950年、ロッキード社に入り、F−104戦闘機の設計にたずさわった後、ロッキード先進開発計画(スカンク・ワークス)の一員となり、最新鋭のU−2偵察機、SR−71「ブラック・バード」他の設計に関わる。1975年、スカンク・ワークスのトップとなってからは、世界初のステルス戦闘機F−117Aを開発、航空界のアカデミー賞ともいえるコリア・トロフィーを受賞した。1991年、ロッキード社を退社。
【増田興司】
1941年満州生まれ。1965年名古屋大学航空学科修士課程修了後、川崎重工業に入社、主として航空機の空力設計に従事し、現在に至る。訳書に『テストパイロット』(講談社)がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1997/1/1)
- 発売日 : 1997/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 459ページ
- ISBN-10 : 4062085445
- ISBN-13 : 978-4062085441
- Amazon 売れ筋ランキング: - 322,287位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 872位軍事入門
- - 32,726位科学・テクノロジー (本)
- - 92,846位文学・評論 (本)
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2016年5月2日に日本でレビュー済み
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2017年1月28日に日本でレビュー済み
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湾岸戦争でイラクの軍事施設をピンポイントで爆撃する様子がまるでテレビゲームのようにニュースで映し出された。が、イラク戦争では学校や病院への誤爆もあったという。アメリカが世界と戦争をすることについての正否は置いておいて、強力なリーダーの下で、高いモラルとプレッシャーの下で、優秀な技術者達が、独立性を持ち、官僚組織や無駄な書類に埋もれず、最先端の戦闘機を作り上げていく過程はエキサイティングだ。それはもう人生の最上の楽しみだ。亡くなったベン・リッチにも、彼の師匠のケリーにも。
これと同じくらいドキドキする読み物としてCERNの『ノーベル賞を獲った男』カルロ・ルビアの話があった。が、素粒子加速器は巨大でも、データはコンピューターのディスプレイの中、素人にはいまいちよくわからない。こちらのステルス戦闘機のほうが、特にパイロットの「死にそうになった」「死亡した」話を含めて、強く引きつけるものがある。
ボスのケリーに命じられたとき「できません」ではなく、行脚して専門家を訪ね、その命令を実行してしまうリッチは凄いと思った。
世界のすべての人がこのような組織に属しているわけではなく、自分の才能と限界の中で仕事をしている。
自分の身の程を知りながらも、自分がやっていることが「スカンクが凄い戦闘機を作る」のと同じくらい凄いことだと思って仕事をすれば、顧客も喜ぶだろう。
そういう意味でモチベーションを上げてくれる、読み物としてもおもしろい、もちろん細かい技術の話も興味がついない、素晴らしい、満点の書籍だ。
これと同じくらいドキドキする読み物としてCERNの『ノーベル賞を獲った男』カルロ・ルビアの話があった。が、素粒子加速器は巨大でも、データはコンピューターのディスプレイの中、素人にはいまいちよくわからない。こちらのステルス戦闘機のほうが、特にパイロットの「死にそうになった」「死亡した」話を含めて、強く引きつけるものがある。
ボスのケリーに命じられたとき「できません」ではなく、行脚して専門家を訪ね、その命令を実行してしまうリッチは凄いと思った。
世界のすべての人がこのような組織に属しているわけではなく、自分の才能と限界の中で仕事をしている。
自分の身の程を知りながらも、自分がやっていることが「スカンクが凄い戦闘機を作る」のと同じくらい凄いことだと思って仕事をすれば、顧客も喜ぶだろう。
そういう意味でモチベーションを上げてくれる、読み物としてもおもしろい、もちろん細かい技術の話も興味がついない、素晴らしい、満点の書籍だ。
2015年6月9日に日本でレビュー済み
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この様な本が出てくること自体驚きだが、スカンクワークスの現場責任者であるベン・リッチー始めテストパイロット、軍人が寄稿しており内容はまさに圧巻。まともなコンピュータも無い時代ブラックバードが飛んだことに驚くし、F-117がどう見ても空を飛ぶ飛行機に見えない空力的な問題をコンピュータで姿勢安定させ強引に飛ばす話などは溜息が出る。
その時代の持つ先端技術を集積して実際に機能する航空機としてまとめる能力と、それを集団として機能させるリーダーシップが何なのかを学ぶ上でこれ以上の書籍は無いのではと思った。
ベン・リッチー亡き後のスカンクワークスがどうなったのかは知るすべが無いが、F-22ラプターや次期主力戦闘機F-35がロッキードの開発であることを見ると相変わらず組織としては健在なのかと思う。
訳も素晴らしい。
エンジニアであれば必読の書であるが、既に絶版なので日本語で読みたいなら早く買うべし!
私も中古で買ったが、死ぬまで私の本棚から出て行くことのない1冊がまた増えた。
その時代の持つ先端技術を集積して実際に機能する航空機としてまとめる能力と、それを集団として機能させるリーダーシップが何なのかを学ぶ上でこれ以上の書籍は無いのではと思った。
ベン・リッチー亡き後のスカンクワークスがどうなったのかは知るすべが無いが、F-22ラプターや次期主力戦闘機F-35がロッキードの開発であることを見ると相変わらず組織としては健在なのかと思う。
訳も素晴らしい。
エンジニアであれば必読の書であるが、既に絶版なので日本語で読みたいなら早く買うべし!
私も中古で買ったが、死ぬまで私の本棚から出て行くことのない1冊がまた増えた。
2013年9月21日に日本でレビュー済み
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いまどきエンジニアリングで仕事をするなら、夢のひとつとして持っておいていいでしょう。
Dr.ゴールドラットの本でも触れられています。
プロジェクトを最短時間で完成させるために必要なことは、大体この本に書かれています。
社内規定と上司をを納得させるのはなかなか大変だけど。
ただし、エンジニアとプロジェクトマネージャー以外には実感が湧かないこと、また時代が進めば進むほどこういう例が少なくなっていくのが問題といえば問題です。
未来ははこういった自由と極限性能を求めるところから生まれる、と私は信じています。
Dr.ゴールドラットの本でも触れられています。
プロジェクトを最短時間で完成させるために必要なことは、大体この本に書かれています。
社内規定と上司をを納得させるのはなかなか大変だけど。
ただし、エンジニアとプロジェクトマネージャー以外には実感が湧かないこと、また時代が進めば進むほどこういう例が少なくなっていくのが問題といえば問題です。
未来ははこういった自由と極限性能を求めるところから生まれる、と私は信じています。
2013年4月8日に日本でレビュー済み
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スカンクワークス2代目責任者ベン・リッチ氏が引退する際に著した伝説的名著。
全16章+補章、全460頁の中に、F117A、U2、SR−71、シーシャドウの開発秘話や裏話の随所に、彼の師匠であり前任者のケリー・ジョンソンの逸話がここかしこに紹介され、最後まで興味が尽きない。
さらに産軍複合体の実態や官僚・政治の介入など、複雑かつ多彩な内容がモザイクのように記述されているのも素晴らしい。
本書は技術的な話のみならずメーカーや設計チームの有体、発注者である政府や軍の姿勢にも強く言及している点が他書とは大きく異なる。
よって本書は一般企業における組織の運営、そして管理者の育成に大変参考になりえると思う。また親企業と関連企業の関係について、著者が日本自動車産業を模範的組織として紹介している点も興味深い。
著者による謝辞の頁をめくると本書の最終頁となるが、たったの2行のみ記してある。本書の購入者だけが得られる感動がそこにあります。
全16章+補章、全460頁の中に、F117A、U2、SR−71、シーシャドウの開発秘話や裏話の随所に、彼の師匠であり前任者のケリー・ジョンソンの逸話がここかしこに紹介され、最後まで興味が尽きない。
さらに産軍複合体の実態や官僚・政治の介入など、複雑かつ多彩な内容がモザイクのように記述されているのも素晴らしい。
本書は技術的な話のみならずメーカーや設計チームの有体、発注者である政府や軍の姿勢にも強く言及している点が他書とは大きく異なる。
よって本書は一般企業における組織の運営、そして管理者の育成に大変参考になりえると思う。また親企業と関連企業の関係について、著者が日本自動車産業を模範的組織として紹介している点も興味深い。
著者による謝辞の頁をめくると本書の最終頁となるが、たったの2行のみ記してある。本書の購入者だけが得られる感動がそこにあります。
2010年2月8日に日本でレビュー済み
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この本の内容には以下の3つの切り口がある。
1.純粋な物づくり(しかも最先端航空機)のインサイドストーリー
2.パワーポリティクスの最前線といえる現場の(過去の)実態
3.前例なきプロジェクト推進における諸問題の存在と調整
これらの要素が絡み合いながら進んでいく物語は、大人の「仕事」というものの面白さや苦渋を見事に描いている。
ロッキード(現ロッキード・マーティン)といえば“死の商人”という企業側面は拭いきれないが、
本書で描かれているエンジニア達の純粋な技術追求と物づくりへの情熱は、人間として大いに共感できるはずだ。
とくに航空機をはじめとする先端機械や、革新的技術への興味がある者、あるいは開発・生産に携わる者にとっては、貴重な一冊だと思える。
また、スカンクワークスを模範にした先端技術開発組織は、様々な企業で少なからず生まれてきたが、そこでの成果を実現するには、
著者のベン・リッチ、その兄貴分で航空機業界のカリスマだったケリー・ジョンソンのような強烈なリーダーシップが不可欠であり、
その求心力と牽引力はどれだけの覚悟を決めて仕事に臨むかに関わっているという事も、本書は教えてくれる。
ちなみに以前、自分用に購入したが、友人に贈るためもう一冊購入したのを機にレビューを上げた。復刊が望まれる書籍である。
1.純粋な物づくり(しかも最先端航空機)のインサイドストーリー
2.パワーポリティクスの最前線といえる現場の(過去の)実態
3.前例なきプロジェクト推進における諸問題の存在と調整
これらの要素が絡み合いながら進んでいく物語は、大人の「仕事」というものの面白さや苦渋を見事に描いている。
ロッキード(現ロッキード・マーティン)といえば“死の商人”という企業側面は拭いきれないが、
本書で描かれているエンジニア達の純粋な技術追求と物づくりへの情熱は、人間として大いに共感できるはずだ。
とくに航空機をはじめとする先端機械や、革新的技術への興味がある者、あるいは開発・生産に携わる者にとっては、貴重な一冊だと思える。
また、スカンクワークスを模範にした先端技術開発組織は、様々な企業で少なからず生まれてきたが、そこでの成果を実現するには、
著者のベン・リッチ、その兄貴分で航空機業界のカリスマだったケリー・ジョンソンのような強烈なリーダーシップが不可欠であり、
その求心力と牽引力はどれだけの覚悟を決めて仕事に臨むかに関わっているという事も、本書は教えてくれる。
ちなみに以前、自分用に購入したが、友人に贈るためもう一冊購入したのを機にレビューを上げた。復刊が望まれる書籍である。
2017年7月15日に日本でレビュー済み
ロッキード・スカンクワ-クス初代責任者クラレンス・レオナルド・ケリー・ジョンソンと二代目責任者ベン・リッチが作った飛行機の話し。
物語はU-2の開発、運用、改造の話し、A-12(SR-71)の開発、運用、応用、退役の話し、液体水素燃料飛行機の開発、挫折の話し、F-117Aナイトホークの発案、開発、運用、応用の話し、ステルスを応用したミサイル、艦船、爆撃機の話しで構成されており、
謎に包まれたスカンクワークスが何をしていたのか詳細かつ赤裸々に書かれている。
私は特にSR-71の機体構造とマッハ3.3を生み出す推進システムの下りを感心しながら読みふけった。
またステルス機ハブ・ブルーを開発するに当たってはケリー・ジョンソンが大反対し空力技術者も揃って反対する騒動は理解出来た。
何しろ全く美しくない形状だったから、しかしそれらを押さえ込んで無理矢理作らせたベン・リッチは偉大だった。
最後の巻末で本の著者であるベン・リッチが既に故人であった事を知りとても残念に思った。
この本は技術者と技術者を目指す若者に是非読んで欲しい。
物語はU-2の開発、運用、改造の話し、A-12(SR-71)の開発、運用、応用、退役の話し、液体水素燃料飛行機の開発、挫折の話し、F-117Aナイトホークの発案、開発、運用、応用の話し、ステルスを応用したミサイル、艦船、爆撃機の話しで構成されており、
謎に包まれたスカンクワークスが何をしていたのか詳細かつ赤裸々に書かれている。
私は特にSR-71の機体構造とマッハ3.3を生み出す推進システムの下りを感心しながら読みふけった。
またステルス機ハブ・ブルーを開発するに当たってはケリー・ジョンソンが大反対し空力技術者も揃って反対する騒動は理解出来た。
何しろ全く美しくない形状だったから、しかしそれらを押さえ込んで無理矢理作らせたベン・リッチは偉大だった。
最後の巻末で本の著者であるベン・リッチが既に故人であった事を知りとても残念に思った。
この本は技術者と技術者を目指す若者に是非読んで欲しい。
2015年1月24日に日本でレビュー済み
当時この戦闘機にはわくわくしたし、
もしやUFO技術が・・・なんて想像もしたけど、
普通に現実的にわかりやすく、この戦闘機が試行錯誤し完成されるまでが描かれ、
冷戦時代の米ソ関係などいろいろためになりおもしろかった。
もしやUFO技術が・・・なんて想像もしたけど、
普通に現実的にわかりやすく、この戦闘機が試行錯誤し完成されるまでが描かれ、
冷戦時代の米ソ関係などいろいろためになりおもしろかった。