一人の弁護士を中心とした、短編集です。
小気味よい展開で、飽きがきません。
ですがその分、深みに欠けます。
批判的なようですが、でも、面白いです。
事件は一つとして同じものはないのですね。
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第一級殺人弁護 単行本 – 1999/7/1
中嶋 博行
(著)
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自白をした被疑者がなぜ無罪に。
法は人を救えない。若い弁護士の武器は、金と勇気だけだった。
社会犯罪に挑むリーガル・サスペンス作品集
●「不法在留」……スネークヘッドに送り込まれた中国人密航者の最後の要求。
●「措置入院」……精神医療をむしばむ最先端病院の犠牲者は。
●「鑑定証拠」……DNA鑑定技師は、エラーの陥穽に迷い込んだ。
●「民事暴力」……銀行の不良債権は、巧妙なからくりから生じていた。
●「犯罪被害」……異常殺人。救済されるべき被害者に、法は何ができるのか。
法は人を救えない。若い弁護士の武器は、金と勇気だけだった。
社会犯罪に挑むリーガル・サスペンス作品集
●「不法在留」……スネークヘッドに送り込まれた中国人密航者の最後の要求。
●「措置入院」……精神医療をむしばむ最先端病院の犠牲者は。
●「鑑定証拠」……DNA鑑定技師は、エラーの陥穽に迷い込んだ。
●「民事暴力」……銀行の不良債権は、巧妙なからくりから生じていた。
●「犯罪被害」……異常殺人。救済されるべき被害者に、法は何ができるのか。
- 本の長さ281ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1999/7/1
- ISBN-104062096366
- ISBN-13978-4062096362
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
自白をした被疑者がなぜ無罪に。法は人を救えないのか…。32歳の若手弁護士・京森英二が、金と勇気だけを武器に社会犯罪に挑むリーガル・サスペンス。
著者について
1955年生まれ。早稲田大学法学部卒。’85年に司法試験に合格し、現在、横浜で弁護士を開業している。’94年『検察捜査』で第40回江戸川乱歩賞を受賞、作家デビュー。’95年『違法弁護』、’98年『司法戦争』(いずれも書下ろし長編)を刊行し、日本のリーガル・サスペンスの旗手として注目される。本作は初の作品集である。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1999/7/1)
- 発売日 : 1999/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 281ページ
- ISBN-10 : 4062096366
- ISBN-13 : 978-4062096362
- Amazon 売れ筋ランキング: - 458,124位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 125,081位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミステリー→警察小説とはまり、ついにリーガルサスペンスデビューしました。
裁判関係は小難しそうで今まで手を出すのを戸惑ってました。
本書の題名からはかなり集中力のいる内容ではないかと思いましたが、意外や意外、ずいぶん楽しめました。
主人公は冴えない弁護士・京森英二。−−−最初、あまりの影の薄さに主人公と思っていませんでした。−−
毎回、刑事当番弁護(逮捕された被疑者へ無料相談するため、所轄の警察署に接見に行く。日当1万円の割の合わない仕事らしい。)の当番日に、弁護困難な症例とばかり出会ってしまう。
すごくやる気のない(・・・と思われた)主人公ですが、一度はまるとガンガン頑張って真実を追求する。
こちらもだんだんと京森の魅力にはまっていきます。最後には惚れてしまっています。
中嶋博行氏の他の作品もすでに購入済みで、読むのが楽しみです。
裁判関係は小難しそうで今まで手を出すのを戸惑ってました。
本書の題名からはかなり集中力のいる内容ではないかと思いましたが、意外や意外、ずいぶん楽しめました。
主人公は冴えない弁護士・京森英二。−−−最初、あまりの影の薄さに主人公と思っていませんでした。−−
毎回、刑事当番弁護(逮捕された被疑者へ無料相談するため、所轄の警察署に接見に行く。日当1万円の割の合わない仕事らしい。)の当番日に、弁護困難な症例とばかり出会ってしまう。
すごくやる気のない(・・・と思われた)主人公ですが、一度はまるとガンガン頑張って真実を追求する。
こちらもだんだんと京森の魅力にはまっていきます。最後には惚れてしまっています。
中嶋博行氏の他の作品もすでに購入済みで、読むのが楽しみです。
2004年11月30日に日本でレビュー済み
中嶋博行の作品は、確かにリーガル・サスペンスとして充分に面白いのですが、構成を変えれば本格ミステリとしても充分通用するプロットだと思うのに、何故かサスペンスの構成になっているんですよねぇ…。
何かもったいない気がしてしまいます。
正義の弁護士ともいえず、金儲けなど下心もある俗人なのに、何故か結果的に正義の味方っぽくなってしまう横浜の京森弁護士(男)の活躍を描いた短編集。
半分くらいが当番弁護士の日に厄介ごと的に巻き込まれる事件です。
当番弁護士という制度にいかに作者が日頃悩まされているかが伺えるようです。
何かもったいない気がしてしまいます。
正義の弁護士ともいえず、金儲けなど下心もある俗人なのに、何故か結果的に正義の味方っぽくなってしまう横浜の京森弁護士(男)の活躍を描いた短編集。
半分くらいが当番弁護士の日に厄介ごと的に巻き込まれる事件です。
当番弁護士という制度にいかに作者が日頃悩まされているかが伺えるようです。
2003年1月30日に日本でレビュー済み
弁護士の京森が主人公の短編集。世の中の悪が許せない正義感あふれる弁護士である一方手柄の値段(?)が気になる現実主義でどこか憎めない性格の持ち主。「リーガルサスペンス」という深刻かつ重い部類に属するものは敬遠してしまいがちな私でしたが、登場する人物が個性的であったり、ここそこにちりばめられたユーモアに読み進んでいくうちにどんどんはまってしまいました。
専門的な描写もとても良く書き上げられていて、テレビドラマに取り上げられたら良いのでは、と思いました。実際弁護士である先生自身のお話などもお伺いしたくなりました。アメリカのサスペンスものに引けを取らない作品なのでは!!
専門的な描写もとても良く書き上げられていて、テレビドラマに取り上げられたら良いのでは、と思いました。実際弁護士である先生自身のお話などもお伺いしたくなりました。アメリカのサスペンスものに引けを取らない作品なのでは!!
2009年4月7日に日本でレビュー済み
横浜で個人事務所を開業している京森英二弁護士が刑事事件を解決するリーガルサスペンスの短編集です。著者の中嶋氏にしては珍しく、男性弁護士が主人公です。
ユニークなのは、主人公京森氏のキャラクターです。弁護士というと、一般的に、やり手でそつがない人物像をイメージしますが、京森氏は全く別。美人だけれど知性や有能さとは無縁の秘書には軽んじられ、事務所のローンで首が回らない。しかも、刑事弁護は儲からないと算段しながら、いつも刑事当番弁護で割を食う仕事を押し付けられ、自分の要領の悪さを更改する。しかし、結局のところ、"要領のいい"人間を軽蔑して最後は損な道を自ら選ぶ気概もあったり。
そんな彼の扱った事件ファイルが5編、本作には収められています。一編は短いですがどれも中身が濃いです。一押しです。
●「不法在留」
京森が当番弁護をうまく断った不法在留の中国人が、裁判所に護送中に何者かに殺害される。その背後には、中国人の密航に関わる犯罪の黒い影があった…。
●「措置入院」
霧の濃い朝、ゴミ収集車の作業員が、精神科病院の脱走患者に鉄パイプで殺される。被告人の当番弁護士を引き受けた京森は、小ぎれいな病院で拷問めいた人体実験が行われていたことを調べ上げ、"誤想防衛"が成立し被告人が無罪であると主張しようとする。
●「鑑定証拠」
京森が当番弁護を引き受けた被告人は、DNA鑑定の証拠を検察から提出され、圧倒的に形勢不利に見えた。しかし、京森は、DNAの専門家に教えを請い、科学的な議論で鑑定結果を覆そうとする…。
●「民事暴力」
京森に依頼をしようとしていた銀行の支店長が殺された。容疑者扱いされ憤慨する京森だったが、その背後には、融資にまつわる銀行の不正のからくりが…。
●「犯罪被害」
京森のクライアントであった、"占有ゴロ"の被害者が加害者を殺害してしまった。その背後には複雑な人間関係と家族の問題があった…。
いちおしは、「鑑定証拠」です。ニュースや小説で知名度が近年ぐっとあがったDNA鑑定ですが、必ずしも絶対とは言い切れないことを、科学的な弁論で京森が論破するところは、爽快で興味深いです。
ユニークなのは、主人公京森氏のキャラクターです。弁護士というと、一般的に、やり手でそつがない人物像をイメージしますが、京森氏は全く別。美人だけれど知性や有能さとは無縁の秘書には軽んじられ、事務所のローンで首が回らない。しかも、刑事弁護は儲からないと算段しながら、いつも刑事当番弁護で割を食う仕事を押し付けられ、自分の要領の悪さを更改する。しかし、結局のところ、"要領のいい"人間を軽蔑して最後は損な道を自ら選ぶ気概もあったり。
そんな彼の扱った事件ファイルが5編、本作には収められています。一編は短いですがどれも中身が濃いです。一押しです。
●「不法在留」
京森が当番弁護をうまく断った不法在留の中国人が、裁判所に護送中に何者かに殺害される。その背後には、中国人の密航に関わる犯罪の黒い影があった…。
●「措置入院」
霧の濃い朝、ゴミ収集車の作業員が、精神科病院の脱走患者に鉄パイプで殺される。被告人の当番弁護士を引き受けた京森は、小ぎれいな病院で拷問めいた人体実験が行われていたことを調べ上げ、"誤想防衛"が成立し被告人が無罪であると主張しようとする。
●「鑑定証拠」
京森が当番弁護を引き受けた被告人は、DNA鑑定の証拠を検察から提出され、圧倒的に形勢不利に見えた。しかし、京森は、DNAの専門家に教えを請い、科学的な議論で鑑定結果を覆そうとする…。
●「民事暴力」
京森に依頼をしようとしていた銀行の支店長が殺された。容疑者扱いされ憤慨する京森だったが、その背後には、融資にまつわる銀行の不正のからくりが…。
●「犯罪被害」
京森のクライアントであった、"占有ゴロ"の被害者が加害者を殺害してしまった。その背後には複雑な人間関係と家族の問題があった…。
いちおしは、「鑑定証拠」です。ニュースや小説で知名度が近年ぐっとあがったDNA鑑定ですが、必ずしも絶対とは言い切れないことを、科学的な弁論で京森が論破するところは、爽快で興味深いです。
2005年5月27日に日本でレビュー済み
冴えない弁護士・京森英二が当番弁護士制度によって直面する事件に挑んで行く連作短篇集。
一応、『検察捜査』『違法弁護』『司法戦争』という「法曹三部作」を過去に読んだことがあるのだが、それらは「今の司法界が抱える問題点を抉り出す」という側面が強かったためか、やや、法曹界の対立関係だとかの説明がくどくなり過ぎた感があり、エンターテインメント性で劣る感があった。が、この作品は、リーガル・サスペンスの第一人者らしく法律関連の知識を十分に使いながらも、しっかりと「エンターテインメント性」を全面に出しており素直に楽しむことが出来た。
どちらかと言うと、やる気の無い弁護士である京森という主人公も魅力的だ。
法律の世界が舞台、というと小難しいイメージがあると思うが、全くそれを感じることなく楽しめる作品だと思う。
一応、『検察捜査』『違法弁護』『司法戦争』という「法曹三部作」を過去に読んだことがあるのだが、それらは「今の司法界が抱える問題点を抉り出す」という側面が強かったためか、やや、法曹界の対立関係だとかの説明がくどくなり過ぎた感があり、エンターテインメント性で劣る感があった。が、この作品は、リーガル・サスペンスの第一人者らしく法律関連の知識を十分に使いながらも、しっかりと「エンターテインメント性」を全面に出しており素直に楽しむことが出来た。
どちらかと言うと、やる気の無い弁護士である京森という主人公も魅力的だ。
法律の世界が舞台、というと小難しいイメージがあると思うが、全くそれを感じることなく楽しめる作品だと思う。
2005年8月21日に日本でレビュー済み
同年代(30代前半)で事務所を構える主人公・京森英二弁護士に魅入られたとでも言いましょうか。面白いっす。かなり。短編集で「うわすげーおもしろい」と思ったのってかなり珍しいかも。
時勢柄、法律絡みの話ってすごく興味があるんだけど、同じく興味のある「社会性のある話」が加わって、素材は満足。仕上げ方も、京森氏が変に正義ぶったりデキル弁護士だったりしない分、身近に感じてグー。どのお話も推理モノというよりもサスペンスモノという作りで、読者が京森氏よりも先に事実を知らされている事が多いんだけど、それを逆手に取るような展開が多い。なので、「あぁそうじゃないよ京森君」とか「そっち行っちゃ危ないよ」など、感情移入してしまうのですよ。
5編の中で一番良かったのが、「鑑定証拠」。畳みかける尋問シーンが、素晴らしかったです。
弁護士モノ・法廷モノというと海外モノが多いというイメージがあるけど、司法が身近にないから題材にしづらいという面もあったと思う。でも、ロースクールや陪審員制度の導入と言った司法制度改革が進む昨今、自信を持って人様に薦められる弁護士モノの作品だと思うです。
時勢柄、法律絡みの話ってすごく興味があるんだけど、同じく興味のある「社会性のある話」が加わって、素材は満足。仕上げ方も、京森氏が変に正義ぶったりデキル弁護士だったりしない分、身近に感じてグー。どのお話も推理モノというよりもサスペンスモノという作りで、読者が京森氏よりも先に事実を知らされている事が多いんだけど、それを逆手に取るような展開が多い。なので、「あぁそうじゃないよ京森君」とか「そっち行っちゃ危ないよ」など、感情移入してしまうのですよ。
5編の中で一番良かったのが、「鑑定証拠」。畳みかける尋問シーンが、素晴らしかったです。
弁護士モノ・法廷モノというと海外モノが多いというイメージがあるけど、司法が身近にないから題材にしづらいという面もあったと思う。でも、ロースクールや陪審員制度の導入と言った司法制度改革が進む昨今、自信を持って人様に薦められる弁護士モノの作品だと思うです。
2005年5月2日に日本でレビュー済み
法廷物、あるいは司法を扱った作品と言うのはあまりに現実離れしていてリアリティーを感じにくかったり、逆に生々しく描かれた権力争いや足の引っ張り合いといった舞台裏の人間関係で「お腹一杯」な印象を持ってしまいがちだと思います。また、法律に明るくない方には取っつきにくい内容であるということも少なくないでしょう。しかし、この作品で扱われるテーマはいつ新聞等で見聞きしても不思議ではないものばかりですし、事件の調査や法廷でのやりとり等現役の弁護士さんが書かれているだけあってまるで目の前で見ているのかと錯覚する程です。また必要以上にドロドロとした人間関係のない代わりに主人公、京森は「弁護士=エリート、金持ち」という印象と異なり、事務所の家賃の支払に頭を抱え、まるでその辺を歩いている普通のお兄ちゃんの様な印象です。この、リアルなやりとりと親しみやすい主人公のバランスが最高です。内容についても問題となる点等が会話の中でさりげなく説明されていて法律の予備知識がなくても充分に楽しめます。私は法学部の出身ですが在学中にこの作品を知り、学部の友人たちにも熱く勧めました(笑)