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宙返り(上) 単行本 – 1999/6/10

5.0 5つ星のうち5.0 2個の評価

ノーベル賞から5年、大江健三郎、小説復帰の大作。

いったん「神」と信者たちをコケにした、棄教者のリーダーが戻ってきた。脇腹に「聖痕」をきざんで。待ち受ける急進派は、「悔い改め」を社会にもとめる構想をたもち、祈り続けてきた女たちは、集団での昇天を意図する。教会は、再建されうるのか?

「世紀末の闇の深さ、希求する若い魂の激しさ。それをリアルに、明快に書くことをねがった」──作者

商品の説明

メディア掲載レビューほか

戦後日本に重なる 宙返り教祖の物語 正念場は「その後」
どういう気の迷いか、大江健三郎の『宙返り』を読んでしまった。以前の印象に比べると、随分読みやすくなっていて、思いがけず上下巻を一昼夜楽しんだ。

まず、狂言回しのガンで死にかけた大学教授が、若い男に恋をし、ホモにめざめるというサブ・ストーリーがおもしろい。相手の若い男は「宙返り」した教祖に近づいていき、一緒に老教授も恋の道行きで危険な教団にかかわっていく。老教授は"恋"以外は常識的な都会のインテリで、作者は彼によって作品内部に冷静な視野を導入する。こう書くといかにも図式的だが、作者の性的な言語感覚は、相変わらず生々しさを保っていて、図式的どころか、本当のテーマはこっちにあるのかと思うくらいである。

しかし、この作品の本当のテーマは、やはり「宙返り・その後」である。教祖は既に「宙返り」してしまっているのであって、残された信者も生き延びている教祖も、それぞれが自分で落とし前をつけねばならない。これは、無条件降伏で国ぐるみ「宙返り」した戦後の日本人が、懐に抱え込みながらなおざりにしてきたテーマでもある。

2発の原爆。空襲による無差別焼き討ち。進駐軍のガムやチョコレートのバラマキに象徴される豊かさの、見せびらかし。こうしたことへの怨念が、「貿易立国」「技術立国」といった挙国一致的目標にリアリティーを付与し、経済成長を達成させた、その怨念も高度経済成長と、その後の円高とバブル経済で雲散霧消した。

「宙返り・その後」の日本は、今エネルギーの収斂するポイントを失って立ち往生し、解体しつつある状況と言える。「第2の敗戦」などと言って、再び怨念のエンジンを起動しようとしても、それは無理である。

そういうベクトルではなく、言い換えれば今は衣食足りて礼節を知ろうとしている段階だと思う。それが見つからないために、麻原的なものに流れる人々が出ているのではなかろうか。

ガンで死にかけている老教授の恋の相手は、結局、宙返りした教祖と残された信者たちに落とし前をつけさせる役を演じるのだが、新しく生まれた教会がどのようなものとなるのか定かならぬまま物語は終わる。老教授は、教会の主催者となった恋人の直立したものを眺めてから、「ヤハリ、神ノ声ガ聞コエナクテハイケナイノカネ」と問いかけて死ぬ。

神の声は聞こえなくてもいいが、勃起さえすればいいというものでもない。「宙返り・その後」の日本は、いよいよ正念場だ。

(ジャーナリスト 野口 均)
(日経ビジネス2000/1/17号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
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日経ビジネス

内容(「MARC」データベースより)

かつて神と信者たちをコケにした棄教者のリーダーが戻ってきた。脇腹に「聖痕」を刻んで。待ち受ける急進派は「悔い改め」を社会に求める構想を保ち、祈り続けてきた女たちは集団での昇天を意図する。教会は再建されうるのか?

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (1999/6/10)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/6/10
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 454ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062097362
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062097369
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 2個の評価

著者について

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大江 健三郎
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1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、『万延元年のフット ボール』(谷崎潤一郎賞)、『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)、『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)、『新しい人よ眼ざめよ』(大佛次郎賞)な ど数多くの賞を受賞、94年にノーベル文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「伝える言葉」プラス (ISBN-13: 978-4022616708 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

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