20世紀終盤から21世紀初頭にかけての世相を様々なテーマで切り取った作品。自ら取材していないのでルポにはならないし、と言ってフィクションでもない、まさに週刊誌の連載記事。読み物作家ならこの手法で無限の作品が作れる。一つのネタにかこつけて、話題を広げていく手法。
このタイトルの通り、隣人が誰だか分からない都会、和歌山ヒ素カレー事件の舞台となった園部のような、隣人をよく知っているだろう郊外、どちらも他人と共存して生きる難しさを書いている。
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隣人 単行本 – 2001/2/2
重松 清
(著)
直木賞受賞後第1作
バスジャック、通り魔、てるくはのる、ニュータウン……ぼくたちの夢と狂気を追った異色のルポルタージュ作品、誕生!
貴様らに楽しい連休などさせるものか
ルポライターやノンフィクション作家の真似事をするつもりはない。できるとも思わない。ただ、読み物作家として、事件や状況に遅ればせながらの〈蛇足〉を付けてみたかった。そのための〈寄り道〉を、ときには〈無駄足〉の道行きを、読み物としか名付けようのないかたちで書き綴りたかった。――「まえがき」より
バスジャック、通り魔、てるくはのる、ニュータウン……ぼくたちの夢と狂気を追った異色のルポルタージュ作品、誕生!
貴様らに楽しい連休などさせるものか
ルポライターやノンフィクション作家の真似事をするつもりはない。できるとも思わない。ただ、読み物作家として、事件や状況に遅ればせながらの〈蛇足〉を付けてみたかった。そのための〈寄り道〉を、ときには〈無駄足〉の道行きを、読み物としか名付けようのないかたちで書き綴りたかった。――「まえがき」より
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2001/2/2
- 寸法13.7 x 2.2 x 19.6 cm
- ISBN-104062101408
- ISBN-13978-4062101400
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
バスジャック、通り魔、てるくはのる、ニュータウン…。ぼくたちの夢と狂気を追った異色のルポルタージュ。月刊総合誌『現代』に掲載された「世紀末の十二人の隣人」に大幅加筆したもの。
著者について
1963年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒。出版社勤務を経て著作活動に入る。’91年、『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年、『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。その後も、『さつき断景』、『リビング』など、家族に焦点を当てた話題作を次々と発表し、2001年、『ビタミンF』で直木賞を受賞する。また、作家活動のかたわら、週刊誌のアンカーマンとしても活躍し、世の中を独自の視点から見続けている。そんな問題意識が『隣人』に結実し、初のルポルタージュ作品となった。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2001/2/2)
- 発売日 : 2001/2/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4062101408
- ISBN-13 : 978-4062101400
- 寸法 : 13.7 x 2.2 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 980,681位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 186位受験・入試
- - 89,683位ビジネス・経済 (本)
- - 252,843位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1963(昭和38)年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年、『ビフォア・ラン』(ベストセラーズ、現在は幻冬舎文庫)でデビュー。
著書は他に、『ナイフ』(新潮文庫、坪田譲治文学賞)、『定年ゴジラ』(講談社文庫)、『エイジ』(新潮文庫、山本周五郎賞)、『ビタミンF』(新潮文庫、直木賞)、『隣人』(講談社、講談社文庫で改題『世紀末の隣人』)、『流星ワゴン』(講談社文庫)、『きよしこ』(新潮文庫)、『トワイライト』(文春文庫)、『疾走』(角川文庫)、『その日のまえに』(文春文庫)、『カシオペアの丘で』(講談社文庫)、『とんび』(角川書店)、『十字架』(講談社、吉川英治文学賞)など多数。
カスタマーレビュー
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5つのうち3.5つ
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トップレビュー
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2010年3月6日に日本でレビュー済み
『読み物作家としての、事件や状況に遅ばせながらの<蛇足>をつけてみたかった』と前書きにある通り、著者視点を置いている。直木賞受賞後第一作めの、ルポルタージュ。なるほどこんな探訪もあるんだなと読ませてもらった。
読んで思ったのは、犯罪には、『逃げ』が存在するということ。
てるくはのるの事件やヒ素カレー事件など、もう事件後何年経っているのだろうかと指折り数えてみても、記憶に新しく感じている。
それだけ、印象の強い事件だったということだが、長い年月が経ち、今だからこそ見えてくるものもあると思う。
そういった、『寄り道』の本。
目次で挙げられる12の項目から、通り魔や監禁といった事件の他に、出家や憧れの田舎暮らし、十七歳、など、およそ興味を引く項目が並べられる。出家に関しては個人的に興味があって、つい一気に読んでしまった勢いだった。
読んで思ったのは、犯罪には、『逃げ』が存在するということ。
てるくはのるの事件やヒ素カレー事件など、もう事件後何年経っているのだろうかと指折り数えてみても、記憶に新しく感じている。
それだけ、印象の強い事件だったということだが、長い年月が経ち、今だからこそ見えてくるものもあると思う。
そういった、『寄り道』の本。
目次で挙げられる12の項目から、通り魔や監禁といった事件の他に、出家や憧れの田舎暮らし、十七歳、など、およそ興味を引く項目が並べられる。出家に関しては個人的に興味があって、つい一気に読んでしまった勢いだった。
2001年4月4日に日本でレビュー済み
「ビタミンF」で直木賞を受賞した著者の受賞後第1作が本書で、殺人事件の加害者、リストラされたサラリーマン、事件の騒動に巻き込まれた人々……など、日本の「隣人」たちの語られなかった言葉を追ったルポルタージュ。事件などを追跡するものではなく、事件や状況に蛇足を付けて、家族をテーマに描いてきた著者なりのこだわりを見せています。本書では12のルポルタージュを書いていますが、事件追跡ではなく独自の視点を大事にした異色ノンフィクションでもあり、更に著者の作品の幅を広げたのが本書であるともいえるでしょう。
2004年9月17日に日本でレビュー済み
和歌山カレーヒ素殺人事件、池袋通り魔事件、文京区幼稚園児連れ去り殺人事件など事件を取材したものが多いが、脱サラ出家やソニーのロボット犬「AIBO」の話題などもある。
個々の作品のボリュームは多くはない。採り上げ方も様々。全編を通したテーマ性もあまりなく、その分、散漫な印象も受ける。いいようにとれば、現代社会を撫で切った、といったところだろうか。
個々の事象を真正面から捉えるというよりも、著者独特の視点(著者の小説のテーマに通じる部分が少なくない)で記述された部分が少なくなく、この独特の視点が読みどころ。
元新聞配達員の23歳青年による池袋通り魔殺人事件では、犯人の故郷、家庭環境、生き方は著者の最近の作である「疾走」の主人公像に重なる。
都会から田舎へIターンし農業就業した一家の心中事件を取り上げた章も印象的。家族を抱え、選んだ第二の人生にくじけ、どうすることもできなかったのであろうか?
個々の作品のボリュームは多くはない。採り上げ方も様々。全編を通したテーマ性もあまりなく、その分、散漫な印象も受ける。いいようにとれば、現代社会を撫で切った、といったところだろうか。
個々の事象を真正面から捉えるというよりも、著者独特の視点(著者の小説のテーマに通じる部分が少なくない)で記述された部分が少なくなく、この独特の視点が読みどころ。
元新聞配達員の23歳青年による池袋通り魔殺人事件では、犯人の故郷、家庭環境、生き方は著者の最近の作である「疾走」の主人公像に重なる。
都会から田舎へIターンし農業就業した一家の心中事件を取り上げた章も印象的。家族を抱え、選んだ第二の人生にくじけ、どうすることもできなかったのであろうか?