すごすぎます、この話。今敏監督の「少年バット」みたいな話の導入部。都市伝説というか、噂が実体化してしまったような、そういう話。
それがまわりを巻き込み、子供の残酷さを押しだし、それが大人になったときに襲い掛かってくる。
こういう力作をかける作者はあんまりいない。小野不由美とか、恩田陸とか、そういう系なんだけど、個人的には「屍鬼」レベルの面白さだった。
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少年トレチア 単行本 – 2002/2/1
津原 泰水
(著)
都市のまどろみは怪物を育む。
みんなが云う。
悪いのはトレチア。殺したのはトレチア。
<欲望と邪意を見つめる熱く暗い傑作>
「キジツダ」謎の少年が囁く死の呪文とは?
新興住宅地で次々おこる殺人事件。目撃された学帽と白い開襟シャツの少年は何者か。都市伝説を通して“恐るべき子供たち”の真実を捉え、未来を予見するホラー!
楳原崇(うめはらたかし)――うしろ暗い少年期を隠した学生。
佐久間七与(さくまななよ)――ニュータウンを撮り続ける女。
蠣崎旺児(かきざきおうじ)――夜ごとダウジングする漫画家。
新宅晟(しんたくあきら)――難病とともに生きる邪悪なこども。
みんなが云う。
悪いのはトレチア。殺したのはトレチア。
<欲望と邪意を見つめる熱く暗い傑作>
「キジツダ」謎の少年が囁く死の呪文とは?
新興住宅地で次々おこる殺人事件。目撃された学帽と白い開襟シャツの少年は何者か。都市伝説を通して“恐るべき子供たち”の真実を捉え、未来を予見するホラー!
楳原崇(うめはらたかし)――うしろ暗い少年期を隠した学生。
佐久間七与(さくまななよ)――ニュータウンを撮り続ける女。
蠣崎旺児(かきざきおうじ)――夜ごとダウジングする漫画家。
新宅晟(しんたくあきら)――難病とともに生きる邪悪なこども。
- 本の長さ422ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/2/1
- ISBN-104062108097
- ISBN-13978-4062108096
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
うしろ暗い少年期を隠した学生-楳原崇。ニュータウンを撮り続ける女-佐久間七与。夜ごとダウジングする漫画家-蛎崎旺児。難病とともに生きる邪悪なこども-新宅晟。欲望と邪意を見つめる熱く暗い傑作。
著者について
■津原泰水(つはらやすみ)
1964年、広島市生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒。1989年より津原やすみ名義で多数の少女小説を発表。人気を博すが1996年にジャンルから引退。翌年、現在の名義で怪奇幻想小説『妖都』で再デビューし絶賛される。以後『蘆屋家の崩壊』『ペニス』など濃密な世界を描く。監修作に『十二宮12幻想』『エロティシズム12幻想』『血の12幻想』がある。
1964年、広島市生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒。1989年より津原やすみ名義で多数の少女小説を発表。人気を博すが1996年にジャンルから引退。翌年、現在の名義で怪奇幻想小説『妖都』で再デビューし絶賛される。以後『蘆屋家の崩壊』『ペニス』など濃密な世界を描く。監修作に『十二宮12幻想』『エロティシズム12幻想』『血の12幻想』がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2002/2/1)
- 発売日 : 2002/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 422ページ
- ISBN-10 : 4062108097
- ISBN-13 : 978-4062108096
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,460,593位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 350,359位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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津原泰水(津原やすみ)
TSUHARA Yasumi
■1964年、広島市生まれ。広島県立広島観音高等学校、青山学院大学国際政治経済学部卒。
■1989年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。
■1997年より現名義にて幅広いジャンルを網羅する執筆活動をおこなう。
■2006年発表の自伝的青春小説『ブラバン』がベストセラーとなる。
■2012年、短篇集『11』が第2回Twitter文学賞国内部門1位となる。
■2014年、短篇「五色の舟」がS-Fマガジン “オールタイム・ベストSF” 国内短編部門1位に選出される。同年、マンガ化されていた同作(漫画:近藤ようこ)が第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月2日に日本でレビュー済み
今まで読んだ津原さんの作品は、怪奇や猟奇の雰囲気はあってもどこかユーモア含みで全体としては明るいものだったのですが、この作品はかなりダークです。殺戮、罰、破壊、世界の崩壊、みたいなイメージでしょうか。後味も、最後に救いらしきものはあるものの、必ずしもいいとは言えません。
始まりから3分の2(1章、2章)までは、子供たちの残酷さがむき出しになります。舞台は、通称、緋谷サテライトと呼ばれる高層住宅群と一戸建てエリアが一緒になった東京郊外の新興団地。合間に中央公園と呼ばれる緑が豊富で大きな池もあるエリアがあり、左右対称になった2つの大型ショッピングセンターも入っていて、団地の中だけでひとつの世界ができあがっています。どこか無機的で近未来的なそのイメージがまず圧倒的です。
一見住みやすそうで快適に見える団地の中で、動物が次々に殺されたり、行方不明になる人が続出します。登場人物たちも襲われて大怪我をしたり、連れ去られて体中を切りつけられて池に沈められたりするのですが、死体が見当たらないためか警察が大きく動いている様子はありません。このあたりの表現はかなりスプラッタできついので、苦手な人はダメかもしれません。
漠然とした不安が漂う団地の中で、子供たちの間にトレチアという少年の話が伝説のように伝わっていきます。いつも白い帽子をかぶっているトレチアがいろいろとおもしろいことを指図してくれて一緒に遊ぶ、彼がどこから来たのか、どこに住んでいるのか知らないけれど、誰もそんなことは気にしない。子供たちの残酷な遊びはだんだんエスカレートしていき・・・・、とこのあたりまでは、子供たちの犯罪、都市伝説がテーマなのかと思ってドキドキしながら読み進みました。これで完結していたら、完成度が高いと感じたかもしれません。
最後の3章からは話ががらっと変わってしまいます。もちろん前半に登場した子供たちも出てきますが、後半はどこか壊れた、それでもかろうじて理性と良識を保っている大人たちが中心になります。謎の魚マカラの伝説が出てきたりして、まるで別の小説のようです。前半の流れをまとめようという意図は感じられるのですが、起こる出来事があまりに唐突すぎたり、SFなのか幻想小説なのかわからない話が入ってきたりして、かなり抽象的になってきます。個人的には、ソドムとゴモラやバベルの塔の話を思い出しました。つまり悪しき行いと残虐、そして破壊、崩壊です。あれは狂った社会と人々に対する天の罰だったのか?
繋がりがスムーズでなく、話がうまく流れなかった印象があるので、冷たい新興団地の雰囲気や全体の世界観が圧倒的でひきつけられるだけに、もったいないと思いました。前後を別々の小説に仕立てた方がよかったのではと感じます。いつも斬新な津原作品ではありますが、ちょっと実験的すぎたかな。
始まりから3分の2(1章、2章)までは、子供たちの残酷さがむき出しになります。舞台は、通称、緋谷サテライトと呼ばれる高層住宅群と一戸建てエリアが一緒になった東京郊外の新興団地。合間に中央公園と呼ばれる緑が豊富で大きな池もあるエリアがあり、左右対称になった2つの大型ショッピングセンターも入っていて、団地の中だけでひとつの世界ができあがっています。どこか無機的で近未来的なそのイメージがまず圧倒的です。
一見住みやすそうで快適に見える団地の中で、動物が次々に殺されたり、行方不明になる人が続出します。登場人物たちも襲われて大怪我をしたり、連れ去られて体中を切りつけられて池に沈められたりするのですが、死体が見当たらないためか警察が大きく動いている様子はありません。このあたりの表現はかなりスプラッタできついので、苦手な人はダメかもしれません。
漠然とした不安が漂う団地の中で、子供たちの間にトレチアという少年の話が伝説のように伝わっていきます。いつも白い帽子をかぶっているトレチアがいろいろとおもしろいことを指図してくれて一緒に遊ぶ、彼がどこから来たのか、どこに住んでいるのか知らないけれど、誰もそんなことは気にしない。子供たちの残酷な遊びはだんだんエスカレートしていき・・・・、とこのあたりまでは、子供たちの犯罪、都市伝説がテーマなのかと思ってドキドキしながら読み進みました。これで完結していたら、完成度が高いと感じたかもしれません。
最後の3章からは話ががらっと変わってしまいます。もちろん前半に登場した子供たちも出てきますが、後半はどこか壊れた、それでもかろうじて理性と良識を保っている大人たちが中心になります。謎の魚マカラの伝説が出てきたりして、まるで別の小説のようです。前半の流れをまとめようという意図は感じられるのですが、起こる出来事があまりに唐突すぎたり、SFなのか幻想小説なのかわからない話が入ってきたりして、かなり抽象的になってきます。個人的には、ソドムとゴモラやバベルの塔の話を思い出しました。つまり悪しき行いと残虐、そして破壊、崩壊です。あれは狂った社会と人々に対する天の罰だったのか?
繋がりがスムーズでなく、話がうまく流れなかった印象があるので、冷たい新興団地の雰囲気や全体の世界観が圧倒的でひきつけられるだけに、もったいないと思いました。前後を別々の小説に仕立てた方がよかったのではと感じます。いつも斬新な津原作品ではありますが、ちょっと実験的すぎたかな。
2007年8月12日に日本でレビュー済み
殺人は起こりますが、殺人者の一応の所の顔は探偵役によってではなく作者から直接明らかにされるので決して推理小説ではないでしょう。
かといってホラーに分類するには人間の狂気が色濃く出すぎていますから、粗筋にあった『幻想小説』というのが作品の持つ空気とあいまってぴったりかもしれません。
さて、『一応の所の』といいますのも殺しの首謀者『トレチア』は1人ではありません。
実際に行動を起こしている『トレチア』の影を読者は追っていくわけですが、子供たちの記憶の中で1人歩きしてできた空想の産物である『トレチア』もまた畏敬すべき対象『トレチア』そのものです。
そこに純然たる区別は存在せず、したがって『トレチア』はかつてそれに怯えた者たちの心と飛び交う何の根拠もない噂の数だけ存在します。
『トレチア』は誰か、あるいは何なのか?
真実に至った登場人物は結局いないのですが、読者はこの謎に否応なしに翻弄されます。
物語全体としては非常に暗い話。
突発的な事件はあってもそれは一発逆転の契機とかでは全然なく、テンポはどちらかというと悪いです。
これらは『トレチア』の存在自体が赤黒くモヤモヤしたものである以上常に付きまとう弊害なんでしょうね。
が、『トレチア』という言葉に込められる人々の感情は、彼ら自身の心の闇を隠すため、直視するには過ぎていてかつ十分なぐらいに常に揺れ動いていました。
その機微を捉えることができるたび、この本はよりおもしろくなっていきます。
かといってホラーに分類するには人間の狂気が色濃く出すぎていますから、粗筋にあった『幻想小説』というのが作品の持つ空気とあいまってぴったりかもしれません。
さて、『一応の所の』といいますのも殺しの首謀者『トレチア』は1人ではありません。
実際に行動を起こしている『トレチア』の影を読者は追っていくわけですが、子供たちの記憶の中で1人歩きしてできた空想の産物である『トレチア』もまた畏敬すべき対象『トレチア』そのものです。
そこに純然たる区別は存在せず、したがって『トレチア』はかつてそれに怯えた者たちの心と飛び交う何の根拠もない噂の数だけ存在します。
『トレチア』は誰か、あるいは何なのか?
真実に至った登場人物は結局いないのですが、読者はこの謎に否応なしに翻弄されます。
物語全体としては非常に暗い話。
突発的な事件はあってもそれは一発逆転の契機とかでは全然なく、テンポはどちらかというと悪いです。
これらは『トレチア』の存在自体が赤黒くモヤモヤしたものである以上常に付きまとう弊害なんでしょうね。
が、『トレチア』という言葉に込められる人々の感情は、彼ら自身の心の闇を隠すため、直視するには過ぎていてかつ十分なぐらいに常に揺れ動いていました。
その機微を捉えることができるたび、この本はよりおもしろくなっていきます。
2002年11月22日に日本でレビュー済み
自分は、この本を、ホラーとしては読みませんでした。そして、初めの方から、本に引き込まれてしまいました。表現の仕方も、カセットテープから起こしたものであったり、ホームページの書き込みの部分があったりして、飽きずに読むことができ、独特な世界観や、この本の舞台である特殊な地域にも、ひきつけられました。
2005年3月13日に日本でレビュー済み
都市伝説的な雰囲気と子供たちの無垢な冷酷さの融合した部分はなかなか読める。しかし、大人たちが関わってくる中盤以後が全くいただけない。大人の鑑賞に耐える「小説」にしたかったのかもしれないが、子供たちのリアリティとは対照的に登場する大人にあまりにも現実感がない。
確かに佐久間七与にせよ蠣崎旺児にせよ、どうしてそういうキャラになったのかくどいくらい背景説明はされている。しかし、いかんせん、話の進行の都合上造形されたキャラでしかない。例えば、蠣崎旺児のダウジング趣味(これは実は結末と深い関係があるのだが)なんか、いかにもとってつけたようなものだ。書ける作者だけに、いかにもありそうな感じではあるのだが、「ありそうな」エピソードを積み重ねてみても、「小説」にはならんでしょう。そりゃあ自己満足だ。
「少年トレチア」に絞った物語にして、小賢しいメタフィジクス(ネタバレになるので具体的には書けないが)なんかやめておけばよかったのに、残念。
確かに佐久間七与にせよ蠣崎旺児にせよ、どうしてそういうキャラになったのかくどいくらい背景説明はされている。しかし、いかんせん、話の進行の都合上造形されたキャラでしかない。例えば、蠣崎旺児のダウジング趣味(これは実は結末と深い関係があるのだが)なんか、いかにもとってつけたようなものだ。書ける作者だけに、いかにもありそうな感じではあるのだが、「ありそうな」エピソードを積み重ねてみても、「小説」にはならんでしょう。そりゃあ自己満足だ。
「少年トレチア」に絞った物語にして、小賢しいメタフィジクス(ネタバレになるので具体的には書けないが)なんかやめておけばよかったのに、残念。