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チルドレン 単行本 – 2004/5/21

4.2 5つ星のうち4.2 1,546個の評価

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こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。

吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作!

短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。
伊坂幸太郎

2005年本屋大賞 入賞作

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『「本屋大賞」事務局(http://www.hontai.jp)』からノミネート作品のPOPが届きました!
POP王の作品を拡大する POP姫の作品を拡大する
(Copyright© Web本の雑誌 POP王 POP姫)


内容(「MARC」データベースより)

まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き…。こういう奇跡もあるんじゃないか? ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「5つの奇跡」の物語。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2004/5/21)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/5/21
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 294ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062124424
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062124423
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.6 x 2.3 x 19.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 1,546個の評価

著者について

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伊坂 幸太郎
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1971(昭和46)年千葉県生れ。

1995(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。

2002年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。2003年に発表した『重力ピエロ』は、ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ、一気に読者層を広げた。また『重力ピエロ』で、1970年代生れとしては、初の直木賞の候補となる。

2004年『チルドレン』、2005年『グラスホッパー』、2006年『死神の精度』が直木賞候補に。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年稀にみる資質の持ち主として注目を浴びている。

2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。

カスタマーレビュー

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1,546グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年5月19日に日本でレビュー済み
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伊坂さんの本は登場人物を好きになる。短編集
2024年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
減らず口をたたく傍迷惑な奴なんだけど、その場の空気をぱっと変える言動がただ者ではない陣内(じんない)。物騒なんだけど目が離せないこの男が登場する話を五つ、収めた連作短編集。

途中、胸が熱くなるシーンがいくつかあったんだけど、それがまるで不意打ちのようにやって来たんですね。「なんで俺、ここで涙ぐんでるんだろ」て、呆然としちゃいました。
なかでも、目の見えない永瀬(ながせ。とても魅力的なキャラクターです)、彼の恋人の優子(ゆうこ)、そして、陣内の三人による「レトリーバー」の次のシーンは凄く良かった。思わず、目頭が熱くなりました。長くなるけど、ここに引かせていただきます。文中で〝わたし〟とあるのは、優子さんです。

《けれど、わたしはやっぱり割り切ることができなかった。だから、永瀬が過剰な同情を受けるたびに、憂鬱(ゆううつ)になった。
 ところがその日の場合は少し違った。
 陣内君がいたからだ。
 ちょうどやってきたばかりの彼は、わたしたちの会話の断片的なところが耳に入ったらしく、「おい、永瀬、その手に持っている五千円、どうしたんだよ」と口を尖(とが)らせた。
「どこかのおばさんがくれたんだよ」
「ふざけんなよ」陣内君が声を上げた。
「いいんだ。悪気はないんだよ」婦人を庇(かば)う口ぶりだった。てっきりわたしも、陣内君は、「善意を押しつけてきた婦人」に怒っているのだと思った。ところが陣内君は、「よくねえよ」とつづけてから、さらにこう言った。
「何で、おまえだけなんだよ!」
「え」はじめは冗談を言っているのかと思った。
「何でって」永瀬は口ごもった。
「何で、おまえがもらえて、俺がもらえないんだよ」
「たぶん、僕が盲導犬を連れているから、じゃないかな。目も見えないし」
「は?」陣内君が唖然(あぜん)とした顔になった。心底、訝(いぶか)しそうだった。「そんなの、関係ねえだろ」
「え」とわたしはもう一度間の抜けた声を出してしまった。
「関係ないっつうの。ずるいじゃねえか」と喚(わめ)いた。
 わたしは、その時の陣内君が発した、「関係ない」の響きが、とても心地よかったのを今でも憶(おぼ)えている。永瀬も顔をほころばせていた。
「おい、何笑ってるんだよ。自分だけ金を手に入れたからって、いい気になるなよ」
「なってないって」
「俺は納得しないぞ。何で、おまえだけ五千円なんだよ。おかしいだろ?」
「おかしいかもしれない」
「どうして、おまえだけ特別扱いなんだよ」陣内君はそう言ってから、あたりをきょろきょろ見回し、「そのあばさんどこに行ったんだ?」と必死に探しはじめた。
 わたしは、彼の真剣な姿がどうにも可笑(おか)しくて、唇を噛(か)んで笑いを堪(こら)えていた。》講談社文庫 p.176~177

このシーンの中、陣内が「関係ないっつうの。」てところで、たまらず、胸が熱くなってました。
ちなみにこのシーンのこと、《読んだ時は雨雲の隙間から青空が〝パァ~〟と見えたような気持ちになりました。(中略)今でも時々頭の中によみがえる会話です。》として、『本の雑誌 2023年12月号』の「読者アンケート この本のこの会話文が好きだ!」で挙げてらした方がいました。※当該号の p.35

おしまいに、収録された五つの短篇の初出を記しておきます。
 バンク   『小説現代 2002年4月号』
 チルドレン 『小説現代 2002年11月号』
 レトリーバー『小説現代 2003年9月号』
 チルドレンⅡ『小説現代 2003年12月号』
 イン    『小説現代 2004年3月号』
2024年1月28日に日本でレビュー済み
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伊坂幸太郎の代表作シリーズのひとつ。
これは文句なくおもろい。
主役がかっこ悪いのにかっこいい。
過去の伊坂幸太郎のキャラはホントに魅力的。
早くシリーズ最新作が読みたい。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2024年1月7日に日本でレビュー済み
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最近本を読んでなかったので久々に小説を買ってみましたが、内容的にさくさく進むのでで少し空いた時間にも読めます。
そのくらいの印象の本。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年9月22日に日本でレビュー済み
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伊坂の作品も引き込まれて少なからず読んできたけれど、いつも少しだけかたさというか、作者のりきみというか、想いの入れ込みというか、ほんの少し違和感のようなものを感じてきたけれど、この作品は素敵だと思う。心の底では持ちたいと夢想する邪推のない暖かさが自然に表現されていて、ほっこり楽しくなる。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年7月2日に日本でレビュー済み
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登場人物たちのキャラが明瞭。悪人がいないように感じるストーリーから構成された短編群。読後の気分は悪くない。登場人物の中にその真似をしたくなるようなキャラクターの持ち主がいるかもしれないが、真似はしないほうがいいし、できない。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伊坂さんの本はどれも面白い
独特の雰囲気があって
悪い人?変わった人が実はいいやつで
仮面をかぶったいいやつ偽善者
(自分自身を含めて)グサッとくる
そして
なぜか
読んでもすぐ内容を忘れてしまう(個人的な問題かもしれないが)
そこもいい
いつ読んでも新鮮な気持ちで
楽しめる
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年10月9日に日本でレビュー済み
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 家庭裁判所調査官が主役の連作短編小説との前知識で読み始めたところ、最初の1話目が銀行強盗に巻き込まれる学生らの話で、えっどういうこと?と思いながら2話目を読むと、1話目は、家裁調査官となった陣内の学生時代に遭遇した話であったことが分かります。
 この1話目と2話目はミステリー的要素が強く、期待していたものとちょっと違っていたのですが、その後も調査官となって活躍する陣内と、それから十数年前の時代を描いた短編とを交互に配列することで、全体として一つの長編小説としても成立しているという、伊坂幸太郎らしい巧い構成となっています。
 特に秀悦だったのは4話目の「チルドレンⅡ」。
 陣内の裁判所での同僚で、夫婦関係調整調停事件に携わる武藤の視点で描かれるこのお話では、陣内が携わる少年事件の少年が見事なリンクをみせ、感動的な終着点をみせます。
 そして、このお話で居酒屋で酔っ払いに「犯罪を犯したダメな少年を更生させるなんて奇跡みたいなもんだ」と絡まれた際の陣内の次の言葉が圧巻です。
 「俺たちの仕事はそれだ。俺たちは奇跡を起こすんだ」

 少年犯罪は再犯率が高い。
 一見見た目普通で頭のいい不良少年は、大人の前では殊勝な態度をみせ、専門的知見を持つ家庭裁判所調査官でさえ信用させてしまう。
 したがって「家裁の調査官がサラリーマンよりも多く経験できるのは裏切られること」だという。
 それでも「奇跡を起こすんだ」との陣内の言葉は圧巻です。
 
 個人的に好きなのはラストを飾る「イン」。
 陣内が家庭裁判所調査官になる前の時代を描くこのパートでは、陣内と偶然知り合いとなった盲目の青年永瀬の視点で語られるのですが、彼が付き合う女性優子が永瀬の目となって周りの状況を説明する場面がとても良いのです。彼女の説明で読んでいるこちら側にも穏やかな休日の情景が目に浮かび、なんとも心地が良いです。
 なにげない時間の経過なのに、すごく特別な時間が流れている、「この特別な時間ができるだけ長く続けばいいな」と思う永瀬の気持ちはよくわかります。
 最初はどうかと思った本書ですが、全体としてみると心地よい作品でしたので、つぎは「サブマリン」を読んでみたいと思います。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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