ニュースを見て「かわいそう」と思うが、上から目線で他人事と思う自分がいる。被害者や
その家族へのインタビューを見ると「野次馬的だなぁ」と思うが、それを見る自分が一番の
野次馬であったりする。そういうことを痛感させられる本だ。 法曹界の人の「裁判は被害者
の為でなく、社会秩序維持の為のもの」などとよく言うヨと思う。犯罪者も被害者も同様に
権利は守られるべきだし、関係諸氏の努力で一応形は出来たようだが、運用はまだまだでは
ないか。痴漢犯と被害者の立場が瞬時に入れ替わるなどという事もあり、単純な図式で割り
きれぬ面もあるが、理不尽な被害で一生苦しむ人が無い社会になって欲しいと切実に思う。
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犯罪被害者の声が聞こえますか 単行本 – 2006/4/21
東 大作
(著)
絶望から立ち上がった被害者が国を動かした
妻を殺害された弁護士。ガソリンをかけられ火をつけられたOL。補償もなければ、裁判にも出られない。被害者の権利確立を目指た必死の運動は、国家を動かした。
妻を殺害された弁護士。ガソリンをかけられ火をつけられたOL。補償もなければ、裁判にも出られない。被害者の権利確立を目指た必死の運動は、国家を動かした。
- 本の長さ331ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/4/21
- ISBN-104062125919
- ISBN-13978-4062125918
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商品の説明
出版社からのコメント
絶望から立ち上がった被害者が国を動かした妻を殺害された弁護士。ガソリンをかけられ火をつけられたOL。補償もなければ、裁判にも出られない。被害者の権利確立を目指た必死の運動は、国家を動かした。
著者について
1969年東京生まれ。1993年から2004年まで、NHK報道番組ディレクター。国際紛争や社会問題などをテーマに、NHKスペシャルやクローズアップ現代等の企画・制作に携わる。企画・制作した主なNHKスペシャルに「我々はなぜ戦争をしたのか~ベトナム戦争・敵との対話~」(1998年 放送文化基金金賞)、「縛られない老後~ある介護病棟の挑戦~」(1999年)、「犯罪被害者はなぜ救われないのか」(2000年)、「憎しみの連鎖はどこまで続くか~パレスチナとイスラエル~」(2002年)、「核危機回避への苦闘~韓国・米朝のはざまで~」(2003年)、「イラク復興 国連の苦闘」(2004年 世界国連記者協会・銀賞)など。2004年7月にNHKを退社。現在カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の大学院で、国際政治を専攻。
著書に『我々はなぜ戦争をしたのか-米国・ベトナム敵との対話』(岩波書店)、『縛らぬ介護』(葦書房)、論文に「ソウルで実感した韓国外交の底力」(『世界』所収)がある。
著書に『我々はなぜ戦争をしたのか-米国・ベトナム敵との対話』(岩波書店)、『縛らぬ介護』(葦書房)、論文に「ソウルで実感した韓国外交の底力」(『世界』所収)がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/4/21)
- 発売日 : 2006/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 331ページ
- ISBN-10 : 4062125919
- ISBN-13 : 978-4062125918
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,227,722位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
知り合いの東さんの本をはじめて読みました。まさに、この取材をしている最中に時間をともにしていたと思うと驚きです。
たくさんの犯罪の本を読んできましたが、確かに被害者、あるいは被害者の家族は取り残されている。そして、全く、反論の余地はない。マスコミがとびつくようなキャッチを与えられるといくら反論しようが、残念ながら何が真実なのか分からなくなってくる。民事訴訟を起こすと、お金が目的なのかという側面がどうしても付きまとう。この本で、犯罪被害者の本当の叫びを知る事ができた。
現在、犯罪被害者に対する法的整備が整いつつある。間違いなく、その動きの支えとなったのが、東さんだと分かった。最後の、官僚を動かす努力はなかなか読み応えがある。立場は変わっても、東さんの今後の世界的な活躍を日本から祈っています。
近年の凶悪犯罪はまさに理由なき犯罪が多い。そうだからこそ、犯罪被害者になぜ被害にあったのかを知る権利は大きくなるものと思う。もし、自分が同じ立場になったら...そんなことも考えさせられる本であった。
たくさんの犯罪の本を読んできましたが、確かに被害者、あるいは被害者の家族は取り残されている。そして、全く、反論の余地はない。マスコミがとびつくようなキャッチを与えられるといくら反論しようが、残念ながら何が真実なのか分からなくなってくる。民事訴訟を起こすと、お金が目的なのかという側面がどうしても付きまとう。この本で、犯罪被害者の本当の叫びを知る事ができた。
現在、犯罪被害者に対する法的整備が整いつつある。間違いなく、その動きの支えとなったのが、東さんだと分かった。最後の、官僚を動かす努力はなかなか読み応えがある。立場は変わっても、東さんの今後の世界的な活躍を日本から祈っています。
近年の凶悪犯罪はまさに理由なき犯罪が多い。そうだからこそ、犯罪被害者になぜ被害にあったのかを知る権利は大きくなるものと思う。もし、自分が同じ立場になったら...そんなことも考えさせられる本であった。
2011年3月10日に日本でレビュー済み
この11年間、検察審査会の強制起訴制度、被害者参加制度、凶悪事件の時効廃止、裁判員制度と犯罪被害者・遺族の権利拡充運動が国民の人権を危うくする方向で進んでいったような気がします。被告人や加害者の権利が守られているのにはそれなりの根拠(冤罪の防止や更生)があるわけであって、マスコミはそれをきちんと報道すべきだったと思います。そうしていれば、犯罪被害者・遺族、市民も厳罰一辺倒になることはなかったはずです。
著者の東氏は犯罪被害者・遺族に感情移入するあまり、被害者参加制度に反対する人々を不当に描いているように感じました。
厳罰化が叫ばれた11年前と比べるといまは犯罪が非常に少ない社会になっています。マスコミは犯罪被害者・遺族運動報道がどういう結果をもたらしたのか検証してほしいです。
著者の東氏は犯罪被害者・遺族に感情移入するあまり、被害者参加制度に反対する人々を不当に描いているように感じました。
厳罰化が叫ばれた11年前と比べるといまは犯罪が非常に少ない社会になっています。マスコミは犯罪被害者・遺族運動報道がどういう結果をもたらしたのか検証してほしいです。
2006年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そう思いながら読む。
ここに記録された犯罪被害者の姿は「たまたま僕ではなかった」が、「僕であっても何らの不思議はない」姿である。そして被害者は一人ではないことを思い知る。もし僕が犯罪被害に会ったら、どれだけの数の人たちがその被害をまた被ることだろう。家族、仕事仲間、友人。。。
犯罪者に国が支出する金額と、犯罪被害者に支出する金額の差に眩暈がする。数字は読んで確かめていただきたい。驚愕するほどの差だ。一体、この国は何を守ろうとしていたのか?と。ぶっちゃけ僕らの血税とやらは何に使われているのだろう?それを思えば、その使途すらも僕らの被害なのだ。いつか、どこかで、きっと酷い目に会う僕らの犯罪被害の先物買いである。そんなもん誰が買いたい!?
様々な怒りが交錯する一冊。これを綴った方々に心からのお礼を。どこかで、きっと酷い目に会うかもしれない僕らを代表してくれたことに。
ここに記録された犯罪被害者の姿は「たまたま僕ではなかった」が、「僕であっても何らの不思議はない」姿である。そして被害者は一人ではないことを思い知る。もし僕が犯罪被害に会ったら、どれだけの数の人たちがその被害をまた被ることだろう。家族、仕事仲間、友人。。。
犯罪者に国が支出する金額と、犯罪被害者に支出する金額の差に眩暈がする。数字は読んで確かめていただきたい。驚愕するほどの差だ。一体、この国は何を守ろうとしていたのか?と。ぶっちゃけ僕らの血税とやらは何に使われているのだろう?それを思えば、その使途すらも僕らの被害なのだ。いつか、どこかで、きっと酷い目に会う僕らの犯罪被害の先物買いである。そんなもん誰が買いたい!?
様々な怒りが交錯する一冊。これを綴った方々に心からのお礼を。どこかで、きっと酷い目に会うかもしれない僕らを代表してくれたことに。
2006年7月21日に日本でレビュー済み
生きていれば何があるか、分からない。言うのは簡単だ。
もし被害者になった時、その後、何の権利も持たない
地獄のような生活が続くことまでは考えたことがなかった。
マスコミで取り上げられる凶悪事件。
この本を読む前、それらの事件をふと思い出すことはあったが、
被害者という立場なので、当然法律や地域に守られていると勝手に思っていた。
それが、想像とは正反対。
肉親を突然奪われた家族は、病院から多額の救急医療費を請求され、
働くことができないのに、生活保護も受けられない。
裁判では証拠品のひとつなのだ。
何の落ち度もない被害者が、二次被害に遭う姿を初めて知り、
過酷な現実に驚いた。
事実を淡々と述べている文章が、かえって犯罪被害者の気持ちを
鮮明に映し出し、とても考えさせられる良質の書だった。
まるで映画のように物語は進んでゆき、人間の良心に訴えられる。
こんなふうに法律や習慣を地道に変えた人たちがいるからこそ、
私たちが、今の生活を享受できることに、感謝したい。
もし被害者になった時、その後、何の権利も持たない
地獄のような生活が続くことまでは考えたことがなかった。
マスコミで取り上げられる凶悪事件。
この本を読む前、それらの事件をふと思い出すことはあったが、
被害者という立場なので、当然法律や地域に守られていると勝手に思っていた。
それが、想像とは正反対。
肉親を突然奪われた家族は、病院から多額の救急医療費を請求され、
働くことができないのに、生活保護も受けられない。
裁判では証拠品のひとつなのだ。
何の落ち度もない被害者が、二次被害に遭う姿を初めて知り、
過酷な現実に驚いた。
事実を淡々と述べている文章が、かえって犯罪被害者の気持ちを
鮮明に映し出し、とても考えさせられる良質の書だった。
まるで映画のように物語は進んでゆき、人間の良心に訴えられる。
こんなふうに法律や習慣を地道に変えた人たちがいるからこそ、
私たちが、今の生活を享受できることに、感謝したい。
2008年8月18日に日本でレビュー済み
著者はNHKのディレクターとして、犯罪被害者の人たちの実態や「全国犯罪被害者の会」の活動を取材したその内容をもとに本書を記している。
(1)犯罪被害者が置かれた状況
本書では、まず、何も悪いことをしたわけでもない普通の人がある日、犯罪にまきこまれたとたんどれだけの苦難に直面し人生がメチャクチャになってしまうかを、ある女性の体験をもとに記述している。そして、受けた傷の痛みや後遺症の苦しみだけでなく、病院への治療費支払いや生活保護認定など行政の支援体制が整っていないこと、犯人が出所してきて再び被害にあうかも知れないのに犯罪者の人権保護のため出所情報や居住地情報は教えてもらえないことなど、制度面が極めて不十分であることを記述している。
また、犯罪被害者は刑事裁判でも蚊帳の外に置かれたままであり、裁判に参加することはもちろん、情報提供さえ受けられない実態についても記述されている。
(2)法改正への運動
2000年1月に設立された「犯罪被害者の会」が地道な活動を継続することで、裁判への参加など犯罪被害者の権利を保障した法改正にまでこぎつける経過を記述している。
自ら被害にあった人や、家族を殺されたり重度障害にされた大変な立場の人たちが、自らのためにではなく、今後被害に遭う人たちのために運動を続けたわけであり、本当にすごいことだと思う。
多くのことを教えられる有益な本であり、ぜひ読むべき本だと思います。
(1)犯罪被害者が置かれた状況
本書では、まず、何も悪いことをしたわけでもない普通の人がある日、犯罪にまきこまれたとたんどれだけの苦難に直面し人生がメチャクチャになってしまうかを、ある女性の体験をもとに記述している。そして、受けた傷の痛みや後遺症の苦しみだけでなく、病院への治療費支払いや生活保護認定など行政の支援体制が整っていないこと、犯人が出所してきて再び被害にあうかも知れないのに犯罪者の人権保護のため出所情報や居住地情報は教えてもらえないことなど、制度面が極めて不十分であることを記述している。
また、犯罪被害者は刑事裁判でも蚊帳の外に置かれたままであり、裁判に参加することはもちろん、情報提供さえ受けられない実態についても記述されている。
(2)法改正への運動
2000年1月に設立された「犯罪被害者の会」が地道な活動を継続することで、裁判への参加など犯罪被害者の権利を保障した法改正にまでこぎつける経過を記述している。
自ら被害にあった人や、家族を殺されたり重度障害にされた大変な立場の人たちが、自らのためにではなく、今後被害に遭う人たちのために運動を続けたわけであり、本当にすごいことだと思う。
多くのことを教えられる有益な本であり、ぜひ読むべき本だと思います。
2006年8月1日に日本でレビュー済み
この本の長所
1、とりあえずのゴールである犯罪被害者等(家族や遺族も含むから)基本法成立に向けてまでの権利獲得の過程が描かれているところ。
2、犯罪被害者になってはじめてわかるであろう日本社会の矛盾点が指摘できているところ(特に、生活保護、加害者の親に民事責任を負わせられないこと(判例では11、2歳ぐらいで民法712条の責任能力を認めるので、その年齢を超えると加害者の親が709条の要件に当てはまらない限り責任を負わない)、などにハッとさせられた)。
3、訴訟参加、付帯私訴についてドイツやフランスの事例についての情報が満載で、なおかつ日本でも導入可能であることを説得的に叙述できているところ。
この本の問題点
被害者の権利獲得に反対する立場の者に厳しいところ。おおむね本書の立場に同意するが、ある程度やむを得ないところもある(実務家は以前学習した理論に固執するだろうし、加害者やその弁護士も加害者を守る言動をするのはやむを得ないから)。この本だけに立ち止まらず、他の被害者関連の本、他の刑事司法関係のトピックの本(特に冤罪と死刑廃止論は必須)、刑法・刑事訴訟法・刑事政策の教科書にあたって考察を深めて欲しい。
結論―長所星5つ。問題点は星を減らすほどでもなし。ゆえに星5つ。
1、とりあえずのゴールである犯罪被害者等(家族や遺族も含むから)基本法成立に向けてまでの権利獲得の過程が描かれているところ。
2、犯罪被害者になってはじめてわかるであろう日本社会の矛盾点が指摘できているところ(特に、生活保護、加害者の親に民事責任を負わせられないこと(判例では11、2歳ぐらいで民法712条の責任能力を認めるので、その年齢を超えると加害者の親が709条の要件に当てはまらない限り責任を負わない)、などにハッとさせられた)。
3、訴訟参加、付帯私訴についてドイツやフランスの事例についての情報が満載で、なおかつ日本でも導入可能であることを説得的に叙述できているところ。
この本の問題点
被害者の権利獲得に反対する立場の者に厳しいところ。おおむね本書の立場に同意するが、ある程度やむを得ないところもある(実務家は以前学習した理論に固執するだろうし、加害者やその弁護士も加害者を守る言動をするのはやむを得ないから)。この本だけに立ち止まらず、他の被害者関連の本、他の刑事司法関係のトピックの本(特に冤罪と死刑廃止論は必須)、刑法・刑事訴訟法・刑事政策の教科書にあたって考察を深めて欲しい。
結論―長所星5つ。問題点は星を減らすほどでもなし。ゆえに星5つ。
2006年6月2日に日本でレビュー済み
一般論として何人死んだ、何件の事件が起きたと語ることは誰にでもできる。それは自身が当事者ではないからだ、鬼子母神ではないかが一人の被害であってもその被害者、家族からすればそれが総てで一生その一件と向かい合わざるを得ない。
そして今までの日本では、犯罪補償も加害者に思いの丈をぶつける機会もほとんどなく、いざその立場に立たされたときになって愕然とするしかなかった。その絶望の淵からせめて「あすのために」と同じ悲惨な想いを味あわせたくないと運動を始め、最初は5人からやがて政府をも動かすものと結実する過程を描いている。
描いているとこう文章にするとあっさり終わってしまうが、1人1人がどのような被害にあい、どのような苦境に立たされているかはまさに一般化できない個別具体的な読むものを沈鬱と義憤の思いに駆り立てざるをえない物語…。
ただ、こうした感情は感情として深いところで受け止めた上でもって、冷静に改善策を実効性のあるものとして調査し、粘り強く提案し続けるという姿勢があったればこそ成果を勝ち得た(犯罪被害者附帯私訴、公訴手続参加、そして少なくとも加害者と同程度の国による犯罪被害者補償として具体化するのはこれからとしても)ということこそ学ばなければいけないことなのだろうと思う。
そして今までの日本では、犯罪補償も加害者に思いの丈をぶつける機会もほとんどなく、いざその立場に立たされたときになって愕然とするしかなかった。その絶望の淵からせめて「あすのために」と同じ悲惨な想いを味あわせたくないと運動を始め、最初は5人からやがて政府をも動かすものと結実する過程を描いている。
描いているとこう文章にするとあっさり終わってしまうが、1人1人がどのような被害にあい、どのような苦境に立たされているかはまさに一般化できない個別具体的な読むものを沈鬱と義憤の思いに駆り立てざるをえない物語…。
ただ、こうした感情は感情として深いところで受け止めた上でもって、冷静に改善策を実効性のあるものとして調査し、粘り強く提案し続けるという姿勢があったればこそ成果を勝ち得た(犯罪被害者附帯私訴、公訴手続参加、そして少なくとも加害者と同程度の国による犯罪被害者補償として具体化するのはこれからとしても)ということこそ学ばなければいけないことなのだろうと思う。