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真実真正日記 単行本 – 2006/11/3
町田 康
(著)
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世界にあふれる「真実」を疑え!
ストーリー、つまり嘘、を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる。嘘と真実は次第に混沌としてゆき……。
ストーリー、つまり嘘、を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる。嘘と真実は次第に混沌としてゆき……。
- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/11/3
- ISBN-104062135639
- ISBN-13978-4062135634
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/11/3)
- 発売日 : 2006/11/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 262ページ
- ISBN-10 : 4062135639
- ISBN-13 : 978-4062135634
- Amazon 売れ筋ランキング: - 955,173位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 27,089位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、 Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り 子」で川端康成文学賞を受賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 あなたにあえてよかった―テースト・オブ・苦虫〈8〉 (ISBN-13: 978-4120041235 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙も含め お気に入り。
2012年1月9日に日本でレビュー済み
本書巻末に長薗安浩氏による「町田康の真実と真正」という〈誤読〉による読解が付されている。いまさら私が何を言っても始まらない気がするのだけれども、レヴューしてみようと思う。
長薗氏も引用している箇所なのだけれども、要約してしまうと、
寒くなると日本酒が飲みたくなるが自分でお燗をつけて飲むのはいかにも侘しいので近所に新しくできた蕎麦屋に出掛けて行った。
という事実、そのウヨキョクセツをこれでもかというくらい丁寧に描写している場面があるのだが、私は、こういう場面が好きだ。すべてを引用するとなると、長すぎるので、ところどころ省略しながら引用しよう。
ウイスキーのオンザロックなど言うものは元来陽気だ。(略)/テネシーから来た優しい大男が上機嫌で踊りを踊っているみたいなそんな雰囲気がある。/それに比べて清酒の燗の陰気なことときたらたまらない。(略)/ノルウェーから来た哲学者が山小屋で自由律俳句を書いているような暗さ。(略)/雪国から来た私小説作家がベランダでカスタネットの練習をしているような悲しさ。(略)/ワイオミングから来た社会学者が凍結した湖で輪投げをしているような寂しさ。(略)
どうだろうか? 私なんかは、どういうわけか、「ワイオミング」という音の響きに噴き出してしまったものだが。実は私は話し下手で、ことのテンマツを要領よく説明することが極端に苦手だ。正確に説明しようと心がけるあまり、些細なことを詳細に伝えるばかりで、ものごとの全体を伝えることができず、そんなことは、どうでもいいんだよ! と突っ込まれることがしばしばだ。どうやら、あきれられているらしい。
そんなわけで、「お燗」の描写をした日記の筆記者に親近感を覚えたのだが、しかし、だから、どうした? と聞かれると、言葉につまってしまう。こう答えるほかないだろう。――ただ、それだけが言いたかったのだ、と。
長薗氏も引用している箇所なのだけれども、要約してしまうと、
寒くなると日本酒が飲みたくなるが自分でお燗をつけて飲むのはいかにも侘しいので近所に新しくできた蕎麦屋に出掛けて行った。
という事実、そのウヨキョクセツをこれでもかというくらい丁寧に描写している場面があるのだが、私は、こういう場面が好きだ。すべてを引用するとなると、長すぎるので、ところどころ省略しながら引用しよう。
ウイスキーのオンザロックなど言うものは元来陽気だ。(略)/テネシーから来た優しい大男が上機嫌で踊りを踊っているみたいなそんな雰囲気がある。/それに比べて清酒の燗の陰気なことときたらたまらない。(略)/ノルウェーから来た哲学者が山小屋で自由律俳句を書いているような暗さ。(略)/雪国から来た私小説作家がベランダでカスタネットの練習をしているような悲しさ。(略)/ワイオミングから来た社会学者が凍結した湖で輪投げをしているような寂しさ。(略)
どうだろうか? 私なんかは、どういうわけか、「ワイオミング」という音の響きに噴き出してしまったものだが。実は私は話し下手で、ことのテンマツを要領よく説明することが極端に苦手だ。正確に説明しようと心がけるあまり、些細なことを詳細に伝えるばかりで、ものごとの全体を伝えることができず、そんなことは、どうでもいいんだよ! と突っ込まれることがしばしばだ。どうやら、あきれられているらしい。
そんなわけで、「お燗」の描写をした日記の筆記者に親近感を覚えたのだが、しかし、だから、どうした? と聞かれると、言葉につまってしまう。こう答えるほかないだろう。――ただ、それだけが言いたかったのだ、と。
2011年5月16日に日本でレビュー済み
町田康くらい、虚と実を徹底的に究明する作家は珍しい(と思う)。
そんな彼が、嘘をつくのに疲れて、徹底的に本当しか書かない日記を書いた。
それが「真実真正日記」だ。
バンド「犬とチャーハンのすきま」結成、いつまで経っても終わらない小説・・・など相変わらずのダメッぷりが堪能できる。
まぁ、御託はこの辺にして。
単純に作品として楽しめたかどうかで言うと・・・、星三つが妥当だろうか。
後半から面白くなってきたのに、前半は結構退屈な感じがした。
そんな彼が、嘘をつくのに疲れて、徹底的に本当しか書かない日記を書いた。
それが「真実真正日記」だ。
バンド「犬とチャーハンのすきま」結成、いつまで経っても終わらない小説・・・など相変わらずのダメッぷりが堪能できる。
まぁ、御託はこの辺にして。
単純に作品として楽しめたかどうかで言うと・・・、星三つが妥当だろうか。
後半から面白くなってきたのに、前半は結構退屈な感じがした。
2006年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルや紹介文から想像して、世の中の欺瞞をバッサバッサと切り捨ててゆく社会的な内容かと思っていたが、さにあらず、いつもの不条理な町田ワールド、町田節全開でした。「告白」で垣間見せた、人の心や世の中の真実をあぶりだす純文学性は見事に雲散霧消していて、町田氏のむちゃくちゃさが好きなぼくとしては、いい意味で裏切られたと言えます。笑いももちろん散りばめられていて、活字ではめったに笑うことのない人も何度か噴き出してしまうでしょう。何でここまで馬鹿馬鹿しい物語や言葉を思いつけるのか、町田氏の才能には毎度感心させられます。作品の不条理さや笑い、という点においてぼくの中では筒井康隆氏を越えました。「告白」のような衝撃がなかったという点で星ひとつ引かせてもらいましたが、逆に言えば町田節が好きな人なら安心して「買い!」と言える一冊だと思います。
2014年11月14日に日本でレビュー済み
とにかく文章として出てくるあらゆる物事がアホくさくバカらしく、実にエンターテイメントである。笑える小説を読みたい人におすすめな本。冷静に読んでみると単純な作品なのかもしれないが、そういうあっけらかんな感性を保持して、しかも披露する、というところにこの作家の才能と言えるものがあるように思える。主人公は作家でバンドも副業にやっていて、主人公も周りの人もその作品も、さらに社会状況もむちゃらくちゃらでデタラメだらけで面白い。
最後は一種の夢オチみたいな終わり方だが、これで嘘が二重になったとすると全然夢オチじゃないのかもしれない。
最後は一種の夢オチみたいな終わり方だが、これで嘘が二重になったとすると全然夢オチじゃないのかもしれない。
2007年1月7日に日本でレビュー済み
この馬鹿馬鹿しさ、中身のなさ、どうでもよさがたまらなく好きでっす!!
何気ないことを回りくどく回りくどく長ったらしく表現し、
それによって笑いを誘う。
「活字で笑わせる」ということに関しては天才的なセンスのある人。
たとえば・・・
Tシャツ → ティーシャツ
阪神タイガース → 阪神タイガー
ご馳走になる → 馳走になる みたいに
通常なら英語表記する所をカタカナにしたり、
ほんのちょっと言葉を省略するだけで異様におかしい!
これが私のツボに絶妙にヒットするんですよね〜。
しかも今回は作家である「僕」の日記の中に、
現在、「僕」が手がけている小説「悦楽のムラート」のストーリーも書き記されている。
「僕」が考えて書いているはずなのに、
あたかも小説が一人歩きしているように、
「僕」の望まぬ展開に転がっていく小説・・・。
その展開のめちゃくちゃさにも大いに笑わせていただきました
最後のとんでもないオチにも一本取られた。
気持ちのよい裏切り。
よくこんな馬鹿馬鹿しいこと次から次へと浮かぶものだ。
テリブルテリブル。
何気ないことを回りくどく回りくどく長ったらしく表現し、
それによって笑いを誘う。
「活字で笑わせる」ということに関しては天才的なセンスのある人。
たとえば・・・
Tシャツ → ティーシャツ
阪神タイガース → 阪神タイガー
ご馳走になる → 馳走になる みたいに
通常なら英語表記する所をカタカナにしたり、
ほんのちょっと言葉を省略するだけで異様におかしい!
これが私のツボに絶妙にヒットするんですよね〜。
しかも今回は作家である「僕」の日記の中に、
現在、「僕」が手がけている小説「悦楽のムラート」のストーリーも書き記されている。
「僕」が考えて書いているはずなのに、
あたかも小説が一人歩きしているように、
「僕」の望まぬ展開に転がっていく小説・・・。
その展開のめちゃくちゃさにも大いに笑わせていただきました
最後のとんでもないオチにも一本取られた。
気持ちのよい裏切り。
よくこんな馬鹿馬鹿しいこと次から次へと浮かぶものだ。
テリブルテリブル。
2011年1月15日に日本でレビュー済み
帯に、というかこのサイトのあらすじのとこもやけど、「我と我が嘘に疲れ果てたマイナー小説家のささやかな休暇としての日記」って書いてあったから、テーストオブ苦虫(同著者のエッセイ.嘘ばっか書いてあって面白い)で嘘つきって言われて本間のこと書いてんかなと思ったら、違うんです.エッセイじゃなくて小説やったんですね.「我と我が嘘に疲れ果てたマイナー小説家」っていうのは町田康さんじゃ無かった.ていうかそらそうですよね.町田さんマイナーちゃうし.めちゃおもしろかったです.けど、「紛らわしいねん!」と思いました.あと表紙が怖いって高校の友達に言われましたが、朝起きて枕元にあったらかなりびっくりします.でも読んでみたら良いんちゃうかな.
2012年12月19日に日本でレビュー済み
「僕」は小説家だ。
「少しく疲れた。我と我が嘘に疲れ果てた。たまには本当のことを書きたいと思った」
というわけでこの真実真正日記と名づけられた日記が書かれ、シンプルな文体で書き出される本書ではあるのだけれど、この日記のなかで展開する「僕」が執筆中の小説「悦楽のムラート」のハチャメチャぶりが良い。
さすらいのガンマンが放浪するうちあり得ない状況になっていくのだけれど、「宿屋めぐり」に通じるところがあるかも。
「僕」が趣味で組んでいるバンド「犬とチャーハンのすきま」の成功しそうで思うようにいかない展開も町田康好きにはおなじみ。
その後「犬とチャーハンのすきま」というタイトルのCDを町田康自身が発表しました。
そのジャケ写真に写る女性を見ながら、ああこの人が本書に出てくる「辺多子さん」なのか?などと思いつつ読むとまた愉し。
「告白」「宿屋めぐり」のような物語を求めると肩透かしだけれど、それでもやはり本書は町田康だと実感。
「少しく疲れた。我と我が嘘に疲れ果てた。たまには本当のことを書きたいと思った」
というわけでこの真実真正日記と名づけられた日記が書かれ、シンプルな文体で書き出される本書ではあるのだけれど、この日記のなかで展開する「僕」が執筆中の小説「悦楽のムラート」のハチャメチャぶりが良い。
さすらいのガンマンが放浪するうちあり得ない状況になっていくのだけれど、「宿屋めぐり」に通じるところがあるかも。
「僕」が趣味で組んでいるバンド「犬とチャーハンのすきま」の成功しそうで思うようにいかない展開も町田康好きにはおなじみ。
その後「犬とチャーハンのすきま」というタイトルのCDを町田康自身が発表しました。
そのジャケ写真に写る女性を見ながら、ああこの人が本書に出てくる「辺多子さん」なのか?などと思いつつ読むとまた愉し。
「告白」「宿屋めぐり」のような物語を求めると肩透かしだけれど、それでもやはり本書は町田康だと実感。