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旅のあとさき ナポレオンの見た夢 単行本(ソフトカバー) – 2008/4/25
福田 和也
(著)
知的興奮! 読書の喜び、ここにあり! 一冊で、教養学部20年分! ナポレオンの足跡を追いながら、紀行文学に留まらず、著者ならではの読んで面白い教養がこれでもかこれでもかと溢れ出す渾身の書。
- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/4/25
- ISBN-104062143291
- ISBN-13978-4062143295
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2008/4/25)
- 発売日 : 2008/4/25
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 326ページ
- ISBN-10 : 4062143291
- ISBN-13 : 978-4062143295
- Amazon 売れ筋ランキング: - 721,552位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 314位フランス史
- - 1,931位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
著者について
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1960(昭和35)年東京生まれ。文芸評論家。慶應義塾大学環境情報学部教授。慶應義塾大学文学部仏文科卒。同大学院修士課程修了。1993年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、2002年『地ひらく』で山本七平賞受賞。著書に『日本の近代(上・下)』『昭和天皇』など多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の出版社のコルシカ島ガイドにはいまだロクなものがない。ロンプラのコルシカ島も邦訳がない。この本の趣旨はコルシカガイドではないし、一行は3日しかコルシカには滞在しないが、描写が実に具体的で役に立つ。3年前に最初にコルシカに行った時に持っていき、文中に出てくるカルヴィのレストラン、エミールに献上してしまったので(写真まで載せたのに講談社は献本しなかったようだ)、このほど古本で購入。アジャクシオで泊まったのが、ル・マキであったことを確認して、さすがだなあと改めて感心しました。やはり元手がかかっている。
2017年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
保守派の論客、文芸評論家、思想史研究家で
グルメとしても有名な、福田和也氏が
ナポレオンの足跡を辿った紀行文。
これを読んで、彼が慶応の仏文科の出身で
あることを知りました。ナルホド。フランス語が
堪能な訳だ。
啓蒙思想の行き着く所が、フランス革命で
あり、その申し子がナポレオンであるので、
興味を抱くのは良く分かる。
本書は、雑誌にちょっと箔をつけたい『現代』
編集部と、ナポレオンの縁の地を訪ねて見た
かった著者の共同企画ような作品です
ナポレオンの話ばかりのでは読んで貰えないのを
知悉する作者は、ナポレオンの下ネタとか、
ルソーの庶子の話を混ぜて、話を柔らかくする
だけでなく、半分はご当地グルメの話にして
連載を乗り切っているようです
ですから、どなたでも読めますし、ちょっと古く
なっていますが、旅行のガイドブックのようにも
使えるでしょう。
教養学部10年分という帯が付いていますが、
紙幅に限りがあるので、編集者相手に話して
いることの1/10位しか文章になっていない
のではないかな?と思います。逆に、そこを
チラ見せすることで、幻惑している部分も
あるかな?と感じます
単行本化する段階で、写真は外して、料理の
話を端折って、連載時に意識的に縮めた部分を
元に戻すべきで無かったかな?と思います
グルメとしても有名な、福田和也氏が
ナポレオンの足跡を辿った紀行文。
これを読んで、彼が慶応の仏文科の出身で
あることを知りました。ナルホド。フランス語が
堪能な訳だ。
啓蒙思想の行き着く所が、フランス革命で
あり、その申し子がナポレオンであるので、
興味を抱くのは良く分かる。
本書は、雑誌にちょっと箔をつけたい『現代』
編集部と、ナポレオンの縁の地を訪ねて見た
かった著者の共同企画ような作品です
ナポレオンの話ばかりのでは読んで貰えないのを
知悉する作者は、ナポレオンの下ネタとか、
ルソーの庶子の話を混ぜて、話を柔らかくする
だけでなく、半分はご当地グルメの話にして
連載を乗り切っているようです
ですから、どなたでも読めますし、ちょっと古く
なっていますが、旅行のガイドブックのようにも
使えるでしょう。
教養学部10年分という帯が付いていますが、
紙幅に限りがあるので、編集者相手に話して
いることの1/10位しか文章になっていない
のではないかな?と思います。逆に、そこを
チラ見せすることで、幻惑している部分も
あるかな?と感じます
単行本化する段階で、写真は外して、料理の
話を端折って、連載時に意識的に縮めた部分を
元に戻すべきで無かったかな?と思います
2011年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なんて贅沢な旅なんだろうと羨ましくなってしまった。
「ナポレオンの見た夢」と副題があるように、ナポレオンとその周囲を中心に旅はテンポ良く進む。旅を彩るのは豪奢なレストラン・ホテルの煌びやかな料理とワインだ。
谷崎潤一郎や池波正太郎など、食にうるさい文筆家は数多いが、福田和也さんは食の愉しさを表現させたら抜群に上手い。しかも道中では、土地にちなんだ歴史上の人物のエピソードなどこれでもかとふんだんに挿入して、出し惜しみが無い。
旅行記のひとつの目的が、読者を旅に誘うことだとしたら間違いなく本書は目的を達成したと言える。
インゲンが、とてつもなく旨い。野菜そのものも美味しいのだが、出汁のコンソメの切れがよく、噛むごとに、インゲンの甘い香りとコンソメの芳香が膨らむ。
ナイフを入れると、ヒレ肉のような手応えを感じる。やや大きめに切って、口にほおばると、厚い実が口の中で解れていく、その優美な感触、舌触りに、陶然となってしまう。
リーデルのグラスに、黄金色の液体が流れこんでくる。幸福の訪れを知らせる扉をノックするように、堅い音が響いている。わざとのように素っ気なく、なんのギミックも要りませんから、とでも云うように試飲のグラスをさしだした。
旨い、このうえもなく甘い酒。その甘やかさの中心に軽く、しかし、消えることのない、薄荷のような、一筋の辛みがたなびいている。
(中略)
何という、甘美さだろう。
その余韻のなかで、テラスの外を眺めると、永い陽がようやく沈みかけていた。
たったひとつのレストランだ。たったひとつのレストランを訪れただけで、これだけの感情が迸る。なんて人生を楽しむ術に暁通した人なんだろう、と思う。
「ナポレオンの見た夢」と副題があるように、ナポレオンとその周囲を中心に旅はテンポ良く進む。旅を彩るのは豪奢なレストラン・ホテルの煌びやかな料理とワインだ。
谷崎潤一郎や池波正太郎など、食にうるさい文筆家は数多いが、福田和也さんは食の愉しさを表現させたら抜群に上手い。しかも道中では、土地にちなんだ歴史上の人物のエピソードなどこれでもかとふんだんに挿入して、出し惜しみが無い。
旅行記のひとつの目的が、読者を旅に誘うことだとしたら間違いなく本書は目的を達成したと言える。
インゲンが、とてつもなく旨い。野菜そのものも美味しいのだが、出汁のコンソメの切れがよく、噛むごとに、インゲンの甘い香りとコンソメの芳香が膨らむ。
ナイフを入れると、ヒレ肉のような手応えを感じる。やや大きめに切って、口にほおばると、厚い実が口の中で解れていく、その優美な感触、舌触りに、陶然となってしまう。
リーデルのグラスに、黄金色の液体が流れこんでくる。幸福の訪れを知らせる扉をノックするように、堅い音が響いている。わざとのように素っ気なく、なんのギミックも要りませんから、とでも云うように試飲のグラスをさしだした。
旨い、このうえもなく甘い酒。その甘やかさの中心に軽く、しかし、消えることのない、薄荷のような、一筋の辛みがたなびいている。
(中略)
何という、甘美さだろう。
その余韻のなかで、テラスの外を眺めると、永い陽がようやく沈みかけていた。
たったひとつのレストランだ。たったひとつのレストランを訪れただけで、これだけの感情が迸る。なんて人生を楽しむ術に暁通した人なんだろう、と思う。
2008年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
気鋭の評論家 福田和也氏と講談社の社員およびスタッフ数名との経費無限大の大名旅行記。
著者は、昭和史や皇室問題などに対しての保守派の論客という印象が強い。しかし、文芸評論家としての著者の源流は、近代のフランス文学にある事は意外と知られていない。若かりしころ、フランス留学時代に触れた、さまざまな体験を、ナポレオンをテーマに、今度は、四十半ばになった自分が追体験しようという旅行記でもある。いい意味で、福田氏の持っている「文学青年」的なロマンチスズムが、ややもすると嫌味タップリな文章をギリギリのところで救っている。
本書が連載されたのが、オヤジ系週刊誌の最右翼「週刊現代」である。ゴシップ好きの読者層と、本書との大きな乖離も、この度の単行本化によって、解決されたと言えよう。
著者は、昭和史や皇室問題などに対しての保守派の論客という印象が強い。しかし、文芸評論家としての著者の源流は、近代のフランス文学にある事は意外と知られていない。若かりしころ、フランス留学時代に触れた、さまざまな体験を、ナポレオンをテーマに、今度は、四十半ばになった自分が追体験しようという旅行記でもある。いい意味で、福田氏の持っている「文学青年」的なロマンチスズムが、ややもすると嫌味タップリな文章をギリギリのところで救っている。
本書が連載されたのが、オヤジ系週刊誌の最右翼「週刊現代」である。ゴシップ好きの読者層と、本書との大きな乖離も、この度の単行本化によって、解決されたと言えよう。
2016年6月2日に日本でレビュー済み
コメントは特にないと書きましたが、改めて見たらCD2枚付属とあります。CDは付いていませんでしたし、何のCDかわかりませんがどうなっているのでしょう。
2009年1月29日に日本でレビュー済み
帯のキャッチコピーは「一冊で教養学部10年分!」いいえて妙というか、盛り沢山の内容のはずなのに今一つ印象の薄いところはまさに大学の講義(10年分)です。
ただ漫然とナポレオンの足跡を辿るだけではなく、著者ならではの博覧強記を織り交ぜたゴージャスな紀行本を作る・・・その意気込みや良しですし、無内容な紀行本が粗製乱造される現況に俺が喝を入れてやるという思いで書かれたのでしょうが、どうも肩肘張りすぎて読んでる方も肩が凝る。歴史の評価に耐えてきた大作家たちの紀行は、同じく該博な知識に支えられていてもそれが実に自然で、身構えることなくスッと入っていけるのですが、この本の場合は「異様に博識なガイドが所構わず解説を始めてしまうツアー」に参加したような疲れを感じるんですな。自意識過剰なオタクが自慢の知識を開陳して悦に入る姿を連想する・・・とはちょっと言い過ぎですが。
ナポレオンが主題の紀行でありながら肝腎のナポレオンに関する部分はあっさりしすぎて教科書的な記述の域を出ない感があり、美食紀行の部分が目立ちすぎるのも全体の印象が散漫になっている原因でしょうか。いっそグルメの方をメインにしてしまうか、ナポレオンと美食とそれぞれをテーマに二冊に分けてもっと深く掘り下げたほうが良かったかもしれません。
ただ漫然とナポレオンの足跡を辿るだけではなく、著者ならではの博覧強記を織り交ぜたゴージャスな紀行本を作る・・・その意気込みや良しですし、無内容な紀行本が粗製乱造される現況に俺が喝を入れてやるという思いで書かれたのでしょうが、どうも肩肘張りすぎて読んでる方も肩が凝る。歴史の評価に耐えてきた大作家たちの紀行は、同じく該博な知識に支えられていてもそれが実に自然で、身構えることなくスッと入っていけるのですが、この本の場合は「異様に博識なガイドが所構わず解説を始めてしまうツアー」に参加したような疲れを感じるんですな。自意識過剰なオタクが自慢の知識を開陳して悦に入る姿を連想する・・・とはちょっと言い過ぎですが。
ナポレオンが主題の紀行でありながら肝腎のナポレオンに関する部分はあっさりしすぎて教科書的な記述の域を出ない感があり、美食紀行の部分が目立ちすぎるのも全体の印象が散漫になっている原因でしょうか。いっそグルメの方をメインにしてしまうか、ナポレオンと美食とそれぞれをテーマに二冊に分けてもっと深く掘り下げたほうが良かったかもしれません。
2010年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
評論家福田和也氏による、ナポレオンゆかりの地をめぐるフランス紀行。
生地コルシカを出発点に、南仏、ブルゴーニュ、パリ等、フランス革命をはさんでの生い立ちと活躍をたどる。
フランスの大英雄、ナポレオンは外様もいいとこのコルシカ育ち(だって生まれたときはまだフランス領ですらなかった)。
「ナポレオン」というテーマを持って眺める土地土地・・・・地中海の強烈な風土と歴史の攻防に彩られたコルシカ、親元から離れて超孤独な少年時代を過ごした士官学校、そして武勲を挙げた場所など、ただ何も知らずに訪れるよりも2倍、3倍面白いであろう。
でもナポレオンだけではなく、それとは別に「ヨーロッパ近代史」「フランスを訪れた日本人」「ワイン、グルメ」など、ほかにもサブテーマがあり、福田氏の旅日記はさぞや忙しくすごいスピードで埋まっていったのであろう。
自分的には実際たずねたことのある場所もあり(南仏、パリ)、また幕末〜戦前に渡欧した日本人のことを読むのが好きなので(一橋慶喜から金子光晴まで)、面白いことこの上ない本でした。
自分はフルコースディナーにワインまでこなすと必ず翌日胃もたれするので、福田氏の食べっぷりには到底かないませんが、ワインの勉強は少ししてみたいなーと思いました。
続編が楽しみ!
写真が少ないのが残念。
生地コルシカを出発点に、南仏、ブルゴーニュ、パリ等、フランス革命をはさんでの生い立ちと活躍をたどる。
フランスの大英雄、ナポレオンは外様もいいとこのコルシカ育ち(だって生まれたときはまだフランス領ですらなかった)。
「ナポレオン」というテーマを持って眺める土地土地・・・・地中海の強烈な風土と歴史の攻防に彩られたコルシカ、親元から離れて超孤独な少年時代を過ごした士官学校、そして武勲を挙げた場所など、ただ何も知らずに訪れるよりも2倍、3倍面白いであろう。
でもナポレオンだけではなく、それとは別に「ヨーロッパ近代史」「フランスを訪れた日本人」「ワイン、グルメ」など、ほかにもサブテーマがあり、福田氏の旅日記はさぞや忙しくすごいスピードで埋まっていったのであろう。
自分的には実際たずねたことのある場所もあり(南仏、パリ)、また幕末〜戦前に渡欧した日本人のことを読むのが好きなので(一橋慶喜から金子光晴まで)、面白いことこの上ない本でした。
自分はフルコースディナーにワインまでこなすと必ず翌日胃もたれするので、福田氏の食べっぷりには到底かないませんが、ワインの勉強は少ししてみたいなーと思いました。
続編が楽しみ!
写真が少ないのが残念。
2008年5月19日に日本でレビュー済み
福田和也の、ナポレオンをテーマにしたフランス紀行文が出版される、とアマゾンから予告メールが届いて以来、ずーっと心待ちにしていた。
というのも、名著「悪女の美食術」の巻末に書かれた、フランスと香港の美食旅日記が抜群に面白く、また、すでに廃刊になってしまった男性誌「Straight,」に数年前に掲載された「とんかつ食べ歩き紀行」も抱腹絶倒の内容だったので、それに類似したようなものを書いてくれないかなあ、と思い続けていたためでもある。
たしか、これも名著「悪の読書術」「贅沢な読書」のなかで、日本の、旅行ガイドブックの質の低さ、内容の貧困さに言及し、また、旅行の際には移動の暇つぶしに読む本ではなく、その土地にちなんだ文学作品を読んだ方が全然楽しい、と主張していたが、まさにその通り、フランスに行く機会のある方は、ぜひ旅のお供に持参してほしい一冊である。
ナポレオンについての記述は、けっして初心者向けの易しい内容ではないので、フランス革命前後についての詳しい知識のない方が、この本一冊で安易に概要を押さえようとするのは無理だろう。
しかし、ナポレオンのみならず、ネルソン総督の常識外れの人柄や、そんな彼を重用した英国気質の考察、ジョセフィーヌの生い立ちなど、縦横無尽に展開する福田理論を味わうことは、まさに「贅沢な読書」といえる。
また、所々にさりげなく記述された、福田氏の美意識というか、価値観をうかがい知ることができるのも、個人的には嬉しいところ。
「観光地に星をつけてしまうのだから、フランス人は凄い。日本の観光ガイドで、京都の三つ星は修学院離宮だけ、などとやったら、どれほどの憤激がまきおこるだろう。」なんて一文を読むと、京都旅行の際にはぜひ修学院離宮をこの目で確かめねば、なんて思ってしまう。
もちろん、レストラン訪問記の数々も、期待を裏切らないもので、とくに三つ星の「ルドワイヤン」についての記述は圧巻。
日本に数知れず生息するグルメ・ジャーナリストとやらの誰一人として、これほどの臨場感を持ったレストラン紹介は書けないと思います。
というのも、名著「悪女の美食術」の巻末に書かれた、フランスと香港の美食旅日記が抜群に面白く、また、すでに廃刊になってしまった男性誌「Straight,」に数年前に掲載された「とんかつ食べ歩き紀行」も抱腹絶倒の内容だったので、それに類似したようなものを書いてくれないかなあ、と思い続けていたためでもある。
たしか、これも名著「悪の読書術」「贅沢な読書」のなかで、日本の、旅行ガイドブックの質の低さ、内容の貧困さに言及し、また、旅行の際には移動の暇つぶしに読む本ではなく、その土地にちなんだ文学作品を読んだ方が全然楽しい、と主張していたが、まさにその通り、フランスに行く機会のある方は、ぜひ旅のお供に持参してほしい一冊である。
ナポレオンについての記述は、けっして初心者向けの易しい内容ではないので、フランス革命前後についての詳しい知識のない方が、この本一冊で安易に概要を押さえようとするのは無理だろう。
しかし、ナポレオンのみならず、ネルソン総督の常識外れの人柄や、そんな彼を重用した英国気質の考察、ジョセフィーヌの生い立ちなど、縦横無尽に展開する福田理論を味わうことは、まさに「贅沢な読書」といえる。
また、所々にさりげなく記述された、福田氏の美意識というか、価値観をうかがい知ることができるのも、個人的には嬉しいところ。
「観光地に星をつけてしまうのだから、フランス人は凄い。日本の観光ガイドで、京都の三つ星は修学院離宮だけ、などとやったら、どれほどの憤激がまきおこるだろう。」なんて一文を読むと、京都旅行の際にはぜひ修学院離宮をこの目で確かめねば、なんて思ってしまう。
もちろん、レストラン訪問記の数々も、期待を裏切らないもので、とくに三つ星の「ルドワイヤン」についての記述は圧巻。
日本に数知れず生息するグルメ・ジャーナリストとやらの誰一人として、これほどの臨場感を持ったレストラン紹介は書けないと思います。