江戸に関する都市計画の詩学についての本とのことで、江戸が実際にどのように機能していたのかを再発見する試みだという。当時の人の無意識的・潜在的な理解を、美術や文学などから探っていくということらしい。分かりづらいが、都市計画の物質的な側面ではなく、精神的な側面に着目してるようだ。
日本橋からの眺めやその周辺、風水の話や京の力を借りたこと、寺社や家康の神格化、富士山や伊勢物語の利用、吉原への道程などから、江戸の町のあり方を見て行く。
知識豊富な作者で、部分部分ではおもしろく読めるところも多いが、論拠のあやしいところや、無関係と思われる話が続くところなどもあり、あくまで楽しい読み物として読むものなのかなあという印象をもった。
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江戸の大普請 徳川都市計画の詩学 単行本 – 2007/11/29
タイモン・スクリーチ
(著),
森下 正昭
(翻訳)
京に負けない「都」をつくりたいと願った徳川の夢と都市計画を読む
浅草に三十三間堂、品川に大仏、上野に清水寺があった……
(1657年に焼け落ちた)天守閣は再建されなかったのである。幕府が困窮していたとか、太平の世にあって必要としなかったともいわれるが、筆者が思うに、これは図像学上不要だったからではなかろうか。戦国時代には高くそびえる天守閣が必要不可欠だった。しかし、これは城主が人民を見下ろすことを可能にすると同時に、人民が城主を下から見上げることも可能にしてしまった。しかし、古来東アジア全域で統治者は見られるということを嫌ったのである。これはヨーロッパとはまったく逆だった。(略)これに対して、徳川幕府は、自らの姿を隠したのである。
浅草に三十三間堂、品川に大仏、上野に清水寺があった……
(1657年に焼け落ちた)天守閣は再建されなかったのである。幕府が困窮していたとか、太平の世にあって必要としなかったともいわれるが、筆者が思うに、これは図像学上不要だったからではなかろうか。戦国時代には高くそびえる天守閣が必要不可欠だった。しかし、これは城主が人民を見下ろすことを可能にすると同時に、人民が城主を下から見上げることも可能にしてしまった。しかし、古来東アジア全域で統治者は見られるということを嫌ったのである。これはヨーロッパとはまったく逆だった。(略)これに対して、徳川幕府は、自らの姿を隠したのである。
- 本の長さ285ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/11/29
- ISBN-104062143801
- ISBN-13978-4062143806
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/11/29)
- 発売日 : 2007/11/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 285ページ
- ISBN-10 : 4062143801
- ISBN-13 : 978-4062143806
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,047,748位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2020年3月16日に日本でレビュー済み
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もっと都市計画メインかと思ったのですが。美術史から探る江戸でした。陰陽道をもとに江戸が作られたという話、街には霊気が必要であるという理論は非常に面白かったですが、全体にやや難しく読みにくかったです。
2019年2月12日に日本でレビュー済み
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エッセイ風で風水都市について眼にする機会がありましたが、学術的に論じているのは初めてで臨場感もあり
とても参考になりました。
とても参考になりました。
2019年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
江戸という町を“都市計画”という視点で論じたのが本書。
冒頭にて著者は“江戸学”を「町の整備に着目する技術的研究グループ」「文化や日常生活を扱う大衆主義グループ」「現在の東京から史跡を辿る物語グループ」に分けているが、本書はその全てに足を踏み入れつつ、且つ、新たな江戸学に挑戦する事を目的としている。
浮世絵を中心とした美術作品や当時の川柳を多く取り上げているので全体的には文化を中心に論じた印象はあるが、だからと言って、決して「芸術文化」のみに限定している訳ではなく、より壮大な江戸文化…即ち、江戸人の精神そのものに肉薄しているのだ。
さて、「お江戸日本橋」でも知られるように「日本橋なくして江戸は語れない」事から、本書も日本橋で幕を開けるが、ここでは橋の建設から詩歌や仏教と橋の関係に至るまでを多角的に取り上げているので「インフラ、文化、フィールドワーク」の全てを凝縮している。
そして、次に「新しい京」としての江戸の姿…即ち、何が何でも江戸を京都に匹敵する都市に育てる必要があった事を説いて行く。
勿論、上野の寛永寺を比叡山に見立て、不忍池を琵琶湖に模した等の指摘に目新しさはないが、寧ろ、そこまでしなければならなかった“江戸の立場”を説いているのが面白い。
いや、それだけではない…更に続く「歌枕」もまた、京都を凌駕する為のたゆまぬ努力の賜物なのだ。
町を整備し、寺院も建立したものの、それだけではまだ京都には適わない…何故なら、優美な史跡もまた都の絶対条件であり、江戸にも歌枕が是非とも必要だったのである。
鎌倉を訪れた西行、東下りで知られる在原業平をモデルにした『伊勢物語』をかき集め、終に富士山…即ち「京都からは見えず、江戸から見える山」を見出すに至る。
このようにして“富士を臨める都・江戸”は、漸く経済、流通、文化の中心としての地位を確立する事が出来たのだ。
これぞ正しく「江戸の完成形」とでも言うのであろうか…今でこそ、東京は世界有数の大都市ではあるが、その原点には、ただの原野に過ぎなかった江戸をがむしゃらに、且つ用意周到に発展させた江戸人の心意気があったのである。
因みに、最終章ではやや視点を変えて吉原を取り上げているが、ここでは「一歩足を踏み入れたら誰もが吉原の掟に従わなければならない」という特殊性に注目しながら、実は「吉原に行く」段階から既に仮想世界が始まっていた事を紹介しており、吉原という町が夢物語とも御伽噺とも言えないような独特の空間であった事を実感する事が出来るであろう。
本書の著者が外国人でもある事から、手に取った時は「比較文化論」のような内容だと軽んじていたが、思い掛けなくどっぷりと“江戸学”に浸かってしまった。
然も、外国人の研究者だからこそ気付く冷静な“江戸観”があるのが何よりも面白いし、意外な発見があったように思う。
冒頭にて著者は“江戸学”を「町の整備に着目する技術的研究グループ」「文化や日常生活を扱う大衆主義グループ」「現在の東京から史跡を辿る物語グループ」に分けているが、本書はその全てに足を踏み入れつつ、且つ、新たな江戸学に挑戦する事を目的としている。
浮世絵を中心とした美術作品や当時の川柳を多く取り上げているので全体的には文化を中心に論じた印象はあるが、だからと言って、決して「芸術文化」のみに限定している訳ではなく、より壮大な江戸文化…即ち、江戸人の精神そのものに肉薄しているのだ。
さて、「お江戸日本橋」でも知られるように「日本橋なくして江戸は語れない」事から、本書も日本橋で幕を開けるが、ここでは橋の建設から詩歌や仏教と橋の関係に至るまでを多角的に取り上げているので「インフラ、文化、フィールドワーク」の全てを凝縮している。
そして、次に「新しい京」としての江戸の姿…即ち、何が何でも江戸を京都に匹敵する都市に育てる必要があった事を説いて行く。
勿論、上野の寛永寺を比叡山に見立て、不忍池を琵琶湖に模した等の指摘に目新しさはないが、寧ろ、そこまでしなければならなかった“江戸の立場”を説いているのが面白い。
いや、それだけではない…更に続く「歌枕」もまた、京都を凌駕する為のたゆまぬ努力の賜物なのだ。
町を整備し、寺院も建立したものの、それだけではまだ京都には適わない…何故なら、優美な史跡もまた都の絶対条件であり、江戸にも歌枕が是非とも必要だったのである。
鎌倉を訪れた西行、東下りで知られる在原業平をモデルにした『伊勢物語』をかき集め、終に富士山…即ち「京都からは見えず、江戸から見える山」を見出すに至る。
このようにして“富士を臨める都・江戸”は、漸く経済、流通、文化の中心としての地位を確立する事が出来たのだ。
これぞ正しく「江戸の完成形」とでも言うのであろうか…今でこそ、東京は世界有数の大都市ではあるが、その原点には、ただの原野に過ぎなかった江戸をがむしゃらに、且つ用意周到に発展させた江戸人の心意気があったのである。
因みに、最終章ではやや視点を変えて吉原を取り上げているが、ここでは「一歩足を踏み入れたら誰もが吉原の掟に従わなければならない」という特殊性に注目しながら、実は「吉原に行く」段階から既に仮想世界が始まっていた事を紹介しており、吉原という町が夢物語とも御伽噺とも言えないような独特の空間であった事を実感する事が出来るであろう。
本書の著者が外国人でもある事から、手に取った時は「比較文化論」のような内容だと軽んじていたが、思い掛けなくどっぷりと“江戸学”に浸かってしまった。
然も、外国人の研究者だからこそ気付く冷静な“江戸観”があるのが何よりも面白いし、意外な発見があったように思う。
2018年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
都市計画メインかと思ったらあくまで美学中心。そりゃスクリーチ先生だし、勘違いした自分が悪い。江戸が計画都市だというのは良く語られているが、景観都市としてはどれくらい意識的だったのか考えるきっかけにはなった。
2019年8月13日に日本でレビュー済み
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この本を読んで、都内を歩くと、また違った発見があって面白かったです。
2021年7月8日に日本でレビュー済み
本書の内容はタイトルではなく、サブタイトルが伝えるようになっています。
そんなルールありますか?
購入ではなく図書館からの借り出しなので救われました。
そんなルールありますか?
購入ではなく図書館からの借り出しなので救われました。
2018年2月19日に日本でレビュー済み
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まずまず面白い本でした
ソフトカバー希望でしたが、それは期待できないかも
ソフトカバー希望でしたが、それは期待できないかも