天野作市氏の三冊目。静かで孤独なうつ病の闘病生活を送る主人公が、友人の遺した一冊のノートに出会うことで動き出す物語。
ノートには運命に翻弄され、衰弱しきってしまった友人の半生が描かれている。主人公・夏目はノートを読み進めるうちに、友人に共感してゆき…。
「人は怒りや屈辱に対して継続した心の炎を燃やし続けることは難しいが、涙に対しては忠誠を尽くすことができる」(本文引用)
決して優しいばかりの現実ではないから、私たちは友を信頼し、誰かへの愛で身を焦がし、敵と見定めた人間に鋭い視線を向けることができる。しかし、世界の本当の美しさを知った時、私たちはそういったある種の執着から抜け出すことができるのかもしれない。
それであったとしても、罪ある人が堂々と無自覚にその生を貪っていると知ってなお、「知らぬ顔」でいられるだろうか。
主人公は「誰も傷つけない復讐」を決意する。それは、主人公にとって希望か絶望か。
「生き続ける」ことの深遠を照らし出す、渾身の一冊だと思う。
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気高き昼寝 単行本 – 2009/4/21
天野 作市
(著)
僕は、誰も傷つけない復讐を決意した。 1年間連絡が途絶えていた友人の自殺を知らせる深夜の電話。彼が僕に残した手記には、一体何が書かれているのか。その壮絶な内容が、僕の記憶をよみがえらせる。
- 本の長さ266ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/4/21
- ISBN-104062154323
- ISBN-13978-4062154321
商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/4/21)
- 発売日 : 2009/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 266ページ
- ISBN-10 : 4062154323
- ISBN-13 : 978-4062154321
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2009年5月17日に日本でレビュー済み
作者のものすごい執念を感じました。
前作の「みんなの旅行」に続いて、作者の天野さんにしか書けないものがもうひとつ、生まれたんだーと思いました。深すぎてイッちゃっていると思うほどです。
天野ワールドがまさに確立しているという気がします。
2組のカップルとそれを取り巻く人たちが、それぞれ遠い別個の存在だったのが
終点に向かって急速にダブり一体化して行くのがおもしろいです。
そして読み終えたところで「えええ?!でもやっぱりー?」と始まりに戻る、
心が破綻した人間の、健常な人間には思いもつかない妄想が
現実・非現実の境界を消してしまっていた、
どこまでが本当でどこからが妄想なのかと問いたくなるけれど、
「真実=現実」ではないのだから、それを詮索するのは意味のないことかもしれません。
といいつつ、やっぱりページを戻ってここかー!と納得せずにはいられません。
そして、そうだった小説はもともと事実と作り事のかけらを集めて真実を語るものだった、じゃあこの中の真実はなんだろうって改めて考えるわけで。
そうするとすっかり作者の思惑に嵌められてしまったってことなんでしょう。
多分もう一度読んだら、また別なものがいろいろ分かってくると思います。物語はまだ頭の中に浮かんではいるのです、やむことがありません。読んでいる間いろんなものをいろんな深さ激しさで感じていたからかもしれません。
それにしても・・・すごい大作です、これ。
前作の「みんなの旅行」に続いて、作者の天野さんにしか書けないものがもうひとつ、生まれたんだーと思いました。深すぎてイッちゃっていると思うほどです。
天野ワールドがまさに確立しているという気がします。
2組のカップルとそれを取り巻く人たちが、それぞれ遠い別個の存在だったのが
終点に向かって急速にダブり一体化して行くのがおもしろいです。
そして読み終えたところで「えええ?!でもやっぱりー?」と始まりに戻る、
心が破綻した人間の、健常な人間には思いもつかない妄想が
現実・非現実の境界を消してしまっていた、
どこまでが本当でどこからが妄想なのかと問いたくなるけれど、
「真実=現実」ではないのだから、それを詮索するのは意味のないことかもしれません。
といいつつ、やっぱりページを戻ってここかー!と納得せずにはいられません。
そして、そうだった小説はもともと事実と作り事のかけらを集めて真実を語るものだった、じゃあこの中の真実はなんだろうって改めて考えるわけで。
そうするとすっかり作者の思惑に嵌められてしまったってことなんでしょう。
多分もう一度読んだら、また別なものがいろいろ分かってくると思います。物語はまだ頭の中に浮かんではいるのです、やむことがありません。読んでいる間いろんなものをいろんな深さ激しさで感じていたからかもしれません。
それにしても・・・すごい大作です、これ。