個人的に、コジマが言う「自分たちに理解できないものがあることがこわいのよ」と、百瀬が言う「君が置かれている状況っていうのは、そういうたまたまが一致した単なるけっかなんだと思うよ」というセリフがいじめのきっかけをとてもよく言い表していると感じた。
また、主人公と話す百瀬のセリフからいじめる側の世界観を伺うことができた。動物的で倫理観がない世界。他人の立場になって考える想像力がないと人間は平気で残酷なことができてしまう。恐ろしく悲しいこと。
コジマがいじめに対処しないことを"受け入れること"として正当化してしまっているがために、イジメの世界から抜け出せずに環境を変えられないのではないかと思い、終始もどかしい気持ちがふつふつしていた。ただ、自分がいざ同じような状況に開かれた場合、何かアクションを取れるだろうかと想像するとわからない。
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ヘヴン 単行本 – 2009/9/2
川上 未映子
(著)
衝撃的感動!芥川賞受賞後初の傑作長篇。
「苛められ暴力を受け、なぜ僕はそれに従うことしかできないのか」頬を濡らすあてのない涙。14歳の苛めを正面から描き、生の意味を問う、哀しくも美しい物語。
「苛められ暴力を受け、なぜ僕はそれに従うことしかできないのか」頬を濡らすあてのない涙。14歳の苛めを正面から描き、生の意味を問う、哀しくも美しい物語。
- ISBN-104062157721
- ISBN-13978-4062157728
- 出版社講談社
- 発売日2009/9/2
- 言語日本語
- 本の長さ258ページ
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/9/2)
- 発売日 : 2009/9/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 258ページ
- ISBN-10 : 4062157721
- ISBN-13 : 978-4062157728
- Amazon 売れ筋ランキング: - 271,532位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 76,677位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『すべて真夜中の恋人たち』など著書多数。
2019年、第73回毎日出版文化賞受賞した『夏物語』は、20年ニューヨーク・タイムズが選ぶ「今年読むべき100冊」やTIMEの「今年のベスト10冊」などにも選ばれ、現在40カ国以上で刊行が進められている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年10月9日に日本でレビュー済み
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いったい存在とは何かを問いている。劇的展開をみせる。プチサルトルとプチ・ボーボワールの大変な物語ですぞ。 久々の”実存主義”小説でした。
2023年9月10日に日本でレビュー済み
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この世の中は理不尽な暴力に満ち溢れている。国家による侵略、残虐なテロ、学校でのいじめ。それらに対抗する唯一の策は、相手に自らの非をわからせてやるまでひたすらそれを受け入れ続けることなのか。それですべての暴力がなくなるわけではない。相手が自分の非に気が付くことはまれである。だから、暴力を受ける側がそこから逃避することも選択肢としてはあるだろう。それを潔しとせず、逃げるものを非難する権利は誰にもないし、逃げるものが罪悪感を感じることもないはず。ただ、当事者でなければ、こうした暴力は日々のニュースの中で流れ行くだけで、やがてみな忘れてしまう。筆者は当事者でない読者にこの問題の重さを突きつけているのだ。
2023年12月22日に日本でレビュー済み
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読書とは種蒔き、読んでる時は理解出来ない事があっても時間が経ちその本の理解出来なかった所がフと思い出してその事を考えたり。
そうこうしていく中でその種から芽がでて成長して(あー、、、もしかしたらこういう事なのかもしれない、、、)と思ったりの繰り返しだったり。
彼女の作る世界はその種が沢山あってどれも私の中で面白い花を咲かせてくれてる。
そうこうしていく中でその種から芽がでて成長して(あー、、、もしかしたらこういう事なのかもしれない、、、)と思ったりの繰り返しだったり。
彼女の作る世界はその種が沢山あってどれも私の中で面白い花を咲かせてくれてる。
2023年1月31日に日本でレビュー済み
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読み進めるごとに絶えず正しさとコジマと僕が変化していった。読了後、作者の不在を感じた。作者の技量がすごい。ドストエフスキーとの関連からこれを読んだのもあって、性格なんてものはなく誰も誰にでもなりうるのだなと強く感じた。
2022年5月6日に日本でレビュー済み
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平易な文章で読みやすく、先が気になるプロットで、あっという間に読み終えました。
山場に向かって緊張感が高まり、同時に哲学的な構図が明瞭になっていくのが特徴的。
やや親切過ぎるくらいに説明的なところがあって、哲学に詳しい方は興ざめするのかも知れないなと思いましたが、私のような素人が哲学に興味を持つきっかけとしては丁度良かったです。
現実のいじめ問題に正面から対峙するようなタイプの小説ではないと思います。
山場に向かって緊張感が高まり、同時に哲学的な構図が明瞭になっていくのが特徴的。
やや親切過ぎるくらいに説明的なところがあって、哲学に詳しい方は興ざめするのかも知れないなと思いましたが、私のような素人が哲学に興味を持つきっかけとしては丁度良かったです。
現実のいじめ問題に正面から対峙するようなタイプの小説ではないと思います。
2022年11月5日に日本でレビュー済み
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他のレビューを読ませていただいて、ドキドキしながら読み始めました。先品前半で既に止められなくなり、一晩で読み切ってしまいました。途中でタイトル『ヘヴン』の言葉が出てきますが、読み終わって、その意味を色々と考えさせられました。読書後の後味が良くない、何も解決していないなどレビューで読み、終わりは特に気になっていたのですが、私はこの終わりは好きでした。主人公側が輝くほど、対比でいじめっ子側のその後の落ちてく姿が想像できたからです。主人公にとって斜視であることの意味、コジマが清潔にしなかったことの意味、いじめの壮絶さよりも二人の世界の真実に嗚咽しながら読みました。百瀬のめちゃくちゃな論理も筋もない説明、小説の世界だけれども実の世界もこんな言い訳にもならないようなことがまかり通っているんだろうなと、北海道の旭川のイジメを思い出さずにはいられなかった。人間サッカーのシーンも最後の公園で雷と大雨を降らせた印象的なシーンもペンと紙だけで、ここまでの精神的身体的苦痛を描き切った作者に、改めて小説を読む意味を色々と考えさせられました。
2023年5月23日に日本でレビュー済み
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「黄色い家」が面白かったのと、賞を受賞した本という事で読みました。延々と、主人公の男子中学生と同級生の女子中学生が学校でいじめられる光景が続きます。しかも結構エグいいじめです。読むべき人は限られるのかも知れないですね。